見出し画像

TAM DAOと出会ったあとの話。

あとのっていうか直後の話である。
こいつはまだ自分に使いこなせる香りではない。容姿的にも嗅覚的にも!
みたいな判断で早々にタムダオズから離脱したところ、お姉さんが「こちらも人気なんですよ〜」と出してきてくれたのがドソンだった。
タムダオ以外はほとんどノータッチだったので、知識ゼロのままムエットにしてもらう。香ってみると嫌いではないが、自分がつけるとなると随分フェミニンな気がして気後れする香りではあった。ディプティックはユニセックスさが特徴の一つだとは聞いていたが、やはりその中でも各々個人の「女性寄りor男性寄り」みたいなのはあると思う。そう感じるのは自由だし。
お姉さんがこれを出してきてくれたのは、このブティック初見のビクビクしたキヌゲネズミ(※ハムスターです)を少しでもリラックスさせようと、売れ筋というか万人向けの香りを提案してくれたのかなとは思う。だがそのムエットをクンクンしながらなんとなく眺めていたボトルのイラストに、一つ気になるものがあった。それがフィロシコス。
これ何のイラストですか? あぁこれはいちじくですね〜フィロシコスはいちじくを木から丸ごと使った面白い香りなんですよ。みたいなやりとりをして、ムエット。
おお、これは良い。なんかゼロ距離で嗅いでるからか若干青臭さもあるけど、肌に乗せたらだいぶフルーティで爽やか〜なのでは? まぁフルーティで爽やかってもうそれ自分の外見イメージとは全くもって正反対なんだが。そう考えるとやっぱりタムダオのが似合っているのかも。馴染みある諸星大二郎だし(?)

みたいな感じで、最初のフィロシコスは「けっこう好印象」くらいなイメージだった。でもちょっと葉っぱ? 木肌? みたいな青臭さが気になるな〜と思っていると、また目に止まった変なラベル。漫画で言う「集中線」みたいなやつ。他のラベルと随分趣が違う。
これは面白いラベルですね。 あぁこれはディプティック60周年記念の、今とてもご好評いただいている香りなんですよ〜とニコニコしながらムエットしてもらう。なんかここでお姉さんの顔がパッと明るくなった気がした。
嗅いでみると、おわーーーーー!? これはとても良い。気分が栞と紙魚子から一気に現代へ。(※個人の感想です)(でもお姉さん曰くこれは創業当時の近所の社交場のイメージらしい)(香りのイメージとは難しいものである)
これ、これすごい良いですね! 良いですよね〜オルフェオン! こちらは最近発売されたばかりの新しい香りなんですよ〜とひとしきりはしゃぐ。偶然他のお客さんが居なかったこともあって完全に乙女の動きをしてしまったがお姉さんも合わせてくれた。ノリが良い。

その後も一つか二つ嗅がせて頂いたが、結局オルフェオンが一番しっくりきたためお買い上げと相成った。全く予想外のセレクトをしてしまったわけだが(何せタムダオを持って帰る予定だったので……)下調べが杜撰な初見客にも終始優しく接してくれたお姉さんには大層感謝している。このオルフェオンはその後ディプティックで他の香りを色々と試香しても今のところこれ以上のお気に入りには出会えていない、と言うくらい気に入っている香りだ。
なぜあの時「変なラベル」というだけで選んだオルフェオンにここまですっぽりハマってしまったのか。意外とボトルの見た目から入る戦法もありなんだろうか。それとも神様が、いち庶民がハマって通って散財する前に一番好きそうな香りにさっさと引き合わせてくれたんだろうか。いや、全種類試したわけじゃないからまだまだわからないし、ディプティックには引き続きのんびりとお世話になると思うけど。
ちなみにこの時いくつか他のサンプルを頂いたので、次はその話をしようと思う。このサンプルというのが、とてもうまい具合に2本目の呼び水となる恐ろしい代物であった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?