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スギとヒノキ見分けられる? 〜だったら擬人化で〜

第1集  スギとヒノキ見分けられる?〜日本は木の文化なのか?〜​
第2集  スギとヒノキ見分けられる?〜だったら擬人化で〜

スギとヒノキの見分けなんてのは殆どの人が興味もなく、無駄知識程度の認識なのだということがまず現実にあります。
しかし木を扱っている自分たちにとっては、料理人が塩と砂糖を見分ける事と同じく重要な日常です。塩と砂糖の見分けは生活に欠かせない技術なので誰もが習得しますが、スギとヒノキは見分けられなくても生きていけます。

森林教育といっても興味のきっかけを与えるだけで、継続的に興味をもって触れる機会がなければ知識として定着しません。いくら子供たちにスギとヒノキの葉っぱの違いを教えても、興味を持てなければすぐに忘れてしまいます。

では、興味が無いことに興味を持たせるにはどうすればいい?
あ、そうだ。日本には不思議な文化がある。

擬人化です。

こちらのふたり。どちらがスギちゃんでどちらがヒノキちゃんでしょう?

スギとヒノキ

持っている木の葉っぱを見ればすぐに分かりますよね!
さすがにスギちゃんとヒノキちゃんでは味気ないので名前もあります。

杉先未来(スギの木がどう日本の未来を変えていくか)=快活なイメージ
八神桧希(神社仏閣に使われた神の宿る神聖な木)=おしとやかなイメージ

過去に趣味で漫画やイラストを描いていた経緯がありますが、10年以上のブランク。デジタル作画を基礎から勉強しました。

さらに森林教育の延長として、これら擬人化キャラを使って森からのメッセージを発信するという思惑もありました。例えば

「森を大切にしましょう」

というメッセージを伝える場合、文字だけではなかなか心に響きません。そこで擬人化キャラを登場させると

ヒノキ009_森を大切に

こんな感じになります。これだけでメッセージバナーとして利用できます。中高大学生くらいにまで見てもらえれば成功です。

どうせならもっと増やしていこう

日本人の女性には「桜」「楓」「梓」「桂」など樹木の名前があります。古くは「梅」「かや」などもありました。華やかさや神秘的な存在であった樹木を女性に重ねたのでしょう。
男性の場合は「一郎」「二郎」「三郎」に代表されるように生まれた順番が大切でした。

ですから樹木を女性のキャラに擬人化していくのは違和感のない設定です。身近にある樹木について実際に山野で見つけて写真を撮り、樹皮や葉っぱ、樹形などを絡めて擬人化イラストを増やしていきました。
約3年ほどかけて全部で20種の樹木についてイラストを完成させました。

木美イラスト一覧

もうお分かりかと思いますが、森林教育のためとか、そんな理由でここまでの作画なんてできません。

つまり樹木を観察しイラストを描く事自体が楽しくなり、いつしか
「日本に木の文化を取り戻そう」
などという崇高な(笑)目標は消えていきました。

興味があるから楽しい。楽しいから続けられる。3年かけて生み出したこの20人はちゃんと自分の中で息をして今でも存在しています。

一方的な言葉のメッセージで押し付けないで、こうした取り組みや姿勢で共感してもらえたら、その方がずっと価値があるように今は感じます。

大切なのは興味を持つこと。行動すること。感じ取ること。

さあ、週末はちょっと森に行ってスギとヒノキを探してみませんか?

森の声より

第1集はこちら スギとヒノキ見分けられる?〜日本は木の文化なのか?〜​

予告:第3集もあるかも…。

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