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静岡オンナ2人旅

「アドレスホッパーじゃなくなる前に、
かっこいい車借りて関東近辺を回りたいんだけど、
一緒に来ない?」

細かいニュアンスまでは覚えていないけれど、
親しくさせて頂いているADDressの旅仲間にそう誘われた。

彼女は仕事を休職からの退職して、
失業保険をもらったり貯金を崩したりしながら2年近くアドレスホッパーをしていたが、とうとう東京で再就職をすることにしたのだという。
そしてその締めくくりではないが、定住を前に、1週間であちこち車で巡る期間を作ろうと思ったのだとか。

私は、会社員としてテレワークをしながら旅暮らしをしていた。
当然、昼間は仕事を優先させなければ行けない時間も多いが、彼女はそれを承知の上で誘ってきているはずなので二言返事でOKしたような気がする。

最初に提案されたのは、山梨の中央本線沿線と伊豆半島を巡る旅。けれど伊豆半島に行くならと、大井川の方に行ってみたいことを伝えると、じゃあ静岡県内を巡るたびにしようと話がまとまった。
(山梨の方も後日、訪問したいなと思う)

その後スケジュールをたてたり、借りる車を選んだりして当日を迎えた。

その日は私は滋賀の友人の家にいたし、彼女は東京にいたので、静岡の用宗にあるADDressの拠点で待ち合わせようということになった。
せっかく近くまで行くならそこの家守さん(管理人のようなもの)とお茶がしたいと思い、打診をしてあったのである。

私は友人の家で朝ごはんを頂いてから出発して、琵琶湖のそばを通るローカル線に乗り込んだ。その路線は、2両編成のかわいい電車で、たまに路面電車になったりもするので気にっている。
途中でJRに乗り換え、そこから約5時間の鈍行列車の旅が始まる。

本当は南草津駅から新幹線に乗ればだいぶ短縮されるのだが、薄給OLには気軽に乗れるものではないのだ。代わりにランチは少し奮発して、1000円以上する駅弁である。

不思議な包み紙に包まれてる井筒屋の駅弁
具の種類が豊富、とっても美味しくて驚いた

駅弁を買うと、つい勢いよく食べてしまって、「あっという間になくなったな?」となることが多いのだけれど、ここのお弁当は蓋の裏に具材(しかも郷土料理など)の説明があったので、ひとつひとつ確認しかながら食べていたら、自然にゆっくりになり、よく味わえた。
ついでに車窓から遠くに見える山々も眺めたりして、今までで食べた駅弁の中でいちばん美味しく食べられた気がする。

その後、雪景色を眺めたり、金の織田信長像を探したりしつつ、無事に用宗駅までたどり着いた。

Instagramのストーリーより

ADDressの拠点まで歩くと、家守さんがかわいらしい笑顔で迎えてくれて、こちらまで頬がゆるむ。

しばらく話してると、どうやら旅の相棒が到着したらしい。玄関まで足を運ぶと、少しオレンジがかった赤い車が家の前で自己主張していた。
今回1週間お世話になる、FIAT500である。

存在感のあるFIAT500

今回車を決める際、ギリギリまでFIAT500にするか軽トラにするかで悩んでいたが、やはり可愛い方にして正解だった。心配していた収納スペースも問題のないサイズだった。
(軽トラは、軽トラで女2人旅をしていたら面白いのでは?という単純な理由だった。)

翌朝、運転疲れで寝てる彼女を横目に仕事をし、片づけをして拠点を出発した。
用宗の別の拠点の家守さんが近くまで来ている情報を聞きつけ、少しだけ一緒に用宗のコーヒー屋さん(普段は漁師、たまにコーヒー屋さんという面白い店があるのだ)に行き話に花を咲かせたら、結局用宗を発つのは3時をまわってしまった。

ここから1時間半ほどかけて、途中山道も抜けて、大井川の川根本町まで移動する。夜に走るのは怖いと聞いたので、日没までの時間との勝負である。
…と言っても、私自身は免許を持っていないため、助手席に座ってるしか出来ないのだけれど。

気持ちの良い川沿いの道やくねくねの山道を抜けた先に、目的のシェアハウスはあった。この先に街なんてあるのだろうか?と思うような山道の先に、ちゃんと街はでてきた。到着したのは、やはりだいぶ日が傾いてからであった。

その日は近くのスーパーに行ってから、カレーをつくって食べて、シェアハウスの住人と交流をして、星を少しだけ眺めてから寝た。

夜のカレー

翌日は仕事のメールだけ返してェアハウスの敷地の案内をしてもらった。

そこはシェアハウスと聞いて想像するそれとは違い、大きな一軒家の目の前には梅畑が広がり、少し歩くと木材の加工場や、ニワトリの飼育小屋が現れた。脇の小屋では、近所のお母さんたちが味噌をつくっていた。ヤギの小屋もあり、仔ヤギのハルちゃんが愛想を振りまいてくれた。
少し坂を下ると、池や畑まで出てきた。そのときは「色々あるな〜」と思っていたが、あらためて文字に起こすととんでもない場所だったなと思う。

