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今年の夏は海外のコミコンにオンラインで参加する


 夏が近づくと日本でコミックマーケットがあるように、海外でも大型のコミックコンベンションが各地で開かれます。今年は新型コロナウイルスのためにキャンセルまたは延期となり、各主催者はオンラインイベントの開催に舵を切りました。普段なら航空運賃と宿泊費が必要な海外コミコンがぐっと身近になります。

 

※以下私自身が参加するために北米中心です。アメリカ以外だれかお願いします!またオンラインの開催は米国内からはアクセスできるようですが、日本からはわかりません。


※本家本元のcrunthyrollがリスト公開してくれました!

https://www.crunchyroll.com/anime-feature/2020/06/20/anime-conventions-you-can-attend-online-in-2020


動画配信サービス「Funimation」主催の「 Funimation Con 2020 」7/3-4

英語圏で日本の漫画・アニメに注力するところのひとつが配信会社。そのひとつ「Funimation」が7/3-4にvirtual convention「Funimation Con 2020」を開催します。後述のCruntyrollと比べて、英語圏の声優の吹き替え作品が多いことが特徴ということで、声優のパネルもあります。(イベントのリンクはこちら


 ちょっとずつイベント内容も出てきています。面白いのはゲーム「僕のヒーローアカデミア 2」でのEsportsイベントです。

宣伝PVも出ました。


ビデオによると、『フルーツバスケット』『One Piece』の英語版声優を呼んだパネルを予定しているとのこと。『フルーツバスケット』は声優らとのQ&Aに加えてlive readingもあるそうです。

 すごいのがですねBLUE COUNTとかKANA-BOONのコンサートをやる予定とのこと。時差を考えると録音ですよね。。。?

Anime Expoの「Anime Expo Lite」7/3-4

夏の北米のコミコンの中で、大規模なもののひとつが「Anime Expo」。毎年日本からも漫画家やアニメーター、声優が参加し日本文化発信の一端を担っています。しかし2020年は休止。ということで「Lite」となり、オンラインでの開催が決まりました。今回の会場はYoutubeやTwitchで、4日にはLisAni!と組んだアニソンのコンサートも予定されています。

ほかにはマスクをつけた姿のコスプレコンテスト、アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の声優や制作陣を招いたパネル、天野喜孝さんのパネルなどが予定されています。もちろん、企業がグッズを販売できるブースコーナーもあります。



アニプレックスの「Aniplex Online Fest」7/4-5

 海外のコンベンションでほとんど必ずといっていいほどブースをみるのがアニプレックス。

 今年は独自でオンラインイベントを開催します。「会場」はYouTube&bilibili で英語と日本語の2本立て 。声優や制作陣のトークショウ、過去の音楽ライブのストリーミング、アニメ産業を取り上げるパネルを予定しているそうです。

 まだプログラムの詳細は明らかになっていませんが、作品としては『鬼滅の刃』『約束のネバーランド』『ソード・アート・オンライン』など取り上げられるようです。共同主催がソニー・ミュージック・エンターテインメントなので音楽系のプログラムが多いです。


マンガ・アニメなど業界関係者有志の「Kurotuski Convention Online」7/4-5

 マンガやアニメなどの有志が立ち上げたのが「Kurotsuki Convention Online」。会場はDiscordで、パネルのほかアーティストが作品を販売できるAlleyも設けられるもよう。conventionでの販売はアーティストの収入の一部になっていますのでこれは貴重な機会です。詳細はまだ未公表ですが、fanによるパネルも用意されるみたいです。

一部プログラムはTwitchでstreamingも。


 企業ゲストには『カイジ』などの英語版の出版を手掛けるDenpa,LLCやアジア系のゲームの英語版配信を手掛けるsekai projectが名を連ねています。どちらもパネルを準備しているそうです。

BL+特集の「FujoCon」7/10-11

  個人的に一番楽しみなのがBL特集のFujoConです。以前サンフランシスコで「Yaoicon」という女性の欲望が最大限解放されるイベントに参加したのですが、それ同様、BLにフォーカスしたイベントです。

 海外のコミコンでは自然とBLについてのプログラムやブースも並びますが、やはり数は限られる。ということでBL+にfeatureするFujoConにはすごく期待。主催はBL GardenというBL関連のポッドキャストやパネルを主催しているグループ。

 なお正式タイトルには「BL+」と「+」がついていて、いわゆる商業のボーイズラブだけでなく、LGBTQ、いわゆる二次創作なども含まれるとのことです。個人的には「Women in fandom」が気になります。

 ゲストにアカデミアからBL研究者も参加するとのアナウンスがあり、ひとりで喜んでいます。

(海外のコミコンで楽しいのはアカデミア系のプログラムが多いこともあります)


モンタナ州の「OokiiSoraCon Online」7/11

 モンタナ州で開催されている「OokiiSoraCon」も今年は延期となり、1日だけvirtualになります。

 パネルやコンテストを予定しています。

Okashiconの「Okashicon at Home」7/18-19

  Okashiconは日本アニメに加えファッションに注目したイベント。今年は中止ということで7/18-19にvirtual開催です。まだイベント内容は未定のものが多いですが、コスプレコンテストの開催は決まっています。


KuRoNeCoConの「KuRoNeCoNLINE」7/18

 KuRoNeCoConは毎年ワシントン州で開催されているアニメやゲーム、日本文化にフォーカスしたコミコン。今年は7/18にonlineでやると発表しました。今予定されているのはコスプレコンテストに加え、TicTokを使って、Lip Sync Battle!を開催するそうです。

