宇想月

かつては、ハルキストを自認する活字中毒者。遠藤周作、吉行淳之介、安岡章太郎といった「第…

宇想月

かつては、ハルキストを自認する活字中毒者。遠藤周作、吉行淳之介、安岡章太郎といった「第三の新人」の作品で、本の世界に没入。また、クルマ大好き。愛車は、ちびっ子レンジローバー のディーゼル。履歴書の趣味欄に、必ず「洗車」と書くオジさんなのです。雅号の如く面白半分に生きております。

マガジン

  • ブログ 今昔“比較”物語  

     昔は佳かった。年寄りの口癖ナンバーワン。しかし「温故知新」的なスタンスで読んでいただける方が、少しでもいてくだされば、これほどの幸いなしと考えます。昭和人による、平成人のための、令和という奇妙な世に、感じて思って考えたことを、やはり面白半分に書いていきたいと思います。

  • コンクール応募:上京のはなし

    シェア・ハウスなんて夢のような仮住まいを安価で提供している、TOKYO <β>社が主催する応募企画に賛同して、いくつかのエッセイ風文章を応募したいと思います。田舎者が上京して遭遇する楽しさや、貴重な経験について書いてみます。なお、私が東京に住んだのは、もう40年以上も前の、1980年〜1985年。つまり、昭和の昔話であることを、あらかじめ申し添えておきます。

  • コンクール応募:ライフネット生命+note

    「自分で選んでよかったこと」には、いくつものパターン分けができると思います。自信満々に決めたこと。迷った末にやっと選んだこと。立場上、自分の望みをかなぐり捨てて決めたこと。計算ずくで選んだこと。自分の意志ではなく選ばされたこと。人それぞれでしょうが、結果オーライならば、それで良し。今まで書き綴ってきたブログを眺めてみると、この趣旨に合う文章が、いくつか見つけることができました。それぞれのマガジンから取り出して、いくつか紹介してみようと思います。よろしくお願いします。それぞれ、何をどのようにして選んだのでしょうか?

  • コンクール応募:未来のためにできること

    標記のタイトルは、文藝春秋社さん主催のコンクール企画です。制限字数1000字以内というのは、意外なことに、とても難しいことが判明。普通の原稿用紙2枚半。鬼門的字数だと思います。いつものブログでは、2500~3000字ぐらいでダラダラ書いているので、「精選」作業が必須。おっかなびっくり書いています。

  • ブログ 阿房日記

    内田百閒という作家を、ご存知でしょうか?大昔の1971年には亡くなっている方です。代表作は「阿房列車」という紀行文です。日本各地に、目的もなく汽車の旅をしました。その飄々としている人間性に憧れさえ抱いたものです。目的地の駅で降りたら、駅舎外には出ずに、戻りの汽車に乗って帰る。その繰り返しでした。そのタイトルを勝手に使わせていただき、飄々とブログを書き綴ります。「このアホウが」と言われて本望です。では、どうぞ。

最近の記事

コスパな家なんて

 2000年に自宅を新築。その時、最初に学んだのが「半値八掛け」という業界用語でした。住宅メーカーは、施主が捻り出した資金の半値八掛けのコストの家を、堂々と販売しています。しかし、断じて違法ではありません。なぜなら、企業が利潤を追及していくのは、ごく当然のことだからです。  一般社会には「利益率」という言葉があります。売買に、利益が発生するのは、当然です。住宅メーカーでも、同じことです。ちなみに、テレビCMの料金は、1回の放映でも5000万だと聞いたのは、西暦2000年の時

    • Ojisan’s Loneliness

       幼なかった頃、確かNHK教育テレビの「みんなの歌」で聞いたと思います。 「1年生になったら、1年生になったら、友だち100人できるかな ♪」  好きな歌だったようで、よく歌っていたと母親に聞きました。入学した小学校は、1学年3学級。100人余の集団でした。その当時100という数字は、幼なかった私の想像できる数の概念をはるかに超えていたのでしょう。とにかく、たくさんの友だちができることをずいぶん楽しみにしていたようです。  あまり人の好き嫌いがない性格だったので人との出

      • エアコン・クライシス

         毎年恒例という表現は、明らかに不適切ですが、最近の自然現象は異常です。ニュースでは「これまで経験しなかった」「観測史上最も」「命の危険を感じる」など、言い方がどんどんエスカレートしてきています。  昔々は「日射病」と呼び、真夏の屋外に何時間もいても、帽子を被ったりして、日差しを避けると、まず大丈夫。ソフトテニスの監督時代は、カッコつけて帽子を被らない奴がバタンと倒れたものでした。木陰に運んで、それで終わり。まあ、いつものことでした。  さすがに、台風の影響によるフェーン

