コミュニケーションの心理学3 単純接触効果
最初は特に興味はなかったのに、テレビやラジオから流れてくる曲を聴いているうちに、いつのまにか口ずさんでいて、知らず知らずのうちに気になっていることがありませんか?
興味がなかったのに、毎日接しているうちにだんだん興味が強くなってきたという経験は、単純接触効果によるものです。
1.単純接触効果とは
単純接触効果は、興味がなかったものやこと、人などに対して、繰り返し接することで興味を持つようになる心理的現象です。
単純接触効果は、提唱した心理学者の名前を取って、ザイオンス効果とも呼ばれます。
単純接触効果は、日常生活だけでなく、マーケティングや営業活動など仕事やビジネスの場面でも多く活用されています。単純接触効果の活用は、取り組みやすく、相手と接する頻度が多いほど効果が生まれやすくなるからです。
効果的に活用することで、相手に親近感や好印象を持ってもらうことができます。
2.単純接触効果を高めるコツ
相手のあるコミュニケーションでは、単純接触効果を高めるために、次の3つのステップを意識してみましょう。
①あいさつをする
コミュニケーションの始まりはあいさつです。ですから、ただ顔を合わせるだけでなく、意識して気持ちの良いあいさつを交わすことから始めると取り組みやすくなります。
②おしゃべりや雑談をする
気持ちの良いあいさつを交わすことで、親近感を持ってもらうことができます。そこから、機会を持つことができれば、おしゃべりや雑談につなげてみましょう。
③相談する
さらに心の距離が近づき、信頼関係が深まれば、相談につなげることも有効です。人は頼りにされたり、必要とされたりすると、思いのほか嬉しいものです。相手の専門や得意分野に関連することについて、アドバイスを求めるのもいいでしょう。
3.単純接触効果の注意点
取り組みやすく、効果が高い単純接触効果ですが、気を付けなければならないこともあります。3つの注意点をおさえておきましょう。
①印象を高めるマナーを心がける
単純接触効果の実践では、接するたびに好印象を持ってもらえることが重要です。
相手に悪い印象を持たれてしまった場合、それを挽回することは至難の業です。接する回数が増えれば増えるほど悪い印象が強くなってしまい、単純接触効果が逆効果になってしまう可能性があります。
ですから、相手に良い印象を持ってもらえるように、あなたの印象を高めるマナーをわきまえた接し方を心がけましょう。
②接する回数を増やしすぎない
単純接触効果は、接する回数が多いほど効果が高まります。しかし、回数が多ければ多いほどいいかというと、決してそんなことはありません。
接触回数を過度に増やし過ぎてしまうと、かえって相手を不快にさせてしまいます。例えば、アポなしで営業担当が毎日のように訪問すれば、誰だってうんざりしてしまいますよね。
相手にもタイミングや都合があります。相手の立場から考えて、迷惑にならない範囲での実践を心がけましょう。
③適切な頻度で接する
単純接触効果を発揮するためには、相手と接する頻度も適切に保つ必要があります。
例えば、毎日LINEなどのチャットツールでの連絡が多すぎるからといって、1か月に1回の連絡では、印象に残らず相手に忘れられてしまいます。1週間のうちに2回、水曜日と土曜日、連絡は朝の時間帯だけなど、あらかじめ最適な頻度を決めておくといいでしょう。
チャットツールなどのコミュニケーションの頻度を考える際、判断に迷う場合には、相手の返信のペースに合わせることも手です。チャットでの会話を重ねていくうちに、だんだんに息が合って最適な頻度に落ち着いていくでしょう。
まとめ
単純接触効果は、取り組みやすく効果が高いため、相手と仲良くなるために有効な方法です。
ただ、その目的は相手と接する回数を増やすことではなく、仲良くなりたい相手との心の距離を近づけることにあります。いつの間にか手段が目的にならないように気を付けなくてはなりません。
相手から好印象を持ってもらえるように、接し方やマナーも大切にして取り組んでみましょう。