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手術から3日目/胸の傷

2024年4月20日(土)
病院は常に時間の流れが同じ
規則正しくながれている

夕べも消灯から朝までコース!4時頃だったか同室のおばあちゃまがガサゴソ動き出した。彼女は今日退院だから準備をしているんだろう。早く帰りたいもんねぇ…と思いながらまた夢の中。彼女は嬉しそうに退院していった。

体温は36.4℃ 平熱に戻った。ドレインの中のモノも、少しだけ薄い赤に変わり袋に貯まるスピードが遅くなってきた。腕は真横、前とも手の先が目線の高さまで上がるようになってきた。ま、私のペースですすめていこう。その動きをすると傷口付近がピリッとする感覚があった。こんなもんかな。

実は昨日、洗髪と下半身シャワーの許可が出ていた。微熱があったので避けていたが平熱に戻ったので朝のうちに下半身のシャワーを済ませた。昨日も朝晩、拭ける範囲で身体を拭いてはいたが、温かいお湯で洗い流せてとても気持ち良かった。

シャワー室の中に腰上から見えるミラーがあった。上半身は着衣のままだったが結んでいた紐が緩かったらしい。パラっとはだけて不意に傷が見えてしまった。

あぁ、こんなかんじか…
わたしの胸はこんな風になってしまったのか…

ずっと前からこの時のために
想像も覚悟もしていた。
自分が再建をしないと決めた。

なのに傷をみたら涙が止まらなくなった。しくしく泣いて落ち着いたころ涙をぬぐい部屋に戻りかけた廊下で、看護婦さんに声をかけられた「さっき肩を回す運動してもらうの忘れてました。出来そう?」「はい、こんな感じかな」って言い肩を回しながらまた泣けてきてしまった。突然泣き出した私をみて驚く看護婦さん。「え、どうした?何かあった?痛いの?」「さっき、シャワー室のミラーで傷が見えてしまいました。わかっていたけれど…覚悟も想像もしていたのに…」と言ってしくしく泣き続ける私に「検査から手術までの間、ものすごく辛かったでしょう?時間もかかったと思う。LIAさんはほんとにここまでよく耐えてきたと思います。生きるために、本当によく頑張ってきた。でも辛いよね。」とふんわり抱き締めてくれた。

自分の身体だから自分が受け入れるしかないとおもっている。命があって治療ができるだけありがたい。胸が片方なくても私はわたし、何もかわらない。それはよくわかっている。わかっていたのにな…

部屋に帰って海を眺めていたら少し落ち着いてきた。

あーぁ。
ほんとにもう好きな襟ぐりの服が着れなくなったな。この先着たい服じゃなくて、着れそうな服を選ぶことになるんだな。
この場に及んで洋服が好きなわたしは
そんなことを思っていた。

生かされた命であと半分の人生を
どう生きていこうか

静かな土曜日の病室で
そんなことをぼんやりおもい過ごした。

あともう少しで夕飯だ。







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