田舎暮らしとしてまずイメージするような、自給自足生活をしてみたい人にとっての入口として、こんなに至れり尽くせりなシェアハウスはないのではないだろうか。
だって、自給自足生活する気のない私ですら、この条件ならお試しで住んでみても良いなと思ってしまっている。

ちなみに、住人は募集中のようだ。

梅は咲き始めていた
たくさんのニワトリたち
かわいい仔山羊のハルちゃん
日の当たる気持ちの良いリビング

車を少し走らせた千頭駅前のお茶屋さんに入ったら、そこのご夫婦とのおしゃべりタイムが始まった。地元の方と話せるのは、旅暮らしの醍醐味なので嬉しい。
後で聞いた話だが、このあたりの店はどこもそんな感じでおしゃべりしがちらしい。

その後、優しい味の川根茶ソフトを頂いてから、事前に勧められていた温泉に行ったら残念ながら休みだったので、大人しくシェアハウスに帰り荷物をまとめ、今晩泊まるゲストハウスへ移動した。

川根茶を頂いた
お茶屋さんの飼い犬
2人で1つ食べた川根茶ソフト
大井川鉄道に手を振る彼女

3日目の夜にお世話になるのは、ゲストハウス「ゆる宿 Vokketo」さん。ここは以前から気になっており、一度来てみたかったのだ。

宿に到着して玄関を開けると、オーナー(?)のショウキチさんが暖炉で部屋を暖かくして待っていてくれた。しかも暖炉の上のヤカンでは、熱いお茶がいつでも汲めるようになっていて、心まで温まった。

古民家をDIYしたというゲストハウスは、明るくてとても落ち着く空間になっていて、いつまでも居られるような気持ちにさせられる。DIY前の写真も見せてもらったが、変貌ぶりにただただ脱帽させられた。
こういう空間を自分たちで生み出せる人は本当に尊敬するし、憧れるなぁと思う。

そもそもショウキチさんがこのゲストハウス始めるきっかけは、DASH村みたいなことを自分でもやりたいと思ったことだそうで、本当にやってのけてしまつのだからすごい。

話をしていくと、過去にバックパッカーで海外を旅していたり、ギターをやっていたり、興味の方向性に親近感を覚えた。やっていることのクオリティは断然彼のほうが上なのだが、それはそれである。
実際にギターも弾いてもらったが、とても素晴らしかった。

みんなでギターナイト

翌日は、川根本町から南伊豆の大移動をする日だった。一緒に街まで降りたいというADDress会員さんを昨日のシェアハウスまで迎えに行ってから、山道を下った。

その会員さんは、一度ゆっくりお話してみたいと思っていた方だったので、私としては非常にラッキーだったし、彼は彼で車で街に降りれたのはラッキーだったに違いない。(そう思いたい。)
(そしてこの車の中で聞いた話をきっかけに、また新たな物語が始まろうとしてる…!)

彼を送り届けた用宗から南伊豆までは、駿河湾をぐるっと走る。
私は途中からうっかり意識を手放してしまったので、どんな道を走ったのかはわからないが、富士山を見逃したのは悔しい。コンテナや工場?みたいなのは眠気と戦ってる中で見かけた気がする。

道中、沼津で静岡名物「さわやか」があったので、まだ6時前であったが、早めの夕ごはんということで酔った。ハンバーグは肉々しくて美味しかった。
いちごフェアのいちごジュースが非常に気になったが、安くなかったので諦めた。

さわやかをほぼ待たずに食べれたのが嬉しい

そこからさらに暗い道を走り(私はまたもや途中から意識を飛ばしてた)、南伊豆の拠点についたのは8時半近くになっていた気がする。

ベッドメイキングをして、すこしのんびりして、温泉に浸かったらすぐに寝てしまった。
温泉は少ししょっぱかった。

翌日も朝から温泉に浸かり(といってももう一組の会員さんが朝から長風呂してたので、出るのを待ってたら昼近くになってしまった)、拠点を出発した。
なんだか、ただ温泉だけ浸かりに来た形になってしまった。

夜の温泉
朝の温泉

その後、ランチして、勧められた神社を覗いてから、道の駅に向かって車を走らせる。
途中、温泉メロンのビニールハウスや菜の花畑もあった。

ランチは海老しか勝たん👊
勧められた神社へ寄り道

道の駅では、ちょろちょろと河津桜も咲き始めていた。物販エリアでは、大量の野菜と柑橘類があり、種類の違うみかんを2袋も買ってしまった。

その後訪れた漁協直売所には、たくさんの干物と生きた伊勢海老がいた。漁協のお兄さんが伊勢海老や貝について丁寧に説明してくれて、なんだか社会科見学に来たような気分だ。うっかり、伊勢海老のオスとメスを見分けられるようになってしまった。

片足がなくなった伊勢海老なら、相場よりはだいぶ安く買えるということで、思い切って伊勢海老を購入。
そしてお勧めしてもらったアオリイカの干物も奮発して購入。噛めば噛むほどに味がでて、アオリイカを食べてしまうと、真イカには戻れないくらい美味しいとのことだった。

これは脱皮後の殻を見せてもらってるところ

少しドライブをしてから拠点へ移動をした。
家守さんが顔を出してくれたので、しばらくおしゃべりをしてから、お勧めの温泉まで案内をしてもらった。(なんと地図で出てこない場所…!) 