サンディエゴ・コミコンの「 Comic-Con@Home」関連イベント 7/22-26

 西海岸最大のコミコンのひとつが「 サンディエゴ・コミコン」。新型コロナの影響で2020年のイベントが中止になった代わりに「 Comic-Con@Home」を立ち上げました。すでに、ファンブックの販売などを進めていますが、7/22-7/26にはオンライン上のホールを設け、作品販売やパネルイベントを予定しています。名物の「舞踏会」やゲームイベントも開催されるようです。

  パネルではアニメ「ドラゴン王子」などが取り上げられます。


 ここは、日本の漫画の翻訳版もエントリーしているアイズナー賞の母体でもあるのでこちらの発表もありそうです。

Otakonの「Otakon.Online」8/1

 OtakonはワシントンD.C.で毎年開催されるアジア文化の祭典。アニメ、マンガ、ゲーム、音楽、映画が取り上げられ、もちろん日本文化も含まれます。東海岸では長く大規模に開催されているイベントのひとつ。今年は8/1にオンラインのlive streamingで開催です。

 パネルやゲーム実況に加え、ボードゲームのチャンネルも用意されています。

ワーナー・ブラザーズの「DC FanDome」8/22

 イベントを予定するのは日本の漫画・アニメだけではありません。アメコミの大手の一角、DCコミックスは8/22に「DC FanDome」を予定しています。DCコミックス登場のキャラクターが全員集まるイベントで、日本でいうとジャンプフェスタが近いイメージ。「24-hour virtual convention」とあるので時差を気にせず参加できそうです。言語も英語やスペイン語などだけでなく、 日本語にも対応。

「会場」は、作品をみんなで鑑賞する「DC WatchVerse」、ファン作品を楽しむ「DC YouVerse」、子供向けの「DC KidsVerse」、DCに関わるクリエイターが発信する「DC InsiderVers」、FanFictionが並ぶ「DC FunVerse」の5つのわかれています。ということでファンアートも絶賛大募集中。ゲームやコミックスの新作情報の発表もあるようです。


配信会社「Crunthyroll」の「Virtual Crunchyroll Expo」9/4-6

ちょっと先なのですが、前述のFunimationと並ぶ配信会社Crunthyrollが9/4-9/6に予定しているのが「Virtual Crunchyroll Expo」。もともとリアルイベントを予定していたものがキャンセルになったためです。

 まだ内容は出ていないのですが、例年のCrunthyroll Expoと同様であれば、配信作品に関連するパネルなどが中心になると思われます。


 すでにオンラインのコミコンは相次ぎ開催されています。「ドイツのコミケ」を謳う大型ファンイベント「ドコミ」のオンライン版「DigiKomi(ディギコミ)」についてはKotohaさんの現地からの記事「ドイツのコミケ、VR化で見えた『未来』」が詳しいです。

 私自身は5月に「Cloud Matsuri」に「参加」しました。主催は「All the Anime」というイギリスのdistributer。こちらはVRなどはなく、オンラインのパネルを観るのが中心でした。

 アニメファンのパネルに加え、アニメ『Beastars!』の制作陣のパネル、グランドワークスCEOによる「Evangelion:How to Build A Brand」と題したパネルも。新幹線ラッピングにどうこぎつけたかは非常に勉強になりました。

 残念ながら動画そのものはstreaming onlyでいまは見られませんが、ニュースサイトがインタビューを記事にしてくれています。


BOOKEXPOの「Book Expo Online

 マンガだけというわけではないのですが、北米最大級のBOOKEXPOも今年の5月はオンラインでした。場所はFacebookで6月時点でも一部はアーカイブが見られます。


BookConの「BookConline」

 こちらも書籍系のEXPO。同じくFacebook上でアーカイブがあります。

ファンへのアピールの場を確保する

 個人的に海外のコミコンは2つの要素があると考えています。1つはファンが集まる場所。これは日本のコミケも同様ですが、インターネットがないころの伝統で、「ここにくれば自分と同じものが好きなひとたちがいる」という安心感。海外のコミコンのパネルプログラムは、企業主催だけでなくファンや研究者主催のものが少なくありません。

 もうひとつはそうして集まったファンに対して、企業や組織によるアピールの場です。声優を呼んだパネル、制作陣の解説、クリエイターによるサイン会などあらゆる手段で、既存のファンや潜在的なファンに作品を訴えます。これにはもちろん新作発表も含まれます。書店やグッズメーカーは、イベント限定商品を用意することもあり、ファンがそれをもとめて集まる要素にもなっています。(この辺はコミケにも近いですね)

 リアルな場所でのコミコンの中止・延期は企業にとってそうした場が失われてしまったということ。もちろんツイッター含め、オンラインで取り組んでいますが、いわゆるserenpidityのような「興味はなかったけれどもイベントで偶然目にした」という機会は減ってしまいます。オンライン上であっても「複数の作品が並ぶ」という機会は、少しでも偶然の出会いにつながると期待したいです。

 なお、コミコンでは「会場でみんなで作品を見る」というプログラムが少なくないのですが、こちらは今FunimationとKodansha.USAが組んでオンラインでやっています。

 すごいシンプルで毎金曜日の17:00(PT)からみんなでアニメを観ようというもの。もちろんFunimation配信作品ですが、ファン含めchatが楽しいです。(ハッシュタグは#HomeAnimeClub)

  ちなみに、Kodansha.USAは2021年春の出版予定作品の告知もYouTubeでやりました。


 (私はひとりで「春の呪い」の翻訳に歓声を上げておりました。『来世は他人がいい』はこないのですかね。)



ファン同士のかかわりをどう確保するか

   ツイッターでKatohaさんがご指摘されていたのですが、今のところ出ているオンラインイベントはファン同士のコミュニケーションにつながるものが少ないのが現実です。どうしても主催者側からの情報発信になってしまっています。7月以降のイベントではどうなのかはこれからですが、chat含めてどう盛り上がるか気になります。



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