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なぜリブリーは ”デジタル教科書”対応を決めたのか? ~ CEO後藤編 ~

2022年春より学習者用デジタル教科書に対応することを決定し、教育業界のリーディングカンパニーを目指すリブリー。CEO後藤匠が思い描く“デジタル教科書の世界観”と“教育への想い”を聞きました。

テクノロジーの力を教科書に掛け合わせて
子どもたちに最良のデジタル教科書を届けたい

―なぜ学習者用デジタル教科書に取り組もうと思ったんですか?

2022年春、リブリーは学習者用デジタル教科書の提供開始を決定しました。このデジタル教科書対応については、2012年の起業当初からずっと取り組みたいと思っていたことでした。リブリーを導入してくださる学校数も600校を超え、提携書籍も260冊以上となり、先生や出版社にも認めていただけるようになってきたことが1つの理由です。

また、この1年での学校教育の大きな変化も、今回の判断の一因です。GIGAスクール構想により生徒が1人1台パソコン・タブレットを持つ準備が進み、新型コロナによる一斉休校を余儀なくされた教育現場で「子どもたちの学びの保証のためにICTを活用していこう」というマインドの変化を感じました。

さらに、文部科学省もデジタル教科書の普及促進に取り組んでおり、2021年4月にはデジタル教科書の利用制限が撤廃となりました。また、本年度は小中学校を対象とした「学習者用デジタル教科書」の普及促進のための実証事業に約22億円の予算が計上されています。教科書出版社もデジタルに対応していかなければならないという課題感をお持ちであったり、偶然にもすべてが重なったタイミングでした。

さらに、高校の新学習指導要領の施行も重なり、2022年4月は、リブリーにとって大きな節目となると考えています。

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「教科書とは何か」、原点と向き合う

―リブリーが考える「学習者用デジタル教科書」とは?

リブリーが来春リリースする学習者用デジタル教科書のコンセプトは、「生きる力を育む」です。

学校教育では従来から「生きる力」を重視してきましたが、新学習指導要領では「生きる力」として、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力など」「学びに向かう力、人間性など」の三つの柱として掲げています。

02_3つの柱と主な機能

これまでリブリーでは「知識及び技能」習得をメインに支援してきたのですが、それだけではなく「思考力、判断力、表現力など」「学びに向かう力、人間性など」に対応していくことが今回のプロダクト開発の大きなポイントです。

開発検討にあたり、私たちがまず向き合ったのは、「教科書とは何か」という"原点"です。そもそも教科書とは、「日本の学校教育の目標達成に大きく貢献するもの」であると捉えています。だからこそ、教科書検定が行われ、学校現場で利用することを強制できるのです。

「日本の学校教育の目標達成に大きく貢献するもの」である教科書が果たすべき役割を考えると、「知識及び技能」の習得だけでは不十分で、「思考力、判断力、表現力など」や「学びに向かう力、人間性など」を同時に養えるものでなければいけないと考えました。

現在の教科書にはすでに様々な工夫が凝らされています。それならば、教科書出版社のこだわりが詰まったコンテンツと私たちの持つテクノロジーの力を掛け合わせることで「知識及び技能」の習得だけでなく、他の二つの柱の醸成も実現できるデジタル教科書を目指すべきだと考えました。

特別なものではなく、自然に使ってもらうもの

―どう使ってもらいたいですか?

”普通”に使ってもらいたいですね。笑
先生や生徒にとって、そもそも教科書って特別なものじゃないと思うんです。「リブリーを使ってるぞ!」とか思ってもらわなくて良いんです。とにかく、何の引っ掛かりもなく、何のストレスもなく、これまでの教科書や文房具のように自然に使ってもらいたいです。

例えば、最近嬉しかった事例でいうと、リブリーを導入して2年目の、とある高校の例の話をさせてください。ここは、先生が宿題配信をしていなかったのですが、生徒は自主的にドンドン使っていただけていたんです。先生にお話をうかがってみたのですが、初年度は学習習慣をつけるために宿題を配信していたのですが、今はその必要もなく、自主的にリブリーを使って勉強していただけていたんです。また、生徒は確実に物理の成績が伸びているとのことで、学校現場に「なめらか」に浸透しできていると実感ができて、嬉しくなりました。

あとは先生の仕事の負担が軽くなればいいですね。リブリーを使うことで楽になれば、心身の余裕が生まれてもっと子どもにも向き合えるし、様々な教育サービスの利用にも挑戦してもらえると思うんです。今の教育業界は大きな変革期なので、短期間で目まぐるしく変わります。さらに学習指導要領の変更もあり、先生たちはいろんな変化に対応していくことだけで大変です。

僕もそうなのですが、「目の前の業務にとても忙しい時」って、新しいことにチャレンジすることが難しいんです。だからこそ、この変化が求められる今だからこそ、「先生の業務負荷軽減」は非常に重要なテーマだと捉えています。

どんな先生も『子どもたちに良い教育を提供したい』という想いは共通しています。テクノロジーで従来やり方を全部変るべきではないと思いますが、テクノロジーによってより良くできることってたくさんあると信じています。

あくまでも『子どもたちに良い教育を提供したい』という共通の目的に向かって、従来の手法とテクノロジーを組み合わせて、学校現場の先生達とも協力をしながら、あるべき教育の姿を一緒に模索していきたいです。

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より良い教育・社会の実現を目指して

―これから何を目指していくのですか? 

「教科書とテクノロジーを掛け合わせると、こんな価値を生めるんだ!」ということを積極的に社会に示していかなければならないと考えています。

私たちリブリーは、デジタル教科書という教育の根幹に取り組む「唯一」のテック系ベンチャーです。だからこそ、僕たちが「デジタル教科書」の姿について、積極的にチャレンジを続けていきます。

また同時に、「提供科目」を拡充し「提携出版社」を増やしていきます。サービスを改善しながら、学校に最も適した教科書が提供できる状態を目指します。

2022年4月に向けて、地歴・公民に対応をしていきながら、順次、英語や国語、技術家庭科や音楽などの教材にも対応していきたいと考えています。

私たちが大事にしているのは「子どもたちにとって、良い教育環境を提供できるか」です。数学、地歴、英語と、科目ごとに勉強の仕方が違うので、必要とされるサービスの利用体験や機能も異なってきます。いち早く全科目に対応していきたいと思ってはいるのですが、『子どもたちにとって本当に使いやすいのか?』にこだわっていると、どうしても対応科目を増やすことに時間がかかってしまいます。「早くこの科目に対応して欲しい!」というありがたいご意見をたくさんもらっていますが、そこはご理解いただけると嬉しいです。

―最後に 

私たちリブリーは、日本の教育の中心である教材の「教科書」とテクノロジーの力を組み合わせて、当社のビジョンでもある「一人ひとりが自分の可能性を最大限発揮できる社会」に近づけるように、これからも進化をしつづけます。

ぜひ、2022年春にリリースする、教科書会社とベンチャー企業がタッグを組んで生み出した「生きる力を育むデジタル教科書」を楽しみにしておいてください!