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まとめ:日本の大学には、貴重な学術資料や芸術作品を収蔵・展示する博物館や美術館が数多く存在します。これらの施設は、大学の研究成果を社会に還元し、生涯学習の機会を提供する重要な役割を担っています。

明治大学博物館 刑事部門

明治大学博物館の刑事部門は、1929年に法学研究における実物実見の重要性から設立されました。江戸時代から明治初期の刑具・拷問具や行刑関連の古文書などを収集・展示し、過去の法と刑罰への理解を深めることで、現代の法と刑罰を考える機会を提供しています。特に注目すべきは、国内唯一の展示資料であるギロチンや、中世ドイツの拷問・処刑具「ニュルンベルクの鉄の処女」など、衝撃的な品々の数々です。これらの展示を通して、かつての人権抑圧の歴史を知り、人間尊重について考えを深めることができます。2012年には開館から8年強で来館者数50万人を達成するなど、法と人権について学ぶ場として高い人気を博しています。


早稲田大学演劇博物館のシェークスピア全集

「ウィリアム・シェイクスピア氏の喜劇、史劇、悲劇」1623

早稲田大学演劇博物館は、坪内逍遙博士の古稀(70歳)と『シェークスピヤ全集』全40巻の翻訳完成を記念して1928年に建てられました。2020年12月には、翻訳家・演劇評論家の松岡和子氏によるシェイクスピア戯曲37作品の新訳が完結し、「松岡和子とシェイクスピア劇翻訳」と題した展覧会が開催されました。松岡氏の業績は、坪内逍遙以来のシェイクスピア全戯曲の日本語完訳として高く評価されています。同博物館は、これらの貴重な翻訳を所蔵・展示することで、シェイクスピア作品を通した英国文化の理解促進に寄与しています。


東京藝術大学美術館

東京藝術大学大学美術館は、日本を代表する美術大学の博物館として、優れた美術作品を数多く所蔵しています。同館の収蔵品は、油彩画、版画、彫刻、工芸品、デザイン作品など多岐にわたり、約3万点に及びます。中でも、日本画家の横山大観や川合玉堂、洋画家の岡田三郎助や小山正太郎らの作品が有名です。同館では、これらの収蔵品を活用した企画展を年間4回程度開催しており、大学の研究成果を社会に還元する場となっています。また、大学の教育現場でも活用されており、学生が実物の作品から学ぶ機会が設けられています。さらに、大学の卒業制作や修了制作の優秀作品を展示する卒業・修了作品展も毎年開催されています。このように、東京藝術大学大学美術館は、日本を代表する美術作品の収集・保存・展示を行うとともに、大学の教育研究活動を支える重要な役割を果たしています。

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