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毎日、残業大変だね/青春物語4

永尾さんは神奈川出身で東京本社で採用されていた。
でも第一希望の勤務地とは程遠い私の支社に配属となり地元を離れて男子寮に入っていた。

私の経理課はコンピューター化に向け毎日残業だった。
営業から戻った彼は経費明細書を手に経理課にやって来た。
「課長、清算お願いします」
「今日はもう金庫締めたから明日しか出ないぞ」
「え〜、もうお金がないんですけど」
「今日はもう上の食堂で寮生のメシを食うだけだろ?明日、仮払いもさせてやるぞ」
「それはそうですけど…」

「なんだ永尾、今からデートか?」
いきなり私の隣でパソコンを打っていた稲村さんが言った。
稲村さんは彼の寮の先輩だった。
私は思わず振り返って彼を見た。

「違いますよ。彼女いませんからっ」
そう慌てて答える彼と目が合って私の方が動揺してしまった。

21時近くになって部署内の灰皿を集めて給湯室へ行った。
そこにはコーヒー片手にメンソールを吸っている彼がいた。

「毎日、残業大変だね。デートもできないんじゃない?」
「あはは、そんなことないですよ。永尾さんこそ遅くまで営業でデートできないでしょ?」
「ほんとはさ俺、地元に彼女 残してきたんだ。最近は電話もできないんだけどね」
「そうなんですか。淋しくないですか?」
「少し慣れたよ。今は仕事のが大事だから」
「彼女さんのほうが淋しいんじゃないですか?」
「そうかな。同棲してたから後ろ髪引かれる思いでこっち来たよ」
「同棲してたの?じゃあ彼女さんも連れてくれば良かったのに」
「だって男子寮だもん。それに彼女は向こうで就職したし」
そう言って彼はコーヒーを飲み干した。








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