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大嫌いな街、東京。
東京が嫌い。
東京が嫌い、と言えば語弊はあるが、屈折した自分の思いを一言で伝えると大概間違っていないと思う。東京が嫌い。
初めて自分の意思で東京へ行ったのは大学受験の時。香川県は坂出駅から電車で本州へ渡り、岡山駅から新幹線で東京へ行った。大勢の地方出身者がそうであったように、地元の山奥には無い、人、物、情報量で頭の中は埋め尽くされた。新宿駅の地上を歩いていたらいつの間にか地下を歩いているし、画面の中だけで見ていた忠犬ハチ公は本当に渋谷にいて待ち合わせの人の真ん中で佇んでいた。フィクションのようなこの街で生きていきたいと、ちょっぴり思った。結果的にそうはならなかったけど。
結果的には関西在住の大学生になって、東京には住まなかったけれど東京との接点は増えていく。
東京が憎い。
テレビ、メディアの世界への就職を目指し東京へ幾度となく通うこととなったが、そこからの記憶は苦いものが多い。就職活動、インターン。いつ思い出しても苦笑いしてしまう。自分の好きなもので勝負したいと思っても、自分の好きを遥かに超えてくる奇人変人が溢れていて、自分というものが通用せず、あっけなく折れて、五反田駅東口のローソンでリアルに泣きじゃくったことは死んでも忘れないと思う。
東京はズルい。
結局、自分は地元へ戻り、ありきたりな職業に就き、仕事もプライベートも満足な日々を送ることができている。
その間も東京はいろんなものを自分から奪っていく。仲良しだった高校の同級生も進学で東京へ。関西で会えていた大学時代の友人も就職で東京へ。人を、物を、金を、東京は吸い寄せて、奪っていく。それはもう多分、戻ってくることはなく、東京の一部となって、そしてまた東京は更に人を、物を、金を吸い寄せる。
自分が勝負できなかった、縁がなかった、東京に。自分の大事なものがどんどん取られていくような感覚になる、東京の人になって東京に染まっていく。東京はズルいよ。
東京が嫌い。
結局のところ、東京が嫌い。東京には会いたい人がいるから多分今後も東京には行くと思うし、行ったら行ったで気分は高揚すると思う。でも、負け惜しみかもしれないけど、一生、東京のことは好きにはなれないと思う。
本当に、ちゃんと悔しい思いをしたんだと再確認した。
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