        • A thousand winds

           この年になると、自分の死の後始末について考えるようになりました。法律には抵触しないように、できるだけ迷惑をかけないで、この世からおさらばするつもりでいます。  業者さんには、既に会員登録済みです。ただし、自分で予定日を決めるつもりはありません。どこかの山奥の洞窟内にある、短くなった、私のロウソクが消えるに委ねます。  おそらくは、病院で息を引き取ると思われます。すると予約済みの葬儀屋さんが、迎えに来ます。市役所に、仮葬許可証をもらいに行ってもらいますが、新聞も広報でも、

        コスパな家なんて

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        • ブログ 今昔“比較”物語  
          3本
        • コンクール応募:上京のはなし
          5本
        • コンクール応募:ライフネット生命+note
          8本
        • コンクール応募:未来のためにできること
          4本
        • ブログ 阿房日記
          10本
        • 経験則の国語力育成術
          10本

        記事

          Open your eyes!

           人間の三大欲求は、生きていく上で欠かせないものと定義されています。それは、食欲性欲・睡眠欲です。すなわち、食いたい・ヤリたい・眠りたい。健全な欲望です。3つの欲は、それぞれ独立しでおらず、生存欲として一括で考えるべきです。  なぜ、少子化対策の会議では、性欲をタブー化した不毛な議論をつねにしているのでしょうか。特に、結婚を前提とした議論は、論理の飛躍すること甚しいと思います。  人間は、単なる動物に過ぎません。性欲という本能を避けては、何の進展もあり得ないことを素直に受

          Open your eyes!

          「限界」が来る前に

           少子化問題は、1990年の、「1.57 ショック」に端を発している。俗に「出生率」と言われ、1人の女性が出産する人数である。全国平均では、2人の兄弟姉妹は崩壊していたということだ。30年以上も前から、少子化は深刻な問題だったのだ。  国の少子化対策として、1.57 ショックの4年後に、エンゼル・プランという、呑気な名前の施策が始まった。それから2003年に、次世代育成支援対策推進法・少子化社会対策基本法が制定されるという亀の歩み。問題を軽視している証拠だ。  施策の内容

          「限界」が来る前に

          Destiny of Lunch

           上記の写真は、ある学校で供された給食だそうです。どうやら、右の具をぶっかけて食べる「麻婆丼」のようです。ほんの少しの野菜とパック牛乳が見えます。いかにも給食という趣が見取れます。さて、この1食の給食費はいくらなのでしょうか?  現在勤務している学校は、1食370円です。しかし、諸事情により、私が給食にありつけるのが、週に2,3回。後は弁当持参です。ここの給食は、私の知る限り、一番おいしいです。洗練されたメニューであることに加えて調味料が豪華なのです。  サラダ・ドレッシ

          Destiny of Lunch

          ICTは目的にあらず

           10年ぶりに学校に勤めることになった。そこは、ペーパーレス、ICTの世界に変貌していた。PCをミラーリングする大型の電子黒板が置かれ、教卓に教師の姿はない。教師は、その横でスライドを操作しつつ、授業は進んでいる。スライドは、淡々と進んだ。  話し手の教師は、プレゼンがトラブルなく終わったことに、ただ安堵していた。私は、そこに何か大きな欠落を感じた。そして「人間味」という言葉も、頭に浮かんできた。特に、教師の目線の動きが、異様に感じた。  さて、毎朝のNHKニュースで、「

          ICTは目的にあらず

          渋谷区渋谷4-4-25

           渋谷という地名は、いろいろな説がある。実際の生活に即して考えてみると、「渋」の字は侵食で窪んだ土地を示し、「谷」を加えて、武蔵野の凹凸を示していると、体感として感じ取れる。駅前辺りは、まさに谷底。きっと水はけの悪い場所なのであろう。  谷底の地名が、宇田川町。宇田川という川が、渋谷の谷底を流れていたそうだ。そこから南北には、道玄坂と宮益坂、国道246号の金王坂といった急坂があり、「上る」と言うより、「昇る」「登る」の方が、適切な字だと思わせるぐらいである。  こうした極

          渋谷区渋谷4-4-25

          新宿区河田町って?

