ベトナム語の(ベトナム語による)学習教材

ベトナム語の学習教材について

ベトナム語の学習を思い立った場合、なかなか情報がないよというのが正直なところではないかと思います。
自分自身、学生時代に触れて、"とても基礎的"な部分はわかるようになった一方で、社会人になってからチマチマ勉強するもたいして上達せず(※)、結局一年間の留学機会を得るまで大きな進歩はありませんでした。
 ※実用ベトナム語技能検定試験で準6級~6級程度
大きな進歩がない理由として、(少なくとも当時は)中級以上の文法を解説している日本語の教材がなかったことがあると思っています。つまり、ベトナム語の教材にあたらないとベトナム語ができるようにならない。
もちろん努力不足と言えばそうであるものの、そもそも現地ではどんな教材を使って教えているのかどういう教材がそろっていればある程度の網羅性があるのか、という部分はどこかで誰かがまとめていた方が世のためになるのではと思い、まとめることにしました。

私自身は現状、せいぜい"中級"がいいところですが、ここにある教材をひととおり触れたことで辞書を引き引きでも理解はできるようになりました。
文法のベースの部分はここにあげている、特に Trình độ B/Cをやることで培われると思います。
ご参考になれば。

日本語での学習教材

辞書

語学は最終的には語彙、とはよく言われますが、ベトナム語は特に文法以上に単語に依存する部分が大きいので、できる限りここで投資は惜しまない方が良いと思います。
〇CJKI越日辞典(アプリ AndroidiOS
 一番廉価(1,000円)で収録語数にも遜色がなく、基本的に初学者はこれを買っておけばいいような気がします。もっとも、ちょいちょい間違いはあったりアプリなのでイマイチ例文に不足を感じたりすることもありますが、贅沢は言えない。
詳解ベトナム語辞典(川本邦衛)
 
本腰を入れてやるなら、少し値は張ります(3万円)が欠かせないと思います。ここでケチってもいいことはないと後から思いました。
〇五味版学習者用ベトナム語辞典(五味政信)
 
自分が使っていたのは増補改訂前のものなのでちょっと最新版がどうかはわからないですが、旧版は収録語数に大いに物足りないところがありました。コラムなど読み物として貴重な内容はたくさんあるのですが、肝心の語彙数では不足を感じることが多かったです。
 なお、現地でもいくつか越日辞書はあるのですが、いずれも若干不満が残ります。越日辞書という観点では日本で調達した方が良いように思います。 

文法書(日本語)など

基礎的な内容であれば日本語でもいろいろ教材があると思います。自分の場合にはこちらで勉強しました。
ゼロから話せるベトナム語―会話中心(宇根祥夫)
〇ゼロから始めるベトナム語―文法中心(宇根祥夫)
このほか個人的にはこちらも重宝しました。
ベトナム語 (世界の言語シリーズ4) (大阪大学世界言語研究センター 世界の言語シリーズ)(清水政明)
あと、よく使ってる人を見るのはこちらでしょうか。
ベトナム語レッスン初級〈1〉(五味政信)
ベトナム語レッスン初級〈2〉(五味政信)

(こちらは中級も出たようです。
ベトナム語レッスン 中級(五味政信)
中級レベルを謳っているベトナム語の教材は日本では他にないかも)

とりあえずこの辺までをベトナム人の先生についてマスターすることが第一歩かと思います。
あんまり学習法を云々したいわけではないですが、ベトナム語は①発音>②語彙>>(超えられない壁)>>③文法 だと思われ、基礎の部分で発音を軽視した学習をすると永久にできるようになりません。きちんと先生について、簡単な内容であっても「普通のベトナム人に伝わる」というのをめざすのが大事かなという気がします(それだけやってもどうせ現地に行って数カ月は通じないですが)。独学はよほど耳が良くてYoutubeとかの動画で正しい訓練ができる人以外には勧められません。
そこまでやれる/やった、という前提で、以下、現地で使っている教材などをご紹介します。


ベトナム語による(現地における)教材

tiếng Việt trình độ A tập 1/tập 2

Amazonリンク:tập 1
Amazonリンク:tập 2
公開URL:http://quehuongonline.vn/hoc-tieng-viet/tieng-viet-trinh-do-a.htm

