ASDがやりやすい仕事とやりにくい仕事
私は社会人4年目なのですが、ほぼ1年おきに転職を繰り返し、複数の業界を経験しました。
その中でASD的にやりやすい仕事とやりにくい仕事というのが何となく見えてきました。
やりにくい仕事
一言で言うと「変化が大きい仕事」です。
プロジェクトのスパンが長く、フェーズに変化のある仕事はやりにくいです。
私は「木を見て森を見ず」なところがあるので、自分が今何をやっていて、次は何が必要ということが把握しづらいです。
ASDの特性として「見通しがつきやすい予定や、パターン化された生活を好む」というものがあります。
ASD当事者の感じ方としては、パターンが好きというよりも、見通しを立てる力が弱いので変化する要素が多いと先のことが全然分からなくなって混乱したり不安になったりするので、不安要素を少なくしようとした結果、パターン化するのだと思います。
例えば、私は旅行の計画を立てることが苦手です。
(形だけの計画なら作れると思いますが、その計画を実行できないので実際は全く違う旅行になると思います)
旅行に行くときは、一緒に行く人に計画を立ててもらいます。
一人で行くときは、ほとんど無計画で出かけます。
旅行のように今までやったことのないことや行ったことのない場所については考えづらいので、行き当たりばったりになりがちです。
これはASDの「想像力の欠如」が影響しているかと思います。
仕事でもそういうところが出てしまいます。
さらに、やったことのないことについて強い不安を感じるので、いったん慣れてきたと思ったら次のフェーズに移るような仕事だと、徒労感があります。
例えば研究職なら
サプライヤーとのやり取り→実験→分析→資料作成→プレゼン&会議→パイロットテスト→実験→分析→資料作成→プレゼン&会議→商品化決定→資料作成
のようにたくさんのフェーズがあり、各フェーズに1か月くらいかかります。
実際に働いてみたときの実感としては、会議ばかりの月があったと思ったらその次は毎日実験で、その次は工場で……となり、慣れることが難しいです。
業務内容がコロコロ変わるので、会社に行って一日どのように過ごすかという見通しが立ちづらく、これが地味にストレスになっていたと思います。
実験や測定だけをやる職種もあり、私もそれならできると思っていましたが、聞いた話では待遇にけっこう差があるようでした。
現実は厳しいですね……。
会社の一員として働くためには、プロジェクトを自分事として捉える必要があり、一貫したモチベーションを保ったり状況の把握をしたりしなければならず、この辺のことが難しく感じます。
また、社内の人間関係も重要で、関係性づくりのために交流したり、いろいろな業務と直接関係ない(と私には思える)ことも必要になってきます。
やりやすい仕事
業務内容が限定的で見通しが立ちやすい仕事はやりやすいです。
アルバイトがその典型的な例だと思います。
私は学生時代、個別指導の学習塾でアルバイトをしていました。
そのバイトが楽しかったので、6年間続けることができました。
(最近は1年ごとに転職を繰り返しているので、そのアルバイトが今までで一番長く続いた仕事です)
学生の時から「自分はバイトはできるけど会社員は無理そうだな」と何となく思っていました。
私は今でも、仕事をするときにバイト感覚なんです。
あくまで生活費を稼ぐことが最大の目的であり、チームの一員としての意識とか、会社のビジネスや自分の仕事に対する興味とかは正直ほとんどないです。
それがバレると多分周囲の人を嫌な気持ちにさせてしまうので、興味があるような振りをしていますが、本当は全然ないんです。
以前は何とかして仕事に興味を持とうとしたり、仕事に興味が持てないことに悩んだりしていましたが、発達障害のことを知ってからはあきらめています。
興味がないことはなかなか覚えられないのでメモを活用したりして、ないなりに工夫しています。
私が今やっている仕事は比較的やりやすいと感じています。
今は二足のわらじ生活をしていて、一つは契約社員として週3日営業補佐の仕事、もう一つは副業で翻訳の仕事をしています。
どちらも在宅でできるのと、テキストベースのコミュニケーションが中心であり、「お問い合わせにメールで対応して終わり」「原文を日本語に訳して提出したら終わり」とシンプルなところが気に入っています。
一つ一つのタスクも3日程度でこなすものが多いので、2年かかるプロジェクトを進めるよりも見通しが立ちやすいです。
非正規の仕事や個人事業主の仕事は特定のタスクや役割を切り出して依頼されるため、業務内容が限定されやすく、やりやすい可能性が高いのではと思います。
また、合わなかったときに辞めるのも簡単です。
経済的な問題
私は今の働き方を気に入っていますが、デメリットもあります。
それはやはり待遇面の問題です。
私が思うやりやすい仕事とやりにくい仕事の差は、要するに責任範囲の大きさだと思います。
ASD特有の視野の狭さにより、責任範囲の広い仕事は向いていないのです。
しかし、限定された業務だけとなるとやはり非正規やフリーランスといった不安定な働き方が中心となり、厚生年金やボーナスといった手厚い待遇は受けられなくなります。
悩みは尽きませんが、何よりもまず健康で働き続けられることが第一だと思います。
そして、待遇の良い仕事をうらやましく感じても、自分にとっては「絵にかいた餅」だとあきらめています。
自分ができることとできないことを冷静に見つめた上で、腹を括って自分の道を進むしかないと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※これはあくまで私の感想であり、全てのASDの方に当てはまることではありません。
もし共感していただけたら、コメントで教えてくださるとうれしいです。
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