生まれ出づることなく埋葬された星々の言葉たちについての永久の哀悼

ひとつの言葉はひとつの世界だ。

連なった言葉は、連鎖した言葉は、世界の死を意味する。それは二重の死だ。そして、その二重の死は連鎖した言葉の数だけさらに重なる。

ある一意の意味を提出するために選ばれたふたつの言葉、AとB。選ばれなかったCとDとEとFとGと他の全ての A nor B の要素さんたちの死。第一の死。

AとBのふたつの言葉の組み合わせによりその句の意味が一意に定まったときに出生したAとBの積集合 A and B の要素くんたち。同時にAとBの排他的論理和 A xor B のすべての要素ちゃんたちの死。第二の死。

それらは堕胎ですらない。生誕を剥奪されたそれらの、しめやかな、気付くもののいない、認知すらされない、胎内から墓場への直葬だ。いや、今までもこれからも碑が建つことがなく、誰も墓場だと思わない「そこ」は、墓場ではないのだろう。そのへんの土の底。自分がいまそれを遺棄したことにすら気付けない、遺棄された夥しい数の水子たちの真っ暗な土壌。

永久に葬と生前葬を行おう。

そのたびごとに、ひとつの世界の終焉ごとに。


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