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コヲロコヲロ

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神代の昔から途切れることなく連綿と続く、とある夫婦の愛と戦いのマイソロジー。これが本当の“正史”かも?
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〔コヲロコヲロ〕pdf版

 拙作〔コヲロコヲロ〕のpdf版を配布いたします。  〔コヲロコヲロ〕はここnoteで問題なく最後まで読めますが、残念ながらnoteにはルビ機能がなく、表示も横書きです。本作はもともとルビあり+縦書き表示を前提に書いた作品ですので、note掲載時にあちこち削ったり改行を増やしたり、かなり変更を加えてあるんですね。本来の形と比較するとどうしても「デチューン版」という感は否めない。  そこで、ちゃんと読みたい方向けにレイアウトや文字の見え方まで気を配ったpdf版も配布させても

「私と添い遂げる覚悟はあるか?」

 源沖継は、有り余るほどの才能を持つ高校3年生。模試の成績は全国でもトップクラス、スポーツをやればプロからの誘いが引きも切らず、地元の不良たちからも尊敬の念を集めている。当然ながら大勢の女子生徒にも慕われていたが、どうした訳か沖継はそれらの女の子たちの告白に一度たりともOKをしたことがなく、彼女いない歴=年齢という不名誉な記録を更新し続けていた。  そんな沖継の転機は、18歳の誕生日に訪れる。  親類縁者勢揃いで大々的に開催された誕生パーティ――かと思いきや、実は結婚披露

主な登場人物(CW)

 俺は源沖継。東京近郊の芳沢市在住、高校三年生。歳は十七だけど、明日、五月二十一日が誕生日でさ。もうすぐ十八歳って言った方が早いかも。  世間的には、十八歳ってひとつの節目らしいよな。  たとえばうちの両親は「十八になったらさすがにもう子供扱いできないな」だの「法的にも結婚できる歳ですしね」だの言いながら昔日を偲ぶ遠い目をしてたし、たまたま俺と生年月日が同じ親友の拓海も「競馬やパチンコ、車の免許、そして何よりエロ方面もついに全面解禁だな!!」なんて嬉しそうにはしゃいで

第1章

1-1:華麗かつ平穏な俺の日常  言い忘れてたけど、俺の通学風景は同級生の女友達・滝乃コノとセットで成り立ってる。昨日は用があったらしくて学校を休んでたんだけど、俺が十八歳の誕生日を迎えたこの日はちゃんと通学路の途中でいつも通り俺を待っていた。 「おはよ、沖継くん。相変わらず時間ぴったり」 「それはお互い様」  コノは徒歩通学なので、俺は愛用のMTBモドキ号を降り、押して歩く。  で、昨日あった出来事を何となく一通り話してみたんだけど。 「ふーん、じゃあ、今年の沖継くん

第2章

2-1:それが俺の正体なんだってさ  俺はその時、和服を着流しで粋に着こなしつつ、ダブルクラッチ必須の旧型自動車をクーペからダンプまで自在に乗り回し、右手には旧軍の三八式小銃、左手には形式不明の大口径拳銃を携えて、何とも表現しがたい醜悪な姿をしたバケモノどもの群れを片っ端から撃ち殺しまくっていた。  何だそりゃ意味わからん滅茶苦茶じゃねぇか、と誰しも突っ込みを入れたくなるだろうけど実際に無茶苦茶で、目につく人たちの生活様式や文化レベルも、江戸時代、明治、大正、戦前戦後が入り乱

第3章

3-1:ほころび 1  ガキの頃の俺は、いつも、ひとりぼっちだった。 「また沖継か……」 「邪魔なんだよな、あいつ……」 「おい、別んとこ行こうぜ」 「沖継がいたら、面白くないんだよ」  サッカーでも、野球でも、ゲームでも、絵を描いても、プラモを作っても。俺に叶うヤツはいなかった。みんなで一緒に楽しむ、競い合う、そんな形には絶対ならない。いつも俺が一人勝ちして終わっちまう。だから、避けられて、疎まれて、嫌われて。  しょうがないよな

第4章

4-1:追憶  俺が拓海と初めて出会ったのは、今からちょうど五年前。  中学一年の一学期、ある日の昼休み。  第一印象は最悪だった。 「源沖継とか言うヤツ、このクラスにいるんだよな。どいつ? ……ああ、お前か。何だか全然凄そうに見えないな。ケンカとかめちゃくちゃ強いらしいけど、お前、どうやって鍛えてんだ? ちょっと教えろよ」  見たことない顔だなと思ったら、この日に九州は熊本から転校してきたばかりらしい。しかも転入したのは俺と違うクラス。そんな転校生がいきなりやってきて初

第5章

5-1:Innocent  眼前には険しい山々の峰が連なり、雲海の彼方へと果てしなく伸びる。  何の気なしに振り返ると、今度は、広大な大海原が視界いっぱいに広がっていた。  足元は巨大な岩、切り立った崖の一角。海と山の狭間に立つ俺の頬を力強い風が吹き抜けて、深緑の匂いと潮の香りが一緒くたになって鼻腔へと流れ込んできた。  この辺りの景色は、どこに行ってもこんな感じだ。うんざりする。  絶景なんて言えば聞こえはいいけれど、つまりは山と海ばかりでロクな平地がないってことだ。穀

第6章

 奥秩父、三峯。  妙法ヶ岳、白岩山、雲取山の三山から成るこの地は、古くから山岳信仰の対象として人々の畏敬を集めてきた。ヤマトタケルが東征中に建立したと伝えられる三峯神社を中心に観光スポットも多数あり、参拝者や登山客らが季節を問わず訪れるが、立地の険しさ故に世俗化しすぎることがない。参道のすぐ側にも熊などの猛獣が徘徊した痕跡を容易に見いだせるし、絶滅したとされて久しいニホンオオカミの目撃情報も未だ絶えぬと知れば、ここを秘境と呼ぶのを躊躇う者はいないはずだ。  まさに神々の棲ま

終章

 羽田空港、展望デッキ。  ここに来るのは、父さんと母さんに連れられて家族旅行に出かけた時以来だ。もう何年前になるのかな。懐かしくも温かい、大切な思い出。   「お……? あれ、政府専用機じゃないか?」  はるか彼方、着陸姿勢に入りつつ滑走路へと滑り込んでくるジャンボジェット機の小さな姿を指差しながら俺は言う。カラーリングが日本航空と同じ白と赤だから遠目じゃ勘違いし易いんだけど、間違いないや。垂直尾翼が日の丸だもん。   「そういや、新任の総理大臣が訪米から帰国すんの今日だ

note版あとがき(CW)

 まずは、拙作を読了していただいたことに感謝を申し上げます。  なにせ分量が分量なので、お読みになるのもそれなりに大変だったと思います。少しでも読みやすいようレイアウト等にはそれなりに気を遣ったつもりですが、noteにはルビ機能がないんですよね。おまけに横書き。  いわゆるネット小説に近い体裁で改行をバシバシ打ちまくったので、語り部でもある主人公沖継の口調も相まって小説というよりブログ読んでるような感じだったのではないかと。こんな長いブログがあってたまるか、とは思いますけど

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