【B Corp取得 前編】企業には社会を良くする力がある。B Corp認証取得までの道のり
こんにちは!
ライフイズテック株式会社で、社会的インパクトマネジメント、サステナビリティ関連を担当しています、宮本萌子と申します。この度、ライフイズテックはB Corporation(Bコーポレーション)認証を取得しました。
認証取得に際しての実務を担当した立場から、B Corp(Bコープ)認証取得までの道のり、取得のメリットなど、これから取得を目指す方や興味がある方に向けて、なるべくわかりやすくお伝えできるよう、noteにまとめました。
また、今後ライフイズテックが生み出すソーシャルインパクトをさまざまな角度からお伝えしていくため、こちらの記事を皮切りに、ライフイズテック株式会社のインパクトnoteも同時にリリースします!
最初の記事ではB Corp取得のリアルを、前編・後編の2本立てでお伝えしていきます。
0. ライフイズテックとは?
ライフイズテックは、2010年に「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに創業したEdTech企業です。
中学・高校生向けIT・プログラミング教育サービス「Life is Tech ! (ライフイズテック)」の運営からはじまり、オンラインで学べる学習教材(日本:「テクノロジア魔法学校」、米国「Codeillusion(コードイリュージョン)」)の開発と販売、2019年には、新学習指導要領に対応した学校向けオンラインプログラミング教材「ライフイズテック レッスン」の提供を開始しました。
学習者の体験を第一に考えた、LX(ラーニングエクスペリエンス)を大切にし、自ら社会を変えるイノベーション人材の育成を行っています。
1. B Corpとは?
B Corporation 認証(Bコープ)とは、アメリカにあるB Labが運営する、公益性の高い企業の国際認証です。Governance(ガバナンス)、Workers(従業員)、Community(コミュニティ、地域社会)、Environment(環境)、 Customer(顧客)の5つの側面から判断されます。2007年にはじまり、2022年9月時点では世界80カ国以上、5000社を超える団体が認証を取得しています。
2. なぜB Corpなのか?
-B Corpとライフイズテックが目指すもの-
次に、ライフイズテックがB Corp取得を目指した理由をお伝えします。B Corpが目指す社会として語られるメッセージなかに、以下のようなものがあります。
このメッセージを目にした時、ライフイズテックが中高生に語っているメッセージとのリンクを直感的に感じました。
ライフイズテックは、『中高生ひとり一人の可能性を、一人でも多く、最大限伸ばす』をミッションに掲げ、ITキャンプやスクールなど、子どもたちとのコミュニケーションの機会には、"Why don't you change the world?" (つまり世界は変えられるんだよ) というメッセージを伝えています。
詳しくは、ライフイズテック代表水野のnoteをご覧ください!
ライフイズテックの学びに触れた子どもたちは、誰かと比べて一番になることを目指すのではなく、自分の半径50センチから世界に向かって、波紋を広げていくようにイノベーションを起こしています。
ライフイズテックは、今でこそインパクトスタートアップとして取り上げていただく機会が増えましたが、創業当初から、目の前のひとり一人の子どもと向き合い、子どもたちが思うように輝けない背景に向き合うことで社会課題を見出し、子どもたちの輝きの先に、新しい教育やイノベーションのヒントを見出し、ビジネスの力で課題解決・価値創造を重ねてきました。
このように積み上げてきたライフイズテックのソーシャルインパクトを世界基準で捉え、サステナブルにインパクトを出し続けられる会社にアップデートしていきたいという願いから、B Corp取得を目指しました。
3. B Corp取得への道のり
まず、B Corp取得までの道のりを簡単にご説明します。
B Impact Assessmentのユニークな点は、産業や企業規模によって、200点満点に占める5つの分野(環境、コミュニティ等)の割合が変わることです。
企業によって、当然、環境負荷の種類や大きさ、働く環境、顧客とのコミュニケーションも異なります。産業別に目指すべきゴールが変わっていくように設計されており、どの業界にいても、ポジティブ/ネガティブ両方の社会的インパクトを考慮することが大切、ということが改めて実感できます。
