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Vol.18 ぎんざNOW! ②音楽編

プロモーションの場

番組としてのクオリティは決して高くなかったものの、ターゲットを若者に絞り込んで毎日生放送するというスタイルは、プロモーションに最適のメディアになっていきます。
レコード会社やコンサート興行主にとって即効性のあるターゲティングとブランディングが出来る場だったわけです。

せんだみつおによるスピード感のある軽薄な司会進行、売出し中のアイドルによるアマチュア感のあるアシスタント。「友達との情報交換」のような感覚で新しいアーティストとその作品が紹介されていました。

素人(あるいはフレッシュな新人)として身近な存在感を「演出」して露出を高めていく手法がこの番組の強さでした。テレビ局と芸能事務所・レコード会社が共同で販促を仕掛けるのは今と変わりません。

いまでは大御所になっているアーティストたちがこの番組を通って世に出ています。
レギュラーだったのはキャロル(矢沢永吉)、アルフィー、フィンガー5、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド(宇崎竜童)、レイジー(ラウドネス、影山ヒロノブ)など。
ゲスト出演では荒井由実、Char、シャネルズ(鈴木雅之、田代まさし)、宇都宮隆などなど。サザンオールスターズのテレビ初出演もこの番組だったようです(ザ・ベストテンではなかったんですね)。
いまではネガティブな面で名を売ってしまった清水健太郎もこの番組でのパワープッシュから生まれています。

また、コンサートのために来日したミュージシャンが出演することもあり、それがちょっとした目玉企画になっていたりしました。
アバ、クイーン、ヴァン・ヘイレン、ジューダス・プリーストなどが演奏(もちろん口パク)しています(おそろしい…)。

洋楽情報

「POPTEEN POPS」というコーナーでは、レコード売上とリクエストを集計したベスト10形式で洋楽の新譜やアーティストが紹介されていました。もちろんプロモーションなのですが(王様のブランチと似たようなものです)、これは洋楽アーティストのビデオがテレビで見れる数少ない機会でした。
MTVが始まるずっと前で、とてもPVと呼べるようなシロモノではないのですが(違う曲に同じ映像が流れたり)、それでも好きなアーティストの「動く姿」がみれることは貴重なものでした。YouTubeなんて想像もできない時代の話です。

フォーク&ロックコンテスト

イカ天('89年~'90年)のようなものですが、アマチュアバンドの勝ち抜き合戦もありました。
これがきっかけでバンド活動に憧れた中高生も少なくなかったはずです。
ただこのコンテストからプロになって活躍・成功したアーティストは(プロモーション扱い以外では)ほぼいません。
同じ頃、ヤマハ主催の「ポプコン」というコンテストがありましたが、このような本格派には到底及ばないものだったようです。

ただ、同じくアマチュア参加型のコーナーである「素人コメディアン道場」からは多くの逸材が出ています。
次回はそのあたりを書いてみたいと思います。

つづきます。

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