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【高齢期リハビリ】あえて寝たきりになる高齢者

死ぬタイミング…は、基本的に自分で決められませんね。でもそれを決めている方もおられるのでは、というお話です。

リハビリ中に

「もう人生、好きなことしてかたから、いつ死んでもええわ。」

「人生、満足したからいつお迎えがきてもいいわ。」

といったことを聞くことがあります。

【高齢期の心理的課題】

人はライフステージごとに心理的課題があるといわれてます。

高齢期の課題は振り返った人生をどう感じるか、その人生を通して現在どのように感じているか、です。

具体的には

「手に入らなかったことも満足したこともすべて受け入れて現状を認める」(統合性)

「手に入らなかったこと、うまくいかなかったことを悔やみ絶望を感じる」(絶望)

専門的に高齢期の心理的課題は「統合性」対「絶望」といいます(心理学者エリクソン)

最初にお話した方は「統合」状態といえると考えます。

【あえて寝たきりを選ぶ高齢者】

あえて寝たきりを選んでいる方がおられます。

福祉用具を使えば外出など生活の幅が広がる可能性のある方

生活習慣を変えれば身体が回復する可能性がある

工夫をすれば趣味を再開できる

生活拡大できる可能性が高いにも関わらずそれら提案に積極的でない。

そのような方の共通点があります。

それは一様にみなさんは人生をほぼ完全燃焼した、方ではないかと感じます。例えば会社の社長さんなど社会的ステータスの高い男性が多い印象です。子育てを頑張った主婦の方、趣味をやりつくした方もおられます。

前述の「統合」状態というのでしょうか。

そして、あえての寝たきりから、そのままゆっくりと死に向かわれた方もおられました。

ジタバタせず最期を迎える。これも生き方の一つかと。

「人生やりきったから、いつ死んでもいい。」は半分本音で、生物である以上、半分本気ではないのかなと思います。

ただそのような発言があった場合は私は嬉しくなったりもします。すごく充実した人生を送られたんだな、と。



【そんな方のリハビリをどうするか】

しかし私は作業療法士として接しているため悩みます。そのような方に対しては心身を安楽にしベッド上で楽しく安定した生活を送れるようにすることが主になります。

その人が選んだことが正解とは思うのですが、ご家族のご意見もありますので少しでもできることが増え、それとなく生活拡大の方へもっていきたいとは思います。作業療法士の性ですね。

人は複雑ですね。


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