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RESAS1 産業構造マップで宇治をみる

今回から地域経済分析システム「RESAS」の使い方を解説します。図書館でもいずれ活用講座を手がけ、市役所・学生・起業家に利用を広げるのが目標です。

1.RESASって何?

RESASトップページ

RESASは、一言でいえば「楽しく地域のデータを分析できるツール」です。産業、観光、人口など様々な角度から、グラフを使ってデータを可視化してくれます。
地域を知る方法としてウィキペディアタウンが各地の図書館で開催されていますが、RESASの使い方講座をやると自分たちの街の強みや課題が共有できるのではないでしょうか。

2.産業構造マップを使ってみよう

それではまず、画面左肩のタブから「産業構造マップ」を選択してみましょう。ここでは地域経済を支える産業の全体像や特色を把握することができます。国の資料にも役立て方がちゃんと書いてあります。

地域の付加価値額、従業者数、労働生産性についての「特化係数」を様々なグラフやマップで分析することで、地域で強みのある産業を特定し、産業政策を検討する。

総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」

産業構造マップのメニューにある「稼ぐ力分析」では、地域の産業がどれだけ稼ぎ、効率的な生産を行い、多くの労働力を確保しているのかを「特化係数」という指標で他の自治体と比較できます。
画面右のメニューから産業を指定することができ、ヒートマップで特化係数の度合いを目で見ることができます。

2-1.製造業

製造業の特化係数(ピンが宇治市)

まず、製造業の特化係数データを出してみました。ユニチカや槇島地区など工場がある宇治市は濃いオレンジ色になっています。僕の地元の近くだと、事業所の少ない芦屋市は薄め、工場への通勤が多い播磨町は赤色です。

2-2.農業

農業の特化係数(ピンが宇治市)

続いて農業でヒートマップを表示すると、茶業を抱えるためか宇治市の赤色が際立ちます。茶業では宇治田原町、和束町や東近江市、亀山市も該当しますが、宇治茶ブランドがやはり強いということでしょうか。

2-3.宿泊業

宿泊業の特化係数(ピンが宇治市)

最後に宿泊業を見てみましょう。神戸市や京都市は区で区分されるため満遍なくオレンジ色、大津市や奈良市は赤色になっています。三田市や能勢町、菰野町が赤色なのが意外です。
こうしてみると、京都と奈良の真ん中にある宇治市は昼間滞在する人は多くても、宿泊ではまだ稼ぎきれていないのかもしれません。

2-4.産業別の稼いでいるポイントが分かる!

宇治市ー農業のグラフ分析

右メニューでは、産業別の特化係数をグラフで分析することもできます。
宇治市の農業で調べた結果、2016年のデータでは下記3つの特化係数でいずれも1を超えていました。

  • 付加価値額(青色):どれだけその産業で稼げているか

  • 労働生産性(灰色):どれだけ効率的に生産しているか

  • 従業者数(オレンジ色):どれだけ多くの労働力を確保しているか

3.自分たちの街の稼ぎ方、知っていますか?

産業構造マップを分析することで、自治体ごとの強みを知ることができます。同じ色の自治体どうしで連携する可能性もあるでしょうし、宿泊業で稼げてないからテコ入れしよう!と政策をうつことも可能です。
都道府県単位でより最近のデータを分析できる「V-RESAS」も合わせて使うと面白いですよ!


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