年商10億円のベーカリーがコロナ禍の2年で利益9,000万円回復した話-3

かなり間が空いてしまいました。
4月の後半に新規オープン案件が一件あり、3月中から事業計画内容の精査や商品開発、試作やオペレーション指導などに携わり、開店後そのままゴールデンウィークに突入し。。。ただただ忙しかったので。言い訳ですが。

今回の新店舗はこれまで顧問先の企業で説明してきた商品政策や経費コントロールの要点をほぼ忠実に具体化することに気を付けながら実店舗の運営に落し込んでいったこともあり、コロナ禍の状況とは言え、なかなか手堅くもあり、将来的な希望も見える店舗の立ち上げになったのではないかと思っています。
何より新規開発した商品の売れ方が想定外によく、上位アイテム5~6品程度の販売構成比が40%を占める結果となりました。少量多品種を取り扱うベーカリーとしては、販売構成比が6~8%の商品が5,6品もある珍しい商品構成ではありますが、たいへん理想的な売れ方をしてくれたとも言えます。
計画段階からシビアな原価設計をしていたこともあり、上位アイテムは何をどう販売しても粗利的にはかなり安定した収益性が見込めることもあり、あまりにもうまくいきすぎな感があって逆にちょっと不安になるくらいでした。

今回はベーカリーの「商品政策」について。
商品政策とは、
1.適正な商品を
2.適正な価格で
3.適正な場所で
4.適正な時期に
5.適正な数量を
販売するPDCAサイクルを回すことだと理解しています。
それぞれの適正にはマクロの視点とミクロの視点で設計を肉付けしていくことになるので、要は、「このお店で売れるものをよーく考えましょうね」ということで、「何が正解か」というのは完全に店舗別に違います。
実際にはお客様の反応を受けて、この「適正な」範囲をよく理解し、店舗の商品をこの適正範囲内に寄せて載せていくことが大切で、やみくもに商品開発をしたり、新商品の導入や入替え、陳列の変更をすることが商品政策の本質ではありません。
同時に、製造、販売にかかるコストや原価率なども合わせて売価設定と製造数量のバランスを判断していく作業が必要で、特にこの分析をいかに実態に寄り添って行うことができるかどうかが、商品政策の勘所です。
私は一般的なABC分析の応用で、商品ランクを10段階に分けて分類します。

商品ランクの決め方の詳細はここでは触れませんが、
・販売構成比
・売価設定
・原価率
・限定数や季節商品等の個別の条件や性格
などの判断基準を数値化したシートを作成し、これに基づいて商品設計や商品構成の評価を行い、計画段階できっちりと収益性が見込め、製造の効率と販売効果を両立させることができるアイテム選定ができているかどうかを判定するようにしています。

当然ですが、この商品政策の手法は既存店舗の商品構成検証においてこそ効果を発揮し、商品改廃やリニューアルのターゲットとなるアイテムを設定したり、新商品導入の際に、どのあたりの商品を開発するのが最も店舗にとって効果的か?といった考察が非常にやりやすくなるため、自然と店舗の運営が健全になる方向に進みやすくなると思っています。

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