上品とは? 平安貴族藤原家を考察する

平安以前:天皇家を中心とした豪族がひしめく中央集権志向の時代
平安時代:天皇、天皇家は雲上人。藤原家が実権を握る。

貴族は荘園を持ち、地頭(のちの武士)に管理させ、そこから上がる年貢を不労所得として獲得。地頭は年貢の半分を手数料として搾取。持ちつもたれつの関係がある。(大株主の未亡人とやり手経営者)

貴族は
①年貢で都の消費を賄う
②儀式を行うことで国の風格の保全
③文化的統一
④地方分権化

国の政策にはほとんど関心がない。
もし今の政治家が全く政治に関与せず、耽美におぼれているほうが、現代の地頭(官僚、公務員)が仕切るのですべてうまくいくかもしれない。

泥臭いことはしない、汗をかかないことが貴族的上品さ。藤原家は「上品な」政治を作ったのである。

日本にはこのような上品な政治リーダーがしばしば生まれる。
典型は近衛文麿や細川護煕

何もしないリーダーは日本の伝統。徳川家も綱吉、吉宗以外はリーダーシップなし。特に家綱は「そうせいさま」と揶揄された。各藩もこの調子で天下泰平の世での平安文化のDNAが隔世遺伝を起こした。(外国は基本、ワンマン)

ノーブルと上品

上品:軟弱、サバイバル能力なし、社交術に長け、耽美的
ノーブル:克己心と用心深さ

欧米の貴族は体格が良い。意思決定をし、適応力が高い、やせ我慢、勇気がある。さらに財産を守るための用心深さ。隙のない会話力や服装に見て取れる。
ジェントルとは?
これは英国における紳士でブルジョワへの表現。ノーブルは貴族的上品さ、ジェントルは庶民の上品さである。紳士はマイルド、感情を出さず中庸を旨とする。そして他人の意見になびかない、他人任せにしない。

アジアでの上品は、知識至上主義。なんといっても科挙。青白きインテリ。知識偏重は中国、そしてフランス。日本では貴族は和歌や文化に通じていたが、知識のあるなしが上品の基準ではなかった。

今の日本は2世などリーダーの軟弱化が言われている。「人柄満点、能力0点」。日本で3代以上継続できる金持ちは少ない。1つは教育が甘くなる(上品を求める)激動期に耐えられる知恵がない。
ある意味、上流の育成・継承では日本は失敗国である。日本社会の特質は平安的な上品さ。
藤原家や、源氏物語の世界を憧れるのは自由だが、国際化の波の中ではとても生きられない。
「上品」を再考すべきときがきたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?