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年末 (ドラマ「イキのいい奴」)

年末になると、しみじみ・或いはホッコリとした気持ちになりたくて、映画やドラマのDVDを観たくなります (年末でなくても、いつも観ているんですけどネ) 。

そう言えば、昔から年末や新年は、母と質の良いドラマを茶の間で観るのを年中行事にしていたことを、いま思い出しました。


この年末は、1987年と88年にNHKで放送されていた『イキのいい奴』『続・イキのいい奴』のDVDを観ていました。

戦後まもなくの東京 柳橋の寿司屋を舞台にした、人情に溢れる素晴らしい作品で、観る度に「なんてよくできた作品だろう」と感心させられます。

仔細に見ると、このドラマの作者は戦後の民主主義を或いは否定しているのかな…という気持ちにもなるのですが、人と人との結び付き、師弟関係……話の展開の中で鼻の奥がツンとなるようなことが何度も出てきます。

寿司屋の親方を小林薫、弟子を金山一彦が演じますが、その他の出演者も含めて見事なアンサンブルで、それぞれの人物がよく描かれているせいか非常にリアリティーを感じます。続編にはもう一人、新しい弟子として益岡徹が加わって更に楽しさが増します。

隣の仕立て屋の夫婦を演じるのが若山富三郎と松尾嘉代。この二人は何故だかしょっちゅう共演していたイメージがあります。この二人の存在感も又大きいです。

今回、久しぶりに鑑賞して、最終回で独り立ちする金山一彦演じる寿司職人の緊張感がこちらにまで伝わってきました。独立前のあの切なさが堪らないなぁ…と思います。まるで自分事のようにそういった感情がヒリヒリと、ドラマを観る側の脳裏を掠めるというのも凄いことなのではないかな…と思います。登場人物たちが本当の知り合いのように思えて、ドラマの終了と共にあの人たちとお別れしなくてはならないのが本当に名残惜しいです。

まぁ、また逢いたいなぁ…と思えば、DVDでいつでも逢えるのですけど。


ここ最近は新しく映画のDVDを買うこともなく、“有る物” で只管間に合わせています。

ついこの間は、1963年の大映映画『越前竹人形』を再鑑賞しました。若尾文子の主演で、監督は吉村公三郎、撮影が宮川一夫。実に簡潔に纏まっていて、昔の映画はなんて素晴らしいんだろう…って毎回思います。モノクロでも豊かな色彩を感じさせる…というのは凄いですね。池野成の音楽は、いつも (シリアスな作品の場合) 重厚で迫力があって、怖いぐらいです。

今日はこれも久しぶりに、河瀬直美監督の『あん』(2015年) を観ました。素敵な作品だな…と思いつつ、後半 樹木希林演じる徳江さんが唐突に居なくなってしまうのが物足りないような気もしました。


明日は大晦日、いつもこの場に書いている友達の大のお気に入りである二本の映画 (どちらも山田洋次監督) を、今年も観てみようか…と思っています。


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