ベトナムに行けば大きめの書店で一般販売している。上記URLにてなぜか全文公開されている。
いわゆるレベルA(初級)で上下巻の構成。ゼロから勉強する人を想定しており、この内容であればここまで上で上げた日本語の教材で概ねカバーしている範囲。従い、この2冊分の内容くらいはおそらく日本側で勉強できる。

※画像はこちらのサイトから引用
https://123vietnamese.com/gioi-thieu-cuon-sach-tieng-viet-trinh-do-a-tap-1-doan-thien-thuat/

Thực hành tiếng Việt Trình độ B

Lazadaリンク
公開URL:http://quehuongonline.vn/hoc-tieng-viet/tieng-viet-trinh-do-b.htm
ベトナムに行けば大きめの書店で一般販売している。上記URLにてなぜか全文公開されている。
いわゆるB級(中級)。この内容くらいから日本語でカバーしている教材がほぼなくなってくる(上述の五味中級テキストで触れているくらいか?)。
ベトナム語の文法は学習事項が少ないとは言え、さすがに勉強しないとわからない。そのためこのBとCの内容の理解は必須となる。
おそらく語学で留学している人は4~6カ月くらいはこのBとCにある程度の時間を使っているのではないか。なので、これから留学する人は日本でこの内容を勉強・理解出来たらアドバンテージであるし、日本に居ながら勉強をしてベトナム語力を伸ばしたいという人はこれ及びCを読み解いていく必要があると思われる。

画像はこちらから
https://shopngoaingu.com/thuc-hanh-tieng-viet-trinh-do-b-sach-dung-cho-nguoi-nuoc-ngoai-doan-thien-thuat-nguyen-khanh-ha-trinh-cam-lan-nguyen-phuong-trang/

Thực hành tiếng Việt Trình độ C

Lazadaリンク
公開URL:http://quehuongonline.vn/hoc-tieng-viet/tieng-viet-trinh-do-c.htm
ベトナムに行けば大きめの書店で一般販売している。上記URLにてなぜか全文公開されている。
いわゆるC級(上級)。Bよりも読解等演習課題の量は多い。
ここまでを完璧にこなすことで、CEFRのベトナム語のスケールでB2程度を想定していると思われる。ゼロからここまで行く所要時間は、(個人的な感触/個人差アリで)ざっくりだいたい週3ペースで1年半相当の学習期間ではないか。
実用ベトナム語技能検定試験で4級~3級程度ではないかと思います。

画像はこちらから
https://www.fahasa.com/thuc-hanh-tieng-viet-trinh-do-c.html


Bài đọc tiếng việt nâng cao

レベルとしてはBとCの間くらいに位置する読解・演習教材。
BとCにプラスしてこれを並行して勉強していく形が定石と思う。
文法に関する解説はなく、ここらへんから語法の用例が出てくる。
この語彙・語法がおそらくこの先無限に広がっているんだなと感じさせる。

画像はこちらから
https://tiki.vn/bai-doc-tieng-viet-nang-cao-danh-cho-nguoi-nuoc-ngoai-p431294.html

おわりに

本当はもう少し紹介できる教材はあるが、今回は絞った。
学習する人には
 ①既存の日本語の教材だけで、「tiếng Việt trình độ A tập 1/tập 2」のレベルは行ける
 ②既存の日本語の教材には「Thực hành tiếng Việt Trình độ B/C」の内容がほぼ無いので、これは読み解いていく必要がある
 ③メジャー(※)な文法はここまでで概ねカバーされる。あとは語彙力勝負。
ということを本記事では伝えられれば幸いです。

 ※おそらく厳密にはまだ残っている文法はあると思われるが、少なくともベトナム語を教える側の体系ではほぼカバーされているという扱いと思われる。そもそも活用のないベトナム語において、文法と語法の線引き自体、シロウトである自分からするとよくわからない。呼応や倒置など関係で意味を持つものを文法、単語レベルの特性を語法、と勝手に分類して理解しているが、そういう意味で語彙・語法にはまだまだ先があると感じる。

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