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羅小黒戦記のすゝめ

映画を劇場で観るのは1回のみと決めている私が、劇場になんと10回も足を運んだ映画がある。中国発のアニメ映画『羅小黒戦記』だ。

以前の記事を書いた時点では日本語吹替版を8回鑑賞していたが、そのあとに中国語音声・日本語字幕版を2回も観に行ってしまったので、トータル10回になってしまった。海外映画はだいたい字幕版と吹替版を1回ずつ観るタイプの人間なのでこれはかなり例外的だ。

ここまで何度でも観たくなってしまうのはきっと、この作品に癒されているからだと思う。

キャラクターの可愛さ、どこを切り取っても圧倒的なアクションシーンにももちろん魅了されているが、それ以上にこの作品を鑑賞することによって心が浄化されるような気がするのだ。

具体的に何が癒しになっているのかはわからない。アクションシーンで目まぐるしく動くキャラクターたちは目で追うのが大変で、むしろ疲れるのではと思う方もいるかもしれない。だが、このぐるぐると凄まじいカメラワークで繰り広げられるアクションシーンでさえも心地がいい。本編すべてを通してなんだか安心する。

加えて、制作会社のHMCH(寒木春華)のスタッフによる大电影之歌の動画を観ると、制作スタッフたちがいかに楽しみながら作品をつくってきたかがうかがえる。映画を観終わったあとでも、観る前でも、この動画は必ず観たくなるし、少しでも『羅小黒戦記』が気になるという人がいれば真っ先に見せたくなる動画だ。

制作側からも愛される作品はもちろん観た人たちにも愛される。それが国境を超え、今やタイ語、英語、韓国語、ドイツ語、イタリア語の吹替も制作され、各国で上映・配信されている。3月には子ども向け映画の祭典であるNew York International Children's Film Festival  (ニューヨーク国際子ども映画祭)にて観客賞も受賞している。中国の動画サイトでショートアニメとして配信されていた作品がここまで大きくなったというのは非常に感慨深い。

スクリーンの隅々までどんな動きも見落とすまいと意気込んで観るもよし、何も考えずにただ純粋に作品を楽しみもよし。MTJJ監督やスタッフたちの遊び心によってたくさん散りばめている小ネタを探しながら観るもよし。一度観るだけでも楽しめるが、何度も観ても全く飽きない。

何度も観たいけれどさすがに上映館が減ってきてしょんぼりしていたところ、ついにBlu-ray&DVDの発売が発表された。同時期にbilibiliではアニメシリーズの更新も再開した。外伝マンガの藍渓鎮に月2回の二十四節気に合わせたイラスト、映画やアニメだけでも十分楽しいが、そういう周辺のものも同時に追いかけるのも面白い。

私は今まで、あまり何かにのめりこむほどハマったものはなかった。この作品が私にとって初めての”推し”である。”推し”の力はすごい。どん底にいても上へ上へと引き上げ、生きる活力をくれる。

まだまだ人生どん底気分だが、羅小黒戦記がある限りこの作品を見守るべく、私は生き続けていたいと思う。


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