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お祭りのお囃子、まだCDでやってるの?

江戸のお祭りは神田から始まるなんて言いますが、下谷神社や今回参加させていただいた元三島神社も5月中旬に祭礼が行われます。
いわゆる下町のお祭りでとても賑やかなものです。御神輿が何基もでて、お囃子が至るところで演奏しています。
なんですが、今回我々がやらせていただいた東日暮里六丁目本町会さんではお囃子は出ておりませんでした。町会の役員の方がお知り合いだったので、どっかやれる場所があればお手伝いします。とお声がけしたところ、子ども達の縁日イベントの際にやらせていただくこととなりました。
当日は天気もよく、400人弱の家族連れの方が町会の皆さんが企画した縁日をたのしまれ、私たちはそのBGMとしてお力添えしました。

▼その時の様子のYoutubeです▼

お囃子は読んで字の如く囃すわけで、いわゆる脇役です。御神輿の渡御の時もそうですが、帯同して担ぎ手の皆様を囃すわけです。一方、居囃子というものもあり、それは参拝に来てくれた方達や奉納金を持参された方のために行います。もちろん御神輿が目の前を通るときは御神輿も囃します。
このようにお祭りとお囃子はきってもきれない縁があります。お神酒所とよばれる場所ではCDがかかっていることも多く、すべてが生演奏ではありませんが、実は都内の囃子方は自分のところのお祭りだけ演奏しているケースも多数あり、それを考えると囃子方と祭礼の主催者たちが繋がっていないことが私は問題だと思っております。
囃子の奏者はできるだけ多くの現場をいただくことで技術の向上になります。また、主催者の方達は奉納金が年々減ってと悩まれている。この二つを解決することができるかもしれないのが、居囃子なのです。
お囃子を入れてはどうですか?とお声がけすると最初に言われるのが「お金はいくらかかるの?」です。もちろん日頃から練習をしていますし、演者も一人というわけにはいきませんから交通費くらいはお願いしたいというのが本音のところです。御神輿の担ぎ手さん達はほぼ無報酬でやられているわけですから、それに比べれば残念ながらお金はかかるかもしれません。
しかし、プロの祭囃子の奏者は一部であって、実際は素人が行っているケースがほとんどです。いろいろな考え方はあるかと思いますが、お試しで1年目はほぼ無報酬でいいのではないかと私は考えています。
そして、もう一つ舞台の問題があります。神社境内であると神楽殿が併設されているケースも多いと思いますが、町会毎のイベントとなるとそうはいきません。仮設のステージが必要となります。
今回、私たちがリクエストしたのはトラックの荷台にござを敷いていただきました。5人が正座し、太鼓を3つならべることができれば可能です。奏者にしてみると、素晴らしい設えのステージとなると当然テンションは上がりますが、やる価値があるかどうかも分からないお囃子を導入するには敷居が高すぎます。なので、トラックの荷台で充分だと考えています。

人の移動が活発になるほど地域文化は廃れる可能性が高まります。それは地域への愛着心というような抽象的な要因の先に、お金と人の問題があります。お金と人がなくなってお祭りができなくなった地域を私はたくさん見てきました。奉納金をたくさん集めないといけないが、みなさんくれなくなった…諦めてしまうのではなく、近隣のお囃子チームに協力を求めてみてチャレンジしていくことが大切なんじゃないかなぁと思います。
下町は一つの神社に複数の町会、自治会が区域となっていて、隣町のお囃子チームにお願いをするのは難しいかもしれませんが、東京は広い!(笑)私たちのお祭りは8月です。すこし顔を拡げてみて、どこかのお囃子チームに相談してみるのはいかがでしょうか。
お囃子チーム側からみると、大切な出番が増えることとなります。練習はもちろん大切なのですが、芸事は現場で人とのコミュニケーションをとりながら磨かれます。お客さんから「良い囃子だったね!」「小さいのに頑張ってるなぁ」と言われることが何よりも上達の種となるのです。人は褒められるのに弱いわけですね。ですから、両方にとってWinWinの関係になれます。もちろん忙しい毎日を送っている皆さんですから、現場が増えることやお囃子チームを入れることに消極的になるのも理解出来ます。しかし、このままでは囃子方も主催側も人がいなくなり、お金があつまらなくなり、ますます個人一人の負担が増えていくのではないでしょうか。

私はお祭りには日本人の庶民の文化、地域文化が凝縮されていると思います。助け合い、感謝の念を互いに抱き、エネルギーを発散させ、仲良くなる。時代錯誤と言われることも多くなってきましたが、根底にあるそれらを否定する人はすくないのではないでしょうか。
様々なやり方で地域の文化をしっかりと残していきたいと思うところです。

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