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【北米漫画市場まとめ】ドラゴンボールの映画版が北米へ、BLの英語圏進出続く、宮崎駿の「シュナの旅」の英語版出版

北米漫画市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。

「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」、今夏北米へ

『鬼滅の刃』『呪術廻戦』など日本のアニメの映画版の北米上映が相次いでいます。日本公開から北米公開までの期間は徐々に短くなっており、その中で『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』も今夏の北米公開が決まりました。これがすごいのは『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の日本公開が4月ということ。つまり、国内公開前に北米での公開が決まったというわけです。

「ドラゴンボール」シリーズの北米の人気はすごい高いです。もちろんかつてアニメで見ていた人もそうですが、依然としてマンガの単行本は売れていますし最近はゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」を楽しんでいる人も少なくありません。日本のアニメの海外進出の勢いを一段と強める動きになればいいなと思います。


マンガ制作のシュークリーム、BLの海外展開を本格化

海外で人気のマンガジャンルのひとつがBL。そのBLで新しい動きです。数々の名作BLを「from RED」などのレーベルで制作する「シュークリーム」がBLの海外展開を本格化するというものです。もちろん海外読者のためというのもありますが、海賊版対策という側面もあるとのことです。

プラットフォームはBOOK WALKER Global Storeで先行し、その後MangaPlazaなど複数の電子書籍サイトで販売します。4月以降は同社で作品の販売を手掛ける作家によるオンラインイベントも予定しているそうです。


中華BL、北米市場を開拓へ

そのBLという文脈では中国発の「BL」が英語に翻訳され、北米市場で人気を集めています。

https://www.nytimes.com/books/best-sellers/2022/03/06/trade-fiction-paperback/

上記のNYTimesの「Paperback trade fiction」のカテゴリーでは「天官賜福」の英語版がランクインしました。


https://supchina.com/2022/02/24/danmei-a-genre-of-chinese-erotic-fiction-goes-global/

こちらの記事は「耽美」「danmei」と呼ばれる中華BLが中国で人気を集め、世界に進出していることをまとめた記事。英語では現在「天官赐福」に加え、「魔道祖師」「人渣反派自救系統」が出版されています。アニメやドラマ版で一定程度のファンを獲得していたうえ、一部のファンは海賊版で翻訳を読んでいたようで、正式版がでたことを喜んだとのことです。

「danmei」は日本のやおい、BLにインスピレーションを得て描かれた中国圏の作品で、すでに4億6000万人の読者がいるそうです。日本語訳やアニメ、ドラマを通じて日本でも人気ですが、日本のBLが受け入れられている北米圏でも人気を獲得しているというわけです。日本のマンガは今、韓国のWebtoonをライバルとしていますが、将来中国発のコンテンツがライバルになることも想定しておいたほうがよさそうです。

ちなみに中国は男性同士の恋愛を描くことは禁止されているため、これらの作品も中国国内では「BL」ではなく「男性同士の友情」とされています。中国外では「BL」とされています。


韓国の配信サービス企業、Webtoonプラットフォーム立ち上げ

韓国のローカルの動画配信サービス会社、Watchaが新たなプラットフォームを立ち上げるという記事。この新たなプラットフォームでは音楽やWebtoonを配信するとのことです。Webtoon原作のドラマや映画が人気を集め、ドラマなどを見た人が原作を見に行くことを考えると、この組み合わせは意外にうまくいくのかもしれません。


マンガ『スプリガン』、英訳版発売へ

北米の出版社、Seven Seasの新たなライセンス獲得のアナウンス。その中に『スプリガン』のデラックス版が入っていました。スプリガンはNetflixによるアニメ配信も控えています。アニメ配信で人気が出ることを見越しての発売でしょうか。8月以降、電子版と紙版の両方を出すとのことです。


宮崎駿氏の『シュナの旅』英語版出版へ

こちらも英語版の出版のお知らせ。宮崎駿氏の『シュナの旅』が「グラフィック・ノベル」として英語版が出版されます。宮崎駿・スタジオジブリは北米で一定のファンを獲得していますが、こちらのタイトルはまだ出ていなかったよう。


2021年、米国でよく売れた日本のマンガ


https://note.com/sudotadashi/n/n63ad08f1437b

ジャーナリスト、数土 直志さんの「売上げ前年比2倍以上? 米国で爆発した2021年の日本マンガ」という記事です。マンガの売上高は20年比で2・7倍とのこと。確かに、多くの作品の出版ライセンスを現地出版社が獲得しているうえ、『鬼滅の刃』など大人気作の販売増がけん引しているとみられます。


韓国エンタメの躍進、日本はどうすればいいのか?

『推しエコノミー』の著者でエンタメ社会学者の中山淳雄さんが「テレ東 経済ニュースアカデミー」に出演され、韓国や日本のエンタメ企業の海外進出について分析されました。『イカゲーム』をはじめ、躍進が目立つ韓国エンタメの背景の分析と、それに対して日本企業はどう動くべきかの提案です。『推しエコノミー』でも指摘されていたように「ハリウッド型をはなく、オタク経済圏を形成するべき」というのは私もそう思います。小さくとも深い沼を無数につくって、世界中の人を溺れさせたいと思います。


今週はここまで。引き続きよろしくお願いします。

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