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缶コーヒーのメモリー

物を買う時、何を思い出していますか?

「コーヒーを飲みたい」と仕事場で思った時どうするか。私は朝ならば「ワンダ モーニングショット」もしくは「ジョージア エメラルドマウンテン」を買うことが多い。これらは缶コーヒーである。少し小さめの缶に入っている。自販機の定番商品でもある。

もちろん「缶コーヒーは邪道だ」とする人は多いだろう。コーヒーにこだわるカフェでテイクアウトする人も朝多くいる。あるいは缶コーヒーより安いコンビニの淹れたてコーヒーを好むビジネスパーソンもいるし、その人気は出勤ラッシュの時間帯やランチタイムに現れている。缶コーヒーと違い味の調整も効きやすいのが特徴だ。それに量も多く頼めるためタンブラーでテイクアウトする人はかっこよいとすら思える。

もちろん缶コーヒーに拘っているわけではない。ただ近くに自販機があると買ってしまうことがある。そして買うときは愛着が湧いている品に限られているだ。

モーニングショットは刷り込み

アサヒ飲料のコーヒーブランド WONDAは調べてみたところ、私がこの商品を意識する前から人気だったようだ。朝専用という売り文句の「モーニングショット」にハマるきっかけはなんだったのか、というとテレビCMである。

当時は録画せずテレビ番組を見ることが多かったため自然とCMを目にする時間も長くなるし同じものに何度も出会う。その中で人気のある女性アイドルグループの1つAKB48が宣伝していたのをよく覚えている。そのグループには詳しくはなかったがアイドル曲が好きなのは昔からだったので好感は持っていた。

人は接触回数が多いと好感を他より持ってしまうものらしい。この場合はアイドルグループの顔と記憶に残りやすい宣伝文句が刷り込まれたのだろう。
重要な名前だけでなく缶の見た目の赤というエッセンスもCMでもちろんアピールされていた。故に、今では自販機の前に経ち、赤と朝専用のPOPを見た時には好んで買ってしまっている。そして外には彼女達の若い頃の顔を脳内で再生しているのだ。

エメラルドマウンテンは懐かしさ

日本コカ・コーラのコーヒーブランド ジョージアも同じほど古いようだ。その中で青の背景に白の山々が描かれている缶「エメラルドマウンテンブレンド」をよく飲むようになったのは親からの影響である。

子供の頃は今ほど分煙にうるさくなかった。タバコを吸う親がよく買ってくれたのがエメラルドマウンテンだった。最近まで親が好んで飲んでいたのだと思っていたが、よく思い出してみればブラックコーヒーや微糖など甘いものを避けていた気がするので勘違いなのだろう。そんな記憶違いをするくらいに知らず知らずのうちに改変されていた。

親とでかけた時の休憩に飲んだものだからか、朝や昼休みよりもふとした休憩時間に飲みたくなる。これは一種の伝染なのかもしれない。休みのお供を探した先にあるパッケージを見る度に、普段は意識することのない領域から思い出が引っ張り出されているのだ。

キャラクターコラボ缶に思うところ

空前の大ヒットアニメとコラボ缶を出した「ダイドー ブレンドコーヒー」は会社の売上の上方修正を行うほどの効果があった。数年前に比べ外出が極端に少なくなっていた世の中でありながらの売上予想を超えるのは驚きを隠せない。コラボが有る前から存在する商品である、この効果は一時的なものではないはずだ。数年後、10年後、当時飲んだ人達が自販機で見つけたら思わず思い出して買ってしまう。広告は、記憶に刻んでしまうのが勝ちなのだ。

参考

マーケティングをざっくり見るにはちょうどいい本。イラストがたっぷり

読書中。自己決定のバイアスについても書かれている。文章がたっぷり


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