心不全末期の訪問リハビリ
あまり知られていない心不全末期の訪問リハビリの一例を紹介いたしますね。今までも訪問リハビリでたくさんの心不全の方々をみてまいりました。
心不全のステージ
慢性心不全の病期はA〜Dに分けられてます(アメリカ心臓病学会)
A:心臓に関連する疾患(高血圧、糖尿病、冠動脈疾患)があるが、心臓に構造的な異常はない。症状がない状態。
B:心臓になんらか構造上の異常があるが症状がない。
C:構造上の異常があり、症状がある。息切れ、倦怠感、胸部違和感など。
D:構造上の異常があり、薬物療法を行っても安静が必要(入退院を繰り返す)
訪問リハビリ現場
そして訪問リハビリではCとDのステージの方が多いです。
現場では私達スタッフが訪問するとベッドで横になられていることが多く、呼吸をすることに精一杯、少し動くと倦怠感や息切れが強くなったりします。
正直、対面しているとその辛さを想像し、なんとか症状をやわらげられないかと考えます。
心不全末期の訪問リハビリ
ここで訪問リハビリ(作業療法)なんですが、こんなことしてます。
生活面
1.どのくらい生活活動ができるか?を確認します(専門的にどれくらいの負荷なら安全か)
2.本人の意向を確認し、「できる生活活動」を生活習慣にします。
3.「訪問介護」や「ご家族」に共同で「人の手を借りればできること」を生活習慣にします。
思考・心理面
4.生活、活動への想い、価値感を確認し生活のモチベーションをキープできるようカウンセリングを行います。
5.気持ちが落ち着く方は今までの人生を一緒に振り返ります。
身体面
6.姿勢が丸まってくる傾向にあるのでそれに対して生活での姿勢や動作を教育し生活習慣になるよう促します。
7.姿勢が悪化しないよう環境を整えます。
8.息を整える呼吸方法をアドバイスします。
9.浮腫(むくみ)や体重のチェックをします。浮腫がひどく体重が重くなれば医者や看護師に相談します。
10.末期には身体が動かすことが少なくなり、関節が硬くなるためほぐします。
生理身体面
10.食事、水分、睡眠、排泄が十分かを毎回チェックします。バランスが悪ければその対応をします。
意思確認
呼吸が苦しくなると思考が段々とにぶくなっていきます。すると意思表示も難しくなってきます。最期をどこで迎えたいかの意思表示確認もタイミングが肝心です。
まとめ
正直、このアプローチで良かったのか、と一番悩むのが心不全末期の方です。
心不全は急速に悪くなる、少し回復する、を繰り返していくといわれます。
できるだけソフトに症状が経過することを心がけます。
これらを介護職、看護師、医師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、栄養士、などチームでご利用者とご家族で支えていきます。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!