花の金曜日・イン・ストックホルム

画像1 ギリシャ料理店で友人と四方山話をしていたらほぼ真夜中になっていた。数か月前のように20時30分にはレストランから放り出される規制は解除されたようである。夏休みが終わったと同時に仕事が非常に忙しくなっていたので、待ちに待った花金である。花金はおそらく英語ではTGIFと訳される。Thanks God It's Friday!
画像2 予約時間の18時半から10分間遅れてレストランに飛び込んだが、予約リストには私の名前が見当たらないと店の人は言う。予約情報が入った携帯電話のアプリを見せた。ウェイターは再度予約システムを確認したあと、私の席に戻って来た。予約が見つかったと言う、18時半ではなく19時半に。通常はギリギリセーフであるのに、この日は逆に50分も早く着いてしまったというわけである。最近は仕事と雑事に忙殺され間違い勘違いが多くなっている。出直すことにして近場の写真を撮りに行った。この写真は隣のハワイアンレストラン。
画像3 50分で一回りして戻って来られる近場のひとつにはストックホルム中央駅がある。旅行情緒を満喫できる場所は好きである。昨年の三月から電車にもバスにも一切乗っていない。公共機関を使用することを極度に恐れているわけではないが、大抵のことは徒歩と自転車圏内で用が足せる。自転車で一時間も飛ばせば地下鉄15駅分ほどは足が延ばせる。
画像4 しかし、電車に乗って知らな~いま~ちを歩いてみ~た~い願望は消えてはいない。プラットフォームに停まっている列車に飛び乗って「Let me see where I end up」と考えることもある。この電車はウプサラ市とストックホルム市を往復する通勤電車であるのでそれほどミステリアスではない。
画像5 モダンな二階だての電車である。片道40分であり比較的快適ではある。私が最後に乗った時は、若い女性が、自分がどれほど美しいか、という話を、向かいの席の女友達に40分間垂れていた。この列車の特徴は、同じ階で話をしている人の話の内容が全て筒抜けになることである。
画像6 遠くに行きたい場合は、駅の中央口から乗る。通常、切符の有無は車内で確認される。正面の電光掲示板の上には「私たちは貴方と旅をする。ストックホルムーヨーテボリ間」、と記されている。この乗り場からはオスロ(6時間)、およびコペンハーゲン(5時間)に直行列車が通っている(通常)。以前、地方ロケのスタッフとして組み入れて頂いた時、他のスタッフは飛行機で目的地へ出かけたが、私だけは列車で向かわせて頂いた。待ち時間と移動を鑑みると時間的にはさほど変わらない筈である。
画像7 駅の構内は普段よりは閑散としている印象を受ける。奥の方にはマクドナルドのサインが見られる。その上には一等席の乗客が利用可能なVIPラウンジが設けられている。日本の空港のVIPラウンジを髣髴させるものではない。
画像8 マクドナルドが苦手の方にはバーガーキングもあるが、駅の構内にはこのような北欧的カフェも点在する。
画像9 スウェーデン人は、出発前の時間をこのようなカフェにて過ごすことを好むが、私が列車にて旅行をする時は、友人のレストランにて寿司の詰め合わせを買って、電車の中でいただく。車窓の景色は異なるが、新幹線の中で駅弁を頂いているような感覚がしないでもない。
画像10 ストックホルム中央駅はバスの中央ターミナルとも連結しているため、外観よりは大きいかもしれないが、コペンハーゲン、オスロと比較したら比較的スッキリしている。それでも多種の店舗が並んでいる。キオスクにおいては数か所に配置されている。店の中でパンを焼いているため、つねにシナモンロール等(一個250円ほど)が香っている。価格はスーパーよりは高価であるが、構内には生協スーパーもある。ところで、スウェーデンの物価は、旅行に関しては、ホテル代を始めアイスランド、ノルウェー、デンマークよりは格段低い。
画像11 本は比較的安いであろう。本のバーゲンシーズンというものもあり、その期間中はかなり数の本が割引になる。
画像12 そろそろ予約した時間になったのでギリシャ料理店へ戻った。不覚なことであったが、うっかりしており内装の写真を撮ることを忘れていた。モダンで清潔感が漂っていた(トイレ以外)。そのためいきなり料理の写真となる。私はラムひき肉のグリル串焼きとクスクス。友人は牛ひき肉のグリル焼き(ビフテキ)。以前頻繁に通っていたサイプラス料理店は小皿にて様々なものが、Mezeというかたちにて次から次へと並べられて来たので、多少拍子抜けしたが味は悪くなかった。そういえば以前日本ではビーフステーキがビフテキと呼ばれていた時代があった。
画像13 セットメニューの場合はデザートを頂くこともあるが、基本的には甘い物が苦手なのでデザートを単体で注文することはないが、メニューにバクラバを見つけたので注文してみた。中にはクルミがどっしりと入っていた。美味であったが、甘いものが苦手なことを再確認した。
画像14 友人の注文したものは、中にバニラクリームが入っていた。私のものよりもさらに大きかった。支払いの時になって友人が非常に珍しいものを取り出した。現金である。そのようなものはもう何年も拝ませて頂いていない。20クローナ(250円程度)クローナは長靴下のピッピの作者、リンドグレン女史、100クローナにはグレタガルボ女史が印刷されている。私もアンティーク人間ではあるが、さすがに現金は使っていない。キャッシュレス大国スウェーデンにおいても全国民の足並みが揃っているわけではないという訳である。
画像15 お互いに疲れていたのでそこでお開きとした。彼女は郊外に住んでいるため、その時間になると交通機関が無くなる。Uberを利用して帰ると言う。私は運動を兼ねて徒歩で帰るつもりであった。生憎、前日に愛車(自転車)がパンクした。夜遅く街を歩く場合、まず私は身に着けている貴金属を全てカバンの中にしまう。人通りの多い場所を通る。現金がある場合は、数個の財布に分けて持つ。自分が所在している場所を時おりGPSで確認してくれるよう家族に頼む。携帯電話は手に持ち、すぐに警察に連絡出来るように112という番号だけを押しておく。
画像16 歩き始めて一分もしないうちに、色の変わる噴水に吸い寄せられてしまい、何枚も写真を撮りはじめてしまった、背後に奇妙な男性が立って居ることに気が付くまで。この日の教訓は夜中に一人で無心に写真を撮ることはNGであるということであろうか。数か月前と比較して、真夜中を過ぎても街では多少活気がある場所があった。20年以上住んでいるが、ストックホルムの夜というものはさほど理解していないかもしれない。しかし、私はストックホルムの夜の街角も好きだ。ご訪問頂き有難うございました。