           地下鉄曙橋からの小道は、狭い道の両側に独特な店が並んでいた。衣装屋さん、着ぐるみ屋さん、大道具や小道具屋さん、そしてブロマイド屋さん。色とりどりの道具類の陳列をかき分けるように歩き、大きな建物左端の「通用口」に向かう。いわゆる裏口である。  警備員さんに「エキストラ同盟です」と告げると、「◯△◇※」と言われるので「◎*#▽」と言う。入口が開錠されて、中に入れてもらう。ここは、「フジテレビ」である。タレントたちは顔パスでも、私たちには通用口で「合い言葉」が要求されるのだ。

          新宿区河田町って?

          世田谷区池尻から

           上野から北上する列車に乗ると、下に無数のバイクが重ね置かれているのが、見えた。通称「バイク横丁」である。ショールームには「ハーレー」「ドゥカティ」「トライアンフ」「BMW」などが、陳列されている。値段も軽の新車1台分。実にカッコいい。  厚顔無恥な態度を崩さず、1件ずつ訪ね歩く。「一番安い原付を買いたいんですけど」と言い続けた。知らんぷりする人も多かったが、諦めずに回った。何件目だったか、目の優しそうなオジさんが「どこから東京に?」と聞いて来た。出身地を告げると、「スクー

          世田谷区池尻から

          世田谷区大原へ

           上の写真は、今の西新宿の夜景。それなのになぜこの表題なのか?「大原」という地名は、ちょうど環状7号線と甲州街道が交差する場所にあり、下北沢駅からは徒歩15分強の場所だった。「◯カギビル」という建物で、1回は印刷工場で、2~3階がアパートという造りだった。その3階に部屋を借りた。屋上があり、洗濯物を干したり、眺めを楽しんだ。新宿の夜景も、これぐらいの距離感で見えたのである。そして、右には東京タワー、左には富士山まで見えた。東京は狭いことを、この目で実感した。  部屋の間取り

          世田谷区大原へ

          杉並区下井草より

           東京での記憶は「養老牛丼」をかき込んでいる場面から始まる。「世の中に、こんなうまい物があったのか」という驚きが、他の記憶を抹消してしまったようだ。1980年、バブルはまだまだやって来ない時代。現役で受けた大学は、全部アウト。そんなザマミロ話は、一瞬にして集落全体に広まるものだ。ここには、もう居られない。東京に行くしかないと、決めつけていた。高校の卒業式などサボって、田舎を飛び出してきたのだ。  生まれて初めて牛丼を食べた。その時、吉野家も松屋も知らなかった。深夜というか明

          杉並区下井草より

          Genius & Gifted

           どちらも英語で「天才」という意味です。ただし、ニュアンスは大きく異なります。ジーニアスは、特定の分野で顕著な才能や創造性をもつ人物を指し、ギフテッドは「神からの贈り物」という意味で、生まれつき特定の能力が非常に突出している人を指します。一般に、IQ130以上の人を、ギフテッドと呼ぶそうです。  人間の性格も「神からの贈り物」と表現する説があります。「タイプ論」を提唱したユングの弟子に、ブリッグスとマイヤーという人物がいます。自分の性格に、劣等感コンプレックスを抱いていた私

          Genius & Gifted

          TICに学ぶこと

           この頃、疎遠となっていた専門分野。臨床心理学…。4月末に研修会に出席して以来新しい職場のゴタゴタもあり、すっかりご無沙汰になっていました。先日、心理士ライセンス維持にも関わる研修会があり、良い機会とばかり喜び勇んで、参加してきました。  片道150km程度ですが、車で遠出するのも久しぶりです。4年目の定期点検が済んだ愛車は、快調そのものでした。道中は、ずっとApple Music を聴いていました。「○○○さんのステーション」を再生しっ放しにしていたところ、一度も途切れる

          TICに学ぶこと

          統計上、有意差なし

           毎年7月末になると「全国学力・学習状況調査」の結果が公表されます。この調査の動機を探ると、日本人の学力を世界の上位にしたいという思惑があるようです。また、日本の大学のレベルが、世界の上位とはほど遠いという劣等感からも、来ているように思われます。  そこで、いわゆる「底上げ」を図るべく、この調査は、小6、中3対象です。全国公立学校で実施する義務があります。もちろん、私立学校にも実施「要請」されます。しかしこんなテストで高得点をマークしても、メリットなしと拒否されるに違いあり

          統計上、有意差なし