見出し画像

「好き」を仕事にするために

好きなことを仕事にしなさいって魅力的な言葉だけれど、実際のところみんなの「好きなこと」ってなんでしょう?明日から好きなことしていい「はいどうぞ!」って言われたら、すぐさま「わかった!」ってなるのかな?だいたいの人は具体的な「好き」がなにか答えられない。好きなことが見つからない、好きなことを見つけるにはどうしたらいいの?なんて相談もよく耳にします。「好き」を仕事にするってどういうことなのだろう。


好きなコトより

自分が楽しいと思う基準をまず考えてみる。これまでの体験を思い起こしてみると、わたしの場合「何をするか」ではなく「誰とするか」な気がする。結構深刻な状況下であっても、リーダーのためだったらふんばろう、と思うこともあったし、ひどいワンマン組織の中にあっても、いっしょに働くチームが良好であればあるほど、むしろ何をするかに関わらず毎日が「楽しい!」と感じたこともありました。

これは大部分の人にも当てはまるのじゃないかと思うんです。なぜなら、いくつかの組織でチーム編成を行ったとき、良い成果がでたときの要因は仕事の内容に依存して「いなかった」からです。チームが安心して心打ち解けられる環境であればあるほど、みんな能力を惜しみなく発揮するし、それを楽しむことができます。逆に言えば、楽しい仕事をするためには、好きなことをみつけるよりも、組織間の風通しをよくし、心打ち解ける仲間を探すほうがよほど効果的なのではないか。もしあなたが組織体制を構築するリーダーであるなら、人間関係はガマンしなさいとか、仲良しグループよりも仕事内容の分類が大事だとか、そんなことにこだわるよりも、好きな人と好きなように協調できる環境を整えるほうが成果があがるでしょう。

ちょっと極端かもしれないけれど、メガネ21社の「ギブアップ宣言」なんて制度もあることも紹介しておきます。

ここで言いたいのは一緒に働く人が大事だ、ということじゃありません。「好きなコト」そのものを探すより、どういうときに「スキ」や「楽しい」を感じたのか、その環境や周囲の条件に目をこらしてみてはどうだろう?なぜなら「好きなコト」を探すことは思っている以上に難しくやっかいなことだから。

やりたくないことをやらない勇気

「好き」を仕事にしている人はどれだけいるのだろう。むしろ好きなことがなんなのかすら「わからない」人が大多数。好きを仕事にできる人なんてごく一握りだし、運ゲーみたいなところがあります。「好きなことだけをやりなさい」「好きなことを仕事にしなさい」なんて啓蒙は限られた天才には響くのかもしれないけれど、大多数の一般人にしても意味がありません。

むしろ、やりたくないことをみつけるほうが簡単。いずれ辛い仕事は、ロボットなんかが代替するか、それでも高収入でやらなきゃいけない人がやることになるのだから。やりたくない仕事を自分の意志に反してやりつづける道理はもうありません。

継続、継続、そして継続

好きな人と一緒にいて、やなことはやらなきゃいい、って言ったけど、ほんとに重要なことはそこではありません。その真意は、どれだけ「継続ができるか」にある。小学校のころ、わたしより絵が下手だったのに、絵の練習を続けて大人になってデザイナーになった◯◯ちゃんは、わたしなんて足元に及ばないほど絵が上手になっている。継続こそ力。継続こそ正義。継続こそが高みを極める。

好きなことをしているのが続く秘訣だ、というのであれば好きなことをとことん探せばいい。ただ統計的には「好きなこと」を探す人ほど継続しないんです。好きなことにこだわるあまり、ちょっとでも辛いことがあると「これは好きなことじゃなかった、、、」と諦めてしまう。それなら、好きなことよりも「上手なこと」を続けたほうがいいという人もいます。得意なことをやったほうが周りからも認められやすいし、頼りにされるほど継続するから。だけどあなたよりそれが上手な人は世の中には掃いて捨てるほどいる。自分が上手でなくなったときにそれを続けることができるだろうか。続けることを主眼においたとき、好きとか上手でもないなにかの要因がそこにはあるはずで、続かないとわかっていることに時間を割く必要はないけれど、できるだけ「継続させる」ために何ができるのか、という主眼は常にもっているのがよいでしょう。

好きなことであれ得意なことであれ、専門的な高い技能を習得するにはそれ相応の修練と時間が必要になるものです。何かを習得したり上達することは本来楽しいことのはずなんです。好きで没頭できる何かを見つけることは人生のよろこびだというもは正しいけれど、長く続けているうちに面白くなることだってある。わたしの経験上では好きなヒトや続かないことを楽に避けやすい環境を整えることで「好き」を生みやすい環境は意図的に作り出せる。だから気長に自分やチームの「好き」を育てていこう。

それでも管理術はいずれ求められる

最後にもう一つどうしてもいいたいことがある。人は1人では大きな成果をあげられないものです。好きなことを仕事にしろ、きらいなことはしなくていい!それは、現代の偏った社会にたいするアンチテーゼとしてはとても魅力的で意味のあるスローガンだと思います。しかし、個人がただ好きなことをやっていればいいステージはいずれすぐに壁にぶち当たります。みんなが好きなように好きなことをするゆるやかな環境の先には次のステージがあるからです。大きな事業を達成するにはいつか必ず「組織」が必要になる。

いまあなたが大きな組織を運用していて、自分の意志とは違うところで上司や部下の板挟みになっていてもそれが無駄だと思わないでほしいのです。その経験は、世の中が変わって例え会社という土台がなくなったとしても、いつか必ず必要になってくる技能だから。いまはまだ世の中が未成熟。個々人が会社組織から自立して生きるということばかりがフィーチャーされているけれど、いずれ世の中が成熟してきた際に求められるのは、いまの時代を生き抜いたあなたのような管理術をもったリーダだと思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?