見出し画像

花曇り

なんとなくマイルールで最低月1回投稿(笑)

私の住む関東圏では先週から桜が満開になり始め、今週もまだ見頃。
個人的にお花見するなら、快晴よりも曇天くらいがちょうどいいなと思っています。
ちょっと霞んでいるくらいの方が、よりいっそう桜花が儚げで趣深い。

そんな桜の季節、桜色、薄紅色、朱鷺色、桃色などなど、様々なピンク系カラーに魅かれてしまう時季でもあったり。

今月初旬、桃の節句にちなんで、大人の女性の皆様にも楽しんでいただけるようにと還元セールを行いました。
その際に販売中の桃色のランジェリーを集め写真を撮っていて改めて感じたのが、インポートの色出しは本当に凝っていて美しいなということ。

ピンク色と言っても、先に挙げたようにバリエーションは多岐に渡ります。
その微妙な差異を妥協せず、とことん追求し、求める色合いを実現する、そのパワーがインポートランジェリーブランドは優れているなと。
長年業界をウォッチしてきた中でそう感じています。

少し前に「ダサピンク問題」というものがありましたが、そこにも通じているんじゃないかしらん。
この問題については追々話すとして……

ランジェリーに限らずアパレル全般に言える事なのかもしれませんが、染料の安定性とコストの関係で、デザイナーの目指す色合いを実現するのはなかなか骨が折れるようで、ドメスティックブランドでは妥協することが多いと聴きます。
確かに某Wac○alさんの商品で色落ちしたり、手洗いしている最中に水が生地の色に染まっていることなどほぼありません。←あくまで10年程前の製品の当社比(笑)
手入れのしやすさという面では色落ちや色移りは回避すべきなので、国内最大手のWac○alさんなら、最優先は色味のこだわりよりも、染色した色の安定性なのかもしれません。
良い意味での生真面目さで、国産ブランドらしく好感が持てますね。
常に高品質を維持しつつデザイン性も兼ねるのはWac○alさんならではなので、さすがだなと思います。
日本人の気質を考えると、批判上等の尖った個性が光るよりも、様々な要素で平均点以上なのが好まれるのでしょうから、当然の結果とも言えますが。

反対に、インポートランジェリーでは色落ちは割とあります(笑)
(それによって生地がすぐに退色してしまうようなことはありません。)
ピンク系はまだましですが、赤系が特にですね。
洗っていると鮮血のような真赤な水になることも!←某Ravageとか(笑)
その点でもインポートは手洗い必須です。
けれどそんなデメリットを差し引いても(他にも色々と難点はあったり……)、手に入れたいし、身に着けたいと思える良さがあるんですよね。
その良さの1つがやはり美しいカラーだと思います。
「綺麗な色合い」というのもデザインの、商品のウリの1つですもの。妥協できません。
目指す色を実現するためなら多少の色落ちもコストアップも気にしない男前気質。好きだな。


日本でこの時季のピンクと言えば、所謂「桜色」の淡いパステルピンクではないでしょうか。

これまでの投稿をご覧の通り私はピンク大好きです。
もちろん淡いパステルピンクも好きではあるのですが、ドメスティックブランド、特に大手系列は同系統の明るいパステルピンクばかりが多数を占めている印象。
本日のタイトルにしました「花曇り」、そんな霞んだ朧気な空気感に似合う「くすみピンク」ももっとあったって良いのに。

画像3

↑最近入荷したAndres SardaのRosewoodカラーとか、


画像2

↑2回目登場になりますがChantal ThomassのSo Shockingとか、


画像3

↑MylaのProvence Streetとか、

画像4

↑Lise CharmelのAcanthe Artyとか。

この絶妙な色出し。素敵。

一見些末な事に思えるかもしれない微妙な差異であっても、とことん色合いにこだわったものづくりをしているブランドがインポートランジェリーには多く、それもマイナーな新興ブランドだけでなく、誰もが知っている一流ブランドにこそ多く見られます。
インポートだから無条件に良いとか、とにかく舶来品礼賛という意味ではなくて、実際に色出しの美しさという点で見た時に明らかに違うんですよね。

近頃は国内の新興ブランドで染料の原材料や色出しにこだわったブランドも出てくるようになりました。
造り手の強い想い入れのある商品を提供するという姿勢。
大手さんも良い影響を受けていただきたいものです。
せっかく素材の耐久性や手入れのしやすさを追求してきた大手ならではの知識と技術の蓄積があるのですから、日本人的色彩感覚を大事にすることでもっと魅力的な商品が生まれると思うのです。
ピンク色1つとっても、様々なブランドの意志のある個性あるピンク色の中から、それぞれの好みに合わせて選べるようになると良いな。



追伸
トップの写真は私物のChantal Thomass。
15年程前のものです。
くすみピンクと言う程くすんではいないのですが、ニュアンスのある色味で好き。

Ellen von Unwerthが撮ったChantalのイメージヴィジュアルでも、色違いのブラックが使われています。
(紙のカタログは確か違うモデルさんだったような。)
こちらもそのうち詳しく載せてみますね。


今を生きる私達に役立つためなのはもちろん、後世に遺せる日本のランジェリーミュージアム創設のため、サポートいただけたらとっても嬉しいです。海外の文献蒐集と展示品(アンティークランジェリーやコルセット、ショーピースのオートクチュールランジェリー等)蒐集に役立てます。