そこは、熱帯植物館のような面白い温泉だった。

ドキドキする空間だった

帰ってから伊勢海老を捌き、刺し身と味噌汁にした。刺し身はなんだかしょぼくなってしまったが、初めて生きた伊勢海老を捌いたので楽しかった。

この旅の後で、殻は2度目でもよくダシが出ると知ってしまい、うーん、味噌汁に使った殻も持って帰ってくればよかったとちょっと悔しくなった。

伊勢海老の調理が済んだタイミングで、昨晩の拠点(車で5分ほど)のところに忘れ物をしたことに気付き、取りに行くと他の会員さんたちが酒盛りに遭遇。
せっかくなら、と、夜ごはんの枝豆やアオリイカや豚肉や野菜炒めを持参して、参加させてもらうことに。2組ともADDressを始めたばかりとのことだったけれど、クセの強い人たちで普段あまり聞かないようなエピソードを聞いたり出来た。

ただ、持参したアオリイカは喜んでもらえたのは良かったが、私の根が貧乏性なので「これ、普通のイカの干物の2倍はするからね!?大事に食べてね!?」と何度言いたくなったことか…
(特にベロ酔いしてた会員さん、いちばん量食べてたけど絶対覚えてない気がする…!しかも彼らにとっては食後のツマミでも、私たちにとっては夜ごはん何もわかってない気がする…!食の恨みは怖いんだぞ…)

そんな夜を終えて、拠点へ帰宅。
片づけも早々に、就寝した。

翌日は、だいぶ早くに起床し仕事を開始。

というのも、この後昼の会議の前に、勧めてもらった温泉メロンのパフェを食べに行く任務がるのだ。
お店のオープンに合わせて相棒を起こして、メロンパフェを食べに行った。
「想像より大きいから、2人で1つでちょうど良いよ」と言われていたので大きいパフェをイメージしてたが、たしかにしっかり大きかったし、メロンがたっぷりだった。
メロンのショートケーキも評判が良くて食べてみたかったけど、やはりパフェだけでお腹は満足だった。

メロンパフェ。写真だと普通サイズに見える?

帰ってからは、伊勢海老の味噌汁を飲んだり、みかんを食べたりしながら、昼まで仕事をした。
そして荷造り。今日は南伊豆から、小田原まで大移動をする日なのである。

途中河津桜が咲いてたり、ぐるぐる回る道で遠心力に負けたり、渋い道の駅?に寄ってトロサバの味噌焼きやわさびソフトを食べたりして、結局夜になってから小田原に到着した。

小田原の拠点は評判が良いと聞いてたのだけど、残念ながら、あまり交流などは出来なかった。

この日が2人旅のラストナイトだったので、食材を食べ切りたいのもあって、しゃぶしゃぶナイトにすることにした。
こんなにずっと一緒にいるのに、食事中も何かしら話すことがあるのだからすごいよな〜と思ったりしながら、最後の夜を終えた。

立ち寄ったここは…道の駅とは違う?
トロサバの干物の味噌焼き
しゃぶしゃぶナイト

最終日は、私が午後から三島のイベントに参加したいというワガママを聞いてもらい、昼には解散することになった。 

そのせいで朝は少しバタバタさせてしまったのだけれど、彼女がホットサンドクッカーを持ってきてたので、ブランチは浜辺にいってホットサンドを焼くことにした。
慌ただしくなるならキッチンで作ってもいいかな?と思ったけれど、晴天を見てしまったら、もう晴天の下に出ていきたくてムズムズしてしまう性分なのである。

案の定、浜辺でのホットサンドブランチはとても気持ちよくて、美味しくて、最高だった。
思ったより時間にも余裕があったし、早まってキッチンやってしまわなくてよかったな…。ただ、お湯を持ってきてティーパックを忘れたのは渾身のミスであった。

岩の上でホットサンドをつくる
うまーい

その後、小田原駅まで送ってもらい、1週間にわたる今回の女2人旅は幕を閉じた。

私は人と旅するのは慣れてないし、当然他人なのだから生活におけるペースやリズムも違う。
ついクセで相手の生活リズムに合わせようとして仕事をおざなりにしてしまったり、合わせれないときに罪悪感を持ってしまったり、疲れてくると冷たく対応してしまったり、意見がぶつかることだってある。楽しいことばかりでは無い。

けれど、こうやって誘ってくれる仲間に出会えたことがまずありがたいし、旅の道中ではたくさんの出会いや感動や発見や感情があって、それを共有できる。
それはほんとに嬉しくて、尊いことだなと思う。

今回も2人旅だからこその出会いが本当にたくさんあって、そこから未来に繋がっていく事柄もある。
だから彼女には、誘ってくれて本当に本当にありがとうを伝えたいし、過去の私にも、彼女と旅する選択をしてくれてありがとうと言いたいな。

次はどんな旅が待ってるんだろうという期待で胸を膨らませながら、この記事を締めくくろうと思います。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました〜〜

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