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コーヒーでできる二酸化炭素削減

コーヒーは植物であり、本来カーボンニュートラルのあるものですが、
コーヒーかすの取り扱い方によっては、余分な二酸化炭素を排出する要因になり得ると考えています。
今回はその影響と、現在の日本の現状をまとめました。

温室効果ガス排出量の現状

環境省と国立環境研究所が毎年の温室効果ガスの総排出量をまとめて報告しています。
①2020年度の温室効果ガスの総排出量(CO2換算):11億5,000万トン
②2020年度の森林等の吸収源対策による吸収量     :4,450万トン
①-②:11億600万トン
総排出量はゆっくりと減少はしています。
*2020年度は、コロナ禍による製造業の生産量減少、旅客関係の需要減の影響がある

出典:環境省&国立環境研究所 調査結果より
https://www.env.go.jp/content/900518857.pdf

総排出量を減らすとともに、森林等の吸収源を増やす施策も引き続き実施し、カーボンニュートラル、さらにはカーボンネガティブにしていく必要があります。

コーヒーかすをそのまま捨てると?

含水量の影響

コーヒーを抽出した後、コーヒー豆は水分を含水します。
以下は、当店でドリップするコーヒーの調査結果を示したグラフです。

*LIASION調べ

オレンジがコーヒー豆量、水色が抽出後に増えた水分量を示しています。
これから見ると、コーヒーかすはほぼ同量の水分を含水することになります。
乾燥したコーヒーかす自体の総発熱量は高く、以下の通り、石炭と遜色ない総発熱量を持っています。

        総発熱量
石炭      約6,500kcal/kg
コーヒーかす  約5,500kcal/kg

コーヒーかすは植物で燃焼してももともと吸収された二酸化炭素を排出するのみであるため、カーボンニュートラル性が高い燃料として注目されています。
一方、コーヒーショップや家庭から排出されるコーヒーかすには上記のように水分が多く含まれており、総発熱量は1/2~1/3まで低下するといわれています。ごみ焼却する際、焼却炉で水分を蒸発させるためには追加のエネルギーが必要で燃料を余分に使うため、コーヒーかすをそのまま捨てることは二酸化炭素排出の観点から望ましくありません。

増加する二酸化炭素量の推算

上記水分を含んだコーヒーかすをごみとしてそのまま捨てるとどのような影響があるか推算しました。

(前提)
 1日1杯(14g)のコーヒーを毎日(365日)飲む場合。

 年間のコーヒー消費量:5.15㎏/年
 廃棄コーヒーかす量:7.87㎏/年
 水分量*:2.72㎏/年
 *通常、ごみ運搬から焼却までにある程度乾燥されますが、今回はその量は無視して考えています。
燃料として、この水分量2.72㎏/年の加熱~蒸発に必要な熱量分が余分に必要になります。細かい計算は割愛しますが結果は以下のようになります。

(計算結果)
 増加する燃料(重油換算):23.6L/年
 CO2排出量:1.6㎏/年

日本での消費量からの推算

日本のコーヒー消費量は約43~45万トン

https://coffee.ajca.or.jp/pdf/data-jukyu202207.pdf

同様に計算すると、CO2排出量は約14万トン/年となります。
全量が同じように廃棄されている訳ではないので、実際はこの数値よりは少ないですが、最悪ケースとしては上記の二酸化炭素を排出していることになります。
大手企業やコーヒーショップなどでは、コーヒーかすの堆肥化や燃料ペレット化など、既に取り組まれている活動もあります。


・スターバックス

・森永乳業
https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/pdf/2011/31_32.pdf

以前ご紹介した炭素税が導入されることになれば、税金が増えることになります。
北欧並みに1トンあたり1万円の炭素税がかかるとすると、前述のCO2増加分により約14億円の増税になります。(日本国民一人当たり12円)
これが安いと捉えるかどうかですが、コーヒーかす分だけでこの増加なので、他の要因でも増加する要因は多々あります。
ちりも積もればではないですが、ふたを開けてみたらとんでもない増税になったという事態にならないように、個人一人一人が今のうちから意識していただけるようになればと考えて、活動しています。

個人ができること

コーヒーを今後も楽しむためには、少しでも地球環境を意識することが大事と考えています。
前述のCO2排出量の影響は、全体の排出量(11億5千万トン)で考えるとわずか0.01%程度ですが、少しだけひと手間加えることでCO2は減らすことができます。

1)使用後のコーヒーかすを乾燥させる

コーヒーかすをそのまま捨てるのではなく、消臭剤として活用したり、天日干しで乾燥させることで、水分量を減らすことができます。
当店で扱っているコーヒーかす消臭ポットは簡単にコーヒーかすを消臭剤として活用可能な製品になっています。


2)コンポストで処理

まだまだ普及率の低いコンポストですが、自治体によっては補助金を出してもらえるため、導入のハードルを下げることができます。
当店所在地である、伊勢市も補助金制度があります。

コンポストにより、肥料化することでカーボンニュートラルに貢献できます。また、これらを利用して家庭菜園などに取り入れることができれば、カーボンネガティブやサーキュラエコノミーにもつながると考えています。




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