6/29のこと

韓国で携帯をなくした翌日の29日、私は高陽市にある高陽ソノアリーナに向かわなければなかった。

朝9時にいわゆるインタネットカフェに行き、チケットだけ印刷し、
ホテルの人にタクシーを呼んでもらった。

ただ、ソウルから一時間ほどの高陽市の施設は私の拙い韓国語では伝わらず、「ここだよ」とタクシー運転手の携帯のナビが指し示した場所はただの田舎道で、なぜ地図を印刷しなかったのか、後悔した。
また、タクシー運転手は怖くてそれ以上交渉ができず、私はその田舎道でぽつんと。

とりあえず歩けば駅でもあるかと思ったが、ある意味山の中で何も無い。
バス停もあるにはあるが、それがどこにつながるかわからず、私は無我夢中で手を振って他のタクシーを探した。

やっと止まってくれたタクシーに乗り込み、怖い運転手だろうな、と思い
高陽ソノアリーナに行きたいです!と行っても、見るからに頭にハテナが浮かんでいる。
とりあえず、高陽市!高陽市!というと、タクシー運転手もまた、彼の最大限の英語でタクシーNO、と言った。

私はここから、今回の韓国旅行最大の目玉であるイベントにも行けず、なんならホテルに帰れるかもわからないままいるのか。

そう思ったとき、タクシー運転手さんは、高陽市の中心に行きたいならバスに乗って電車に乗ればいい。とりあえずバス停に送るから、といって、2,300m走ってバス停に送ってくれた。

バス停で私がどこまで行けばいいか聞くと答えてくれて、カードで払おうとすると、「大丈夫、早く降りて」といって、彼はお金を受け取らず、私を下ろすと、先へ進んだ。

とりあえずバスに乗ってそれっぽいところに行ければなんとかなるだろう、とちょうど5分後に来たバスに乗って、私は窓の外からなんとか情報を見つけ出そうとした。

事前に道のりを調べていたため、3番線の地下鉄に乗ることだけはわかっていた。

バスが走って20分ぐらいだろうか、3番線のりばを示す看板が見え、私はすぐにバスを降り、駅を目指した。

私は、高陽ソノアリーナの近くの駅が「テグァ」駅だと思っていたのだが、3番線の停車駅を見てみると終点に「テファ(大化)」駅があった。
もうここに賭けるしかない。ここになかったら、諦めて帰ろう。
そう思いながら、私は電車に乗った。

長い電車旅に、暇つぶしの道具を何ももっていない私は、隣の子供がやってるゲームを盗み見するしかなかった。

自分のことを責めながら、この電車が高陽ソノアリーナにいけますように、と思っていると、大化駅の二個前ぐらいに、そのイベントに出るチームであるT1のユニフォームを着た女性がいた。


行けたんだ、と思った。


しかし問題がもう一つあり、チケット交換が13時までと、当初メールに書いてあり、試合開始は15時だったものの、入場できない可能性も十分にあった。
その場合は、雰囲気だけ吸って、帰ろうと思った。

ユニフォームを着た女の子の後ろを追って、会場に、たどり着く。

そして、チケット交換所を探す。

看板は、降りていなかった。


精一杯のカムサハムニダを伝え、チケットを手に取った瞬間、
涙が溢れてきた。


携帯はなくてもなんとかなる(ただやはり事前に調べておくことがとっても重要だ)
ただ、携帯はあったほうがいい。

今回の旅がもうちょっと早ければ、就活に使えたのに、と書きながら思い、
そして、私に解決策を導き出してくれた二番目のタクシー運転手と
帰国してすごく心配して色々手続きをしてくれた親や弟に感謝しかない。
そして、行動力があふれる自分にハグを。


今回のイベント主催者のT1は2-1でアウェイのDKに負けるというとんでもないことをしてくれたが、正直負け続きだったDKがアウェイで勝つその姿にとても感動した。(正直DK勝っちゃえと思ってはいたが、本当に活とは思わなかった。
試合が終わったときのpyosikとbdd(多分)のハグはたぶん一生忘れられない。

いつか、恩師とかにあったら、このことを話そう。
教師にでもなったら、いろんな子供に話せるのに、とか思いながら。

波乱万丈な、一人韓国旅行。
でも、まるで私の人生を詰め込んだような、自分の実力を試されたような、証明したような。

私らしい、旅でした。


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