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115-118冊目:最近の読書

115冊目:皿の中に、イタリア

内田洋子さんのイタリアでの生活を食の視点から描かれたエッセイ。

普通の観光客が思い描くようなイタリアとは全く違う泥臭い、誰も知らない場所。カラブリア。その土地について著者が調べていた時に出会った魚屋のカラブリア出身三兄弟。無口な彼らから毎週、魚を買い、自宅で魚パーティーをする。

このエッセイに登場する食事はミラノの郷土料理(米料理やカツレツ)や、焼きたてでないフォカッチャを熱々のカップチーノに浸して食べるという、地元民の食べ方。

ありありと描かれるイタリアの人々に魅了されつつ、その地元の輪の中に入れてもらえたような嬉しい気持ちになる本。

116冊目:窓ぎわのトットちゃん

ずっと気になっていたトットちゃん。やっと読めた。凄く面白くて、これぞ名作だと思う。

トットちゃんは小学一年生。少し変わっていて、学校を退学になっている。だけど純粋で優しい。そんなトットちゃんは新しい学校で素敵な校長先生や、個性豊かなクラスメイトと出会い楽しい毎日が始まる。

海のものと山のものが入ったお弁当や、好きな勉強を好きな時間にできる教育スタイル、電車の学校。この校長先生が本当に素晴らしい。

とにかく、校長先生は、子供たちの、生まれつき持ってる素質を、どう、周りの大人達が、損なわないで、大きくしてやれるか、ということを、いつも考えていた。

本書p.139より

この本の面白いところは、トットちゃんの日常を通して、著者である「黒柳徹子」の子供時代が垣間見えるところにもある。

例えば、トットちゃんが通ったバレエ教室。

この先生が、実は、石井漠という、日本の自由舞踊の創始者であり、この、小さい町に止まる東横線の駅に、「自由が丘」
という名前をつけた人だ、などという事を知ったのは、大人になってからのことだ。

本書p.230より

117冊目:センス・オブ・ワンダー

この本の著者であるレイチェル・カーソンは1「沈黙の春」(1962年)で自然破壊への警鐘を鳴らした。そんな彼女は、最後に本書を執筆し、完成する事なくこの世を去った。

センス・オブ・ワンダーとは、神秘さや不思議さに目を見はる感性、子供たちが持つ、驚きと感激に満ちた世界を見る洞察力です。

不思議なことに、ヒトは他の動物に比べて子供時代が長い。そして、その10年もの長い期間に子どもに許されていること、それは遊び。

闘争よりもゲーム、攻撃よりも友好、防御よりも探検、警戒よりも好奇心、それが子どもの特権である。つまり生産性よりも常に遊びが優先されてよい特権的な期間が子ども時代だ。

本書p.90より

そして本書では、著者であるレイチェル・カーソンとその甥の自然での体験が描かれている。

118冊目:さんかく

千早茜さんの小説。彼女の書く文章が大好き。特に食べ物のお話となると、五感をフル活用して匂いや食感、音、イメージが広がる。

この本に出てきた料理は食べたくなる。

例えば「あけぼのご飯」

土鍋の中は鮮やかなオレンジ色だった。目がしぱしぱする。

本書p.39より

土鍋で、昆布出汁と人参のすりおろし、たたいた梅干しと炊いたご飯は優しい甘さで二日酔いにいいらしい。

千早茜さんの本を読むと、食の趣味が千早茜寄りになっていっている気がする。知らんけど。

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