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「ずっと言っているのになぜ『ライフジャケット』を着けないの?」という声が届かない理由。

 自分も「ライフジャケット」を着けさせる…ってことを発信している立場ですが、シーズンになるとよくSNS等で見かけるのが「毎年毎年、ずっと言ってるのになぜ『ライフジャケット』を着けないの?」という意見。時には、かなり激しい論調での意見を見かけることもあります。

なぜ、繰り返し言っているはずの声が届いていないのか‥‥今日は、その理由について考えてみたいと思います。

「ライフジャケット」についての発信を受け取る人って?

「子どもたちにライジャケを!」では、ほぼほぼ毎日「『ライフジャケット』をつけると安全ですよ〜。」ってことをひたすら発信しています。

この活動を長いこと続けてきて思うのは、「『発信を受け取る人』についてのこと。」毎日発信している「ライフジャケット」についての発信を受け取る人は、「ライフジャケット」のことについて関心があったり、その大切さを知っている人がほとんどなのではないか…と思っています。

伝えたいの人はどんな人かというと、「ライフジャケット」のことをあんまり知らなかったり、普段意識していない人です。「ライフジャケット」のことをよく知っていて、普段から意識している人は、言われなくてもちゃんと着けています。

つまり、「ずっと言っているのになぜ『ライフジャケット』を着けないの?」という声がみんなに届かないのか?というと、もしかしたらその声が「ライフジャケット」のことをよく知っている人にしか届いていないのではないか…ということなんです。

「ライフジャケット」を話題するのはどんな時?

ちょっと話が変わりますが、みなさんが「ライフジャケット」のことを話題にするのは、どんな時でしょうか?

日々、SNS等での話題を見ていて感じているのは「ライフジャケット」が話題になるのは「事故があった時」が多いということ。「事故があった時」にワーっと「ライフジャケット」のことが話題になって、事故の話題が落ち着くと話題がなくなっていきます。

事故が起こった時に「『ライフジャケット』を着けるべきだった。」とか、「なんで水辺に行くのに『ライフジャケット』を準備していないの?」などの意見が増えまくります。

でも、先ほどの話の繰り返しになるかも…ですが、その事故のことや、発信されている意見を見ている人の多くは「ライフジャケット」に関心がある人だと思います。一方で、関心のない人はその情報を受け取っていないので、そんな話題があることにも全く気づかずに過ごしている…という状況になってしまうことが考えられるのです。

「ライフジャケット」をアタリマエだと思う人と、「ライフジャケット」のことをあんまり知らない人の間で事故が起こってしまう。

「ライフジャケット」のことをアタリマエに思っている人は、そこにかかるコストも理解していて、しっかりと準備しています。でも、あんまり知らない人は「ライフジャケット」のことさえ知らなかったり、ちょっと知っていたとしても、準備するまでに至らないことがあると思います。

水辺の事故は、アタリマエに思ってしっかり準備している人のところでは起こるのでなく、あんまり知らない人のところで起こることがほとんどです。その「『ライフジャケット』のことをアタリマエに大切に思っている人」と「あんまり『ライフジャケット』のことを知らない人」の間で事故が起こってしまう…と感じています。

統計によると、毎年約50万人くらいの方が、第一子を出産されるそうです。つまり、初めて親になる人が、毎年それだけの数いるということです。今、親になっている世代は、おそらく小さい頃「ライフジャケット」がアタリマエではありませんでした。なので、多くの親になる方々は、水辺の「ライフジャケット」の重要性も知らないし、発信があったとしても情報を受け取っていない人が多いのかも…と思うのです。

「子どもたちにライジャケを!」では、この「『ライフジャケット』のことをアタリマエに思っている人とそうでない人」の間を埋めていくようなイメージで、活動を続けてきました。

いろんなことをやっているけれど、具体的には、以下のようなものです。(「子どもたちにライジャケを!」を応援してくださっている方ががんばってくださっていることも含みます。)

・水辺のリスクや「ライフジャケット」について分かりやすく説明する。
・何度も何度も、初めてその話題に触れる人が関心を持てる内容の発信をして、繰り返し繰り返し話題にする。
・SNSで発信を続けてみる。
・「ライフジャケット着用体験会」をやってみる。
・ステッカーを渡すなど、話題にするためのものを持ち歩く。
・ステッカーやポスターを貼ってもらえるところに貼る。
・大きな看板を掲げてアピールする。
・イベントでライブをしたり、Youtubeで発信したりしてみる。
・とにかくおもしろそうな企画にチャレンジしてみる。
・「いいね!」や「フォロワー」の数の目標作ってがんばってみる。
・企業や行政に協力をお願いして、「ライフジャケットレンタルステーション」を作る。

