マガジンのカバー画像

羅針盤/システムデザイン研究所コラム

17
レヴィ システムデザイン研究所(SDL)では、レヴィのサービスのベースとなっているシステム工学をはじめ、システム思考、システムモデリング、システムズアプローチなどについて議論や整…
運営しているクリエイター

記事一覧

是々非々の是非

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 パリでのオリンピック、どの競技も熱戦でした。観るだけでもかなりの体力を使いました 笑。日本チームも様々な競技で活躍を見せ、すごいなあ、の一言です。陸上トラック種目など、これまで不得手とされてきた種目でもそれを覆すような好成績を残したものもあり、それらは最新トレーニング技術とコーチング、そして日々の鍛錬によるものなのでしょう。特にビデオを使った練習や、国際大会を回ってトップアスリートと接する機会が増えたことも大きそうで

システムとして捉える

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)の南部です。 システム工学やシステム思考は、複雑化する現代社会において進めべき道を示してくれる羅針盤です。 今回は、システムについて、書きたいと思います。 システムとして世界を見る日本では、「システム」という言葉が、「ITシステム」という非常に狭い概念として認知されているように感じることがあります。 実際、Googleで「システム」を検索すると、上位には、銀行系システムや電子申請システム、システム開発やインフラ開発など、ITシス

法隆寺とファブレスメーカー

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 子供の頃、近所の床屋さんに行って髪の毛を切ってもらっているときに、謎々みたいな話を聞かされたことをふと思い出しました。「法隆寺を作ったのは誰か知ってるか?」と聞かれ、社会科で習ったばかりだったので、誇らしく「聖徳太子!」と答えると、「残念、答えは大工さん」というものです。 教科書に載ってたし、先生がそう言ってた、というと、床屋さんに、真顔で「聖徳太子が作ったといっても、実際に作ってるのは大工だからね」などと言われて、

Problem/Issueから始めよう

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 仕事柄、会社を始めようとか、始めたばかりなので話を聞いてくれないか、と言われることがよくあります。 いろいろと面白い話を聞かせてもらうのはいつも楽しいものです。そんな中で、必ずと言っていいほど議論になるのは、 「今考えているソリューションでは(言ってるような問題は)解決しないのではないの?」 っていうところです。 ああだこうだと話をした後、こんな返しが出てくることがあります。 「わかってるよ、まだこのテクノロジーは開

「視点をわける」の重要性

人は複雑なシステムの全体をそのまま理解したり表現したりすることはできません。中にはできる人もいるかもしれませんが、多くの人にとっては難しいので、できる人が表現する「システムの全体」は他の人には伝わりません。 そこで、システム思考やシステムズアプローチでは「視点を分ける」ことが重要になります。対象をシステムとして描く際には必須と言ってもよいです。冒頭に示したデカルトの有名な言葉や、ビル・ゲイツが良く口にするという「問題を切り分けろ」という言葉は、システムズアプローチにおいても

システム工学の出身地

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)の三浦です。 今回は「システム工学とは何か?」について少し考えてみたいと思います。 システム工学の定義 システム工学(Systems Engineering)の定義として最もよく引用されるのが、INOCOSE(国際的なシステム工学の専門家団体)による次のものです。 システムを成功裏に実現するための、分野横断的なアプローチおよび手段。 出典:INCOSE SE Handbook 日本語の百科事典では次のように表現されています。

進化するシステム境界

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)の南部です。 システム工学やシステム思考は、複雑化する現代社会において進めべき道を示してくれる羅針盤です。 今回は、システムの拡張について、書きたいと思います。 システムは拡張していく世の中を見渡すと、多くのモノゴトが変化していることに気がつきます。 たとえば、SUICAは、最初はJR東日本の一部の駅でしか使えませんでした。 それが徐々に、私鉄やバスなどでも利用可能になったり、クレジットカードとつながったりするようになりました

言語化の推進力

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 汗ばむほどの暖かい日になったかと思えば、みぞれまじりの雨が降る寒さに舞い戻るという難しい天気が続いています。花粉も多いようです。皆様お気をつけてお過ごしください。 さて、先日アメリカのスタートアップ企業の一員として、製造パートナーとなってくださっている日本の大企業の方々と、より円滑なプロジェクト運営について話し合う機会がありました。その時の会話が面白かったので紹介したいと思います(以下、大企業をA社、スタートアップを

絵の力

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 前回に続き、アインシュタインの言葉連投です 笑。  せっかくですから、含蓄深い言葉を残しているアインシュタインのことを少し調べてみました。 現代を代表する、いや人類史上最も偉大な物理学者であることは言うまでもありません。奇跡の26歳と呼ばれる1905年に「光量子仮説」、「ブラウン運動」、「特殊相対性理論」に関する論文を、その後1916年に「一般相対性理論」を発表しています。怒涛のように輝かしい業績を残しただけでなく、

冒険とモデル

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 もう少しで3月ですね。気温も徐々に上がってきて桜の蕾を心待ちにしつつ、そろそろ新しいことをやりたいなあと考えている方も多いのではないでしょうか。 さて、先日、仕事で韓国を訪れる機会がありました。ちょっとした冒険だったのでその時のお話を書こうと思います(記事は一年前のものです)。 1. 旅の目的  私が韓国に出かけたのは、アメリカにある小さな会社が開発した製品を売り込みに行くためです。私自身韓国に行くのは10年ぶり

好奇心から探究、そして課題解決へ

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。  20世紀は科学技術の世紀であり、人類がそれによって様々な恩恵を受けたことは衆目の一致するところだと思います。様々な工業製品、そして大量生産することによって起こる価格の大幅な低減は人の暮らしを根底から変えました。これらの大きな変化は、多くの人々が発明や発見を重ねることによって得られた結果です。エジソンのように発明王と称される人もいますし、アインシュタインが見出した相対性理論のように極めて基礎的な研究成果が文化や社会に

デザイン:抽象と具象

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。  ピクトグラム((例えば 世界ピクト図鑑 サインデザイナーが集めた世界のピクトグラム 児山啓一))は1964年に東京オリンピックで大々的に活用され、一気に世界中に広まったと言われています。当時、まだ多くの日本人にとって英語を始めとした外国語によるコミュニケーションは難しいうえ、施設案内の英語表示も十分でなく、日本独特のインフラも多かったことから、世界中から来る人たちに不自由させないようにと考えての普及だったのだろうな

未知との遭遇、将来への布石

こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。  10月になり秋を満喫できる時期になりました。スポーツ、行楽、グルメ、芸術などなど、「〜の秋」と言われることがたくさんあり、皆様忙しくされているのではないでしょうか。嬉しい悲鳴が聞こえてきます(笑)。  さて、外国人の方を国内津々浦々で見かけます。観光で来られたのだなあと思う一方、そういえば既にお住まいの方も多いなあとふと思い、日本の人口動態について調べてみることにしました。令和2年国勢調査の結果*によると、⽇本の

羅針盤 「ステークホルダ」

 こんにちは、システムデザイン研究所(SDL)のともです。 旅はいいものですが、計画から実行に至るまでトラブルもつきもの。しかし、最近ではフライトや宿泊の予約、ライドシェアなど、さまざまなサービスが登場し凄まじい変貌を遂げています*1。今回はその中で、最近あったフライト体験のことを書きたいと思います。  先日、出張で早朝カリフォルニア州のサンフランシスコ(SFO)を出発し、ペンシルバニア州のピッツバーグ(PIT)に移動しました。その際に、コロラド州デンバー(DEN)での乗り換