正直にお伝えすると、ライフイズテックが初めてアセスメント画面を開いてから取得まで、丸2年かかりました。
2年の理由は、2つあります。
ひとつ目は、世界的なB Corpの盛り上がりです。
アナリストのアサインがなかなか決まらず、B Labに何度か問い合わせたところ、「Bコーポレーション認証の世界的な需要急増」により、認証取得を目指す企業が列を作って待っている状況、という回答がありました。
一度結果を提出すると、スコアを回答者側で変更することはできないものの、裏付け資料の追加はできます。既に社内で取り組んでいる領域について、データや実例が蓄積できたらコメントを追加するなど、待っている期間にも自社のパフォーマンスを振り返り、結果に厚みを持たせることができます。
ふたつ目は、アセスメント結果を受けての改善の積み上げです。
ライフイズテックが初めてアセスメント200問の回答を完了した時、既にボーダーラインの80点は超えていました。しかし、回答結果のレポートを見ていくと、各分野の改善できるポイントがクリアに見えてきます。
初めてのアセスメント回答から取得までの道のりは、ライフイズテックにとって、会社のガバナンスをより強固に、組織も大きくしているフェーズと重なります。内部統制の構築、情報セキュリティを強化するためのPマーク取得。ESGマテリアリティの特定と、社内でのデータ収集とトラッキングの仕組み整備。サービスを横断した社会的インパクトマネジメント。女性取締役が就任し、インパクトチームをはじめ、社内外のステークホルダーとサステナビリティについての議論を行う等の取り組みを重ね、94.4ポイントのスコアで認証を取得しました。
4. B Corpを通じてみえてきたこと
-サステナブルにインパクトを出し続けるために-
ライフイズテックの価値の見える化
冒頭でもお伝えしたとおり、ライフイズテックは、根っからの「社会的インパクト企業」です。自社を説明する方法は、代表の想い、社会課題の大きさ、受益者の声、財務指標等いろいろなものがあります。B Corp取得のプロセスを通じて、ライフイズテックの生み出す社会的なインパクトが明確に定義され、測られ、経営陣から広く社会にシェアされていることを、客観的な視点で語ることができるようになりました。
客観的な評価が公開されることで、透明性と信頼性の強化に
B Impact Assessmentの評価は、B Labのウェブサイトで企業ごとに公開されています。また、3年に1回アセスメントを受け、スコアの更新を行なっていきます。第三者指標による客観的な評価が公開されることで、多様なステークホルダーにとって、透明性、信頼性をもって、自社の「現在地」を伝えることができます。
それぞれのステークホルダーにとってどんな意味があるの?は、後編に詳しく書きますので、是非ご覧くださいね!
ミッションを制度としてガバナンスに刻み込む(ミッション・ドリフトを防ぐ)
ライフイズテックは現在、100人を超える社員が参画する企業となりました。毎月行われる全社会では、冒頭で必ず、代表がミッションについての説明を行い、中高生や受益者のリアルな姿について、最前線のメンバーからシェアがあります。年度初めのキックオフでは、中高生に対してのコミュニケーション方法や、彼らがイノベーション人材となるために必要な視点を、全社員が半日のワークショップで体験しました。
このように、参画する社員ひとり一人に、創業メンバーが率いる経営陣がはたらきかけ、社会的インパクトを生み出す仕組みを根付かせています。
B Corpの素晴らしいところは、ミッションに忠実にインパクトを出し続ける方法を、社内のガバナンスやインパクトマネジメントの仕組みに刻み込むことで実現しようとしているところです。
IPOを目指した内部統制の構築などを通じて、強固なガバナンスを構築することも非常に大事です。それに加えて、変化する社会に適応し、人材とともに柔軟に成長する組織を作るためにはどうするか?それを、研修制度などに落とし込んだ設問が、B Impact Assessmentには出てきます。
ミッション・ドリフト(組織が本来の社会的な意義=ミッションからずれること)を防ぎ、強さと柔軟性を兼ね備えたインパクト企業を目指し、引き続き取り組みを進めてまいります。
ライフイズテックでは、一緒にインパクトを追求していく仲間を募集しています!
後編も是非ご覧ください!