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父、膀胱炎と神経因性膀胱を併発する。

父方の家系は前立腺肥の疾患が多いらしい。
ということを、聞いていた。
父の兄たちの中には前立腺がんを患っているひともいる。
(80代で元気に過ごしている)
父自身も以前から前立腺肥大があると言われていて、定期的な検診をすすめられたりもしていた。が、なかなかどうして病院嫌いの父である。あまり行きたがらなかった。

そんな父がここ1年くらい「尿の切れが悪い」とか「頻尿になった」という話をされるようになった。歳のせいかなと思いつつ、前立腺肥大のこともあるので病院に行かなきゃねと家族で話していた矢先のことである。
2023年の10月某日
「おしっこが、おちょこ一杯ぶんくらいしか出ない」
「最短15分おきくらいに行きたくなる」という話を聞いた。
僕は医療関係者ではないが、ただ事ではない。ということだけはわかった。

「病院に行ったほうがいいよ」
「明日休みだから明日にしようと思う」
「仕事終わりに夜間診療でも見てもらったほうがいいかもよ」
父は渋い顔をしていた。

看護師の姉に相談し、やはり朝イチのほうがいいと助言をもらったので、看護師の娘が言ってるんだから行ったほうがいいと伝えたが反応が悪い。
仕方なく父を見送る。
夕方頃、父の帰宅前に姉から電話があり、明日にのばすのは得策ではないから父を説得したと連絡がきた。

浮かない顔の父に着替えなどを用意して、帰宅した父を「無理させてごめんね」とフォローをいれつつ、病院へ向かわせた。母とぼくは父が薬をもらって帰宅してくるのだろうと思っていた。が、違っていた。

「重症ですwwww」

という、姉の少しおふざけ気味の言葉と共に玄関の扉が開いた。
紙袋から見える管が父の腰へとのびているのが見えた。
(えらいことや)
と、心のなかで思った。

紙袋の中にある透明タンクの中に溜まっている尿の色は、有り体に言うと汚い色をしていた。
濃くて黄色くて濁っている。
あからさまに身体に悪そうな色だった。
これが溜まっていたのだから身体の中で宜しくないことが起きているのは明白だ。それが体外に排出できているのは大きな前進だと即座に思った。

少し落ち着いてから姉から語られたのは「今日で大正解だった」ということだ。高熱がでておかしくないくらいだったし、腎盂腎炎という病気になってもおかしくなかったかもみたいなことだった。

汚い尿が大量に溜まっているから前立腺がんがあるかどうかの検査は出来なかったそうだ。それくらい、汚い尿が満タンだったらしい。

問題点はいくつかあって、膀胱が満タンなのに尿意を感じていないこと。満タンなのに尿が自力で全部出せていないこと。いまの状態を誘発した原因が前立腺肥大の悪化なのか、ガンなのか。または別の病気から来ているのかがわからないこと。などなど。

まずは膀胱炎への対処。並行して尿の排出が必要で、この一週間で神経因性膀胱の改善が見られればいいけれども、改善が見られないとなると、自己導尿をする生活が始まるという予告もあったそうだ。

ぼくは姉からの話を聞きながら、最高と最悪としゃーないのみっつの未来が待っているんだな。と思った。

最高なのは、膀胱炎も神経因性膀胱も治って全部が全部元通り。数ヶ月前から言っていた頻尿も改善して万事解決の満額回答な未来。
一番最悪なのは、ガンの闘病が民間保険無しで突入するのが確定。ここに転移と余命のオプションがついてくる未来。
しゃーない未来は、ガンはないけど自己導尿生活がはじまる。
最悪が確定するのは、少なくとも尿がきれいになるかしてからになるのだろうと思ったので、診断がくだるまでは二択なのかもしれないな。と思った。が、やはり三つの可能性を前提に心と頭に予熱を加えておかなければならないだろうと考えた。

仕事をしている父が仕事にいけない可能性というのもあった。そうなれば退職も考えることになり、すると生活費に激震が走る。
ぼく自身の現状だとか思いとか事情なんて関係なしに、有無を言わさず何かに従事することを考えないと生活費も治療費用の捻出不可能になる。

遠からず来るタイムリミットが突然起こることになる。そのタイミングは早まったと言えば早まったわけだ。

母が動けない以上、付き添いはぼくだ。
かと言って僕が動き出すと家事万般を含めてやるひとが消える。診察の同行も満願成就とはいかない。自分の診察都合の確保も必要になる。贅沢なシフトを要求する使えない老害新人を受け入れる職場なんてあるだろうか。それを考えると吐きそうになった。

自分の心配と家族の心配がひどく癒着しているいびつな現状だ。

しかし、数刻中に解決必須な問題や夕飯を作らねばならない問題もあって、眼の前のゼロ距離で処理しなくてはいけないことを解決するために動くしかない。父の排尿のためにコタツを二個と敷布団二枚で簡易的なベッドを作らなくてはいけないので思考を急停止させていく。
突発性難聴を抱えて耳鼻咽喉科への受診も、耳鳴りが固着してからは大きな変化がないから費用負担かきつくて受診控えしてしまっている現状が思考に過るのを抑えながら、手作り簡易ベッドを作った。

作る途中で低くなっている謎の天井の段差に頭をぶつけて、たんこぶと出血をしてしまい、物理的にも頭を冷やすことになった。

これが、父の初診の夜の記憶とメモである。

投稿前所感

センシティブな気持ちを吐き出すアカウントなので、家族の問題のこともセンシティブの要項を満たすと思ってこの記事を書いた。
この先、父の病がどうなっていくかということも含めてときどき吐き出す感じで記事を書こうと思っている。あと、家系的に前立腺肥大になりやすい僕自身の学びと自戒のようなものを芽生えさせるために役立てたい。

父の場合は自立排尿が何らかの理由でしづらくなってしまい、膀胱炎になったと考えられる。この炎症をもたらしている細菌が管を逆走して腎臓に至ってしまうと腎盂腎炎になってしまい、高熱や腰の痛みが出ることになる。
頻尿や残尿感があれば泌尿器科に相談することが大事。父と違って僕は肥満があるので腎盂腎炎とかになりやすいかもしれない。ここは医療負担の総量を減らすためにも検査や診察を怠らないようにしたい。

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