でも、もしかしたら、「子どもたちにライジャケを!」の発信も関心の高い人にばっかり届いているかも…と思うことがあります。でも、できるところからできる限りやっていくつもりで日々がんばっています。関心のない人にこそ、知らない人にこそ、知ってもらえるように、ちょっとでも意識してもらえるように、がんばっています。

どうすれば「受け取ることができるか」を考える。

繰り返しになりますが、「ずっと言っているのになぜ『ライフジャケット』を着けないの?」という問いの答えは「発信が伝わっていないから。」だと思うのです。なので、どうすれば「受け取ることができるか?」を考えて、自分自身も発信をしていきたいし、みんなで「ライフジャケット」のことを発信していければいいな…と思っています。

たぶんですが、「ライフジャケット」を着けていない人を責めたり、問題として取り上げたりしているだけでは、みんなが着けるようにはならないかも…と思います。むしろ、間が広がってしまったり、意識高い人ってなんかうるさいよね…と話を聞くことさえ拒まれる可能性があると思っています。

だから、水辺の事故を減らすためには、「事故が起こった時に責任を追及したり、当事者を責めたりする。」のではなく、「事故が起こる前にみんなが理解できるように伝えたり、できてしまうシステムを作ったりする。」ってことが大切だ思うのです。

例えば、今年、香川県教育委員会では、学校や園、子ども会などの団体に向けて「ライフジャケット」の「レンタルステーション」を始めてくださいました。これは「レンタルをしてほしい!」という声が挙がったから始めたのではなく、ニーズがあるかどうかも不明な中、県内の企業からの寄贈があったからスタートしてくださいました。

驚くべきは「ライフジャケット」のレンタルが6月にスタートし、県内の学校や園に告知したら、告知したその日に夏休みまでの貸し出しの予定が全て埋まった…ということがあったそうです。つまり、「ライフジャケット」という”もの”を準備することで、ニーズや意識が目に見える形で現れたということです。

実は、これまでから「子どもたちにライジャケを!」でも、学校や園で「ライフジャケットの着用体験を!」ということは、いろんな方にいろんな形で伝え続けてきました。でも、なかなか広がっていきませんでした。でも、「ライフジャケット」という”もの”を準備したことで、驚くほど動き出したのです。

このことから学ぶのは、「ライフジャケット」に関心のない方が自然と使いたくなってしまう形を準備することができるかもしれない…ということ。それは、もしかしたら、保護者のみなさんが「ライフジャケット」を気軽に借りることができる「レンタル」のシステムかも知れないし、保護者のみなさんが「ライフジャケット」を購入するたの「補助金」だったりするかも知れません。アイデアは無限に考えられるはずです。

みんなに声が届く発信をしたい。

「ずっと言っているのになぜ『ライフジャケット』を着けないの?」という問いを続けていても、毎年同じことが繰り返されるのかも…と思っています。全く興味のないような人にこそ声が届くように、これまで以上の温度で届けてみたり、言い方を変えてみたり、みんなが「ライフジャケット」をつけせたくなるやり方を考えてみたり…。

「子どもたちにライジャケを!」でも、とことん工夫して発信をしていきたいと思います。みなさんも、ぜひ何かアイデアがあればスタートしていただくか、連絡いただければ…と思います。もし、何か面白いアイデアがあれば、学ばせていただきたいです。できることがあれば、全面的に応援させていただきます。みんなで力を合わせて、事故が起こってしまう前に、ちょっとずつ形を作っていきませんか?


と言いつつ、この「note」の記事も、水辺のリスクや「ライフジャケット」に関心のある人にだけしか届いていないのかも知れません。でも、もしかしたら、誰かに届くキッカケになるかも…と思って、がんばってみることにします。

「子どもたちにライジャケを!」では、これからもひたすら発信を続けていきますね。ぜひ一緒に頑張りましょう!


思いはただ1つ…子どもたちの命を守ること。

「子どもたちにライジャケを!」
http://www.lifejacket-santa.com/







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