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一次創作オタク向け:フリーゲームの作り方③ シナリオ&素材編

こんにちは。
超初心者向けフリーゲーム制作講座の第三弾、シナリオと素材編です。
第二弾ではツールの選び方なども説明していますので、もしよければご覧ください。


シナリオ編

この記事を読んでくれたということは、あなたは一次創作をしたことがある、またはやろうとしている方だとお見受けします。
キャラクターが作れて、世界観が作れて、物語を作るやる気がある……そんな状態の人に指南するべきことはなにもないです。
キャラクター設定を文字に起こし、舞台設定を詰めて、おおまかな流れをプロットとして書いた後に、シナリオとして整える。
ゲームシナリオはそれだけで完成します。
メモ帳でも原稿用紙でもNotionでもなんでも構いませんので、あなたの頭の中にある展開を書き起こしていってください。
ゲーム内でどんなことが起こるかが書かれていて、文章として意味が通っているのなら、それはもうシナリオなのです。

……というと、突然荒野に投げ出された気分になるかもしれません。正直、筆者はシナリオの作り方については門外漢です。「シナリオ 書き方」などで調べていただいた方が、具体的な知識が手に入るかと思います。

ですから今回の記事では、ゲームのシナリオを書くときに気を付けておくといいことや、ちょっと便利になる知識、といった部分に絞って紹介させていただきます。

シナリオの書き方(物理)

具体的にどう書けばやりやすいのでしょうか。
ここでのシナリオは、実装するときに自分が見る資料となるので、基本的に自分がわかれば大丈夫。しかし、記法は統一してあったほうが便利です。例えば、こんな感じに。

@背景 校舎裏
@SE 走る足音
主人公:
はあっ、はあ……な、なんとか逃げきれた……
にしても「返せ」って、一体何のことだ……?
@SE 茂みガサガサ
@主人公:
(まだ誰かいるのか!?)
@選択肢
1.逃げる
2.声をかける

→逃げるを選択
主人公:
(なんだかわからないが、俺は誰かに恨まれているようだ。)
(とにかく一旦離れよう!)
→1日目:出会い編に移動

→声をかけるを選択
主人公:
誰だ?
@立ち絵 親友_笑顔
親友:
よっ。随分人気じゃねえか、ヒーローさんよ

こうすることで、今から用意しなければならない素材や、立ち絵が切り替わるタイミングをメモしておくことができます。

文字数制限

ゲームと小説の違いとして、一番大きなものは何でしょう。立ち絵が付いている、選択肢がある、演出で強制的に間をとらせることができる……色々と思い浮かぶものはありますが、執筆中に最も重視するべきことがあります。

それは、一度に画面に表示できる文字数です。

あなたが、このような画面構成のゲームを作っているとしましょう。

フキダシの中の文字にご注目ください

ゲームにおいて、セリフや地の文といった文章を表示する領域のことを「メッセージウィンドウ」と呼びます。一度に表示できる文字数は、このメッセージウィンドウの大きさと、使用するフォント、そしてその表示サイズによって決まります。上の画像では、「だからこんなの無駄だ」の「だ」の部分がすこしはみ出ていますよね。作っているときはあまり気にならないのですが、遊ぶ側になるとこれが結構気になってしまい、本来の楽しさに集中できなくなってしまうのです。

大抵のゲーム制作ツールは好きなフォントに変更できますから、最初にどれくらいの文字数が表示できるかを調べておくとよいでしょう。たくさん書きたいからと言ってあまりに小さくしてしまうと、プレイヤーが読みづらくなるので注意です。

ちなみに、テキストエディタの中には「指定文字数で自動で折り返す」という機能が付いているものがあります。これを使うことで、いちいち数えたりする必要がなくなります。ちょっと便利なテキストエディタは、ゲーム制作に必須のものと言えるでしょう
筆者のおすすめテキストエディタは「Mery」です。
キャラクター名が急に変更になった際なども、「置換」機能で一気に変えることができますよ。

これをONにすると出てくる棒をスライドさせて設定しよう


フォントの選び方

先程フォントについて触れましたが、ゲーム制作におけるフォントの利用はやや条件が特殊です。フォントに限らず、素材を利用する際には配布してくださっている方が示している利用規約に従う必要があります。
「商用可」「再配布NG」「著作権表記必須」「組み込みOK」など、素材の制作者さんによって様々な種類の指定があります。素材をお借りする以上、これは必ず守らなければいけません。

大体の素材は「再配布NG」、つまりダウンロードした人が、また別の人にそのファイルを渡すことを禁止している場合が多いです。
ゲームでフォントを使う際には、そのフォントファイルをゲームデータと同じ場所にしまって、一緒に配る必要があります。
察しのいい方はお気づきかもしれませんが、これは「再配布」にあたります。やってはいけない使い方なのです。

ですから、ゲームに仕えるフォントは「再配布OK」「組み込みOK」といった条件のものを選ぶ必要があるのです。
……とはいえ、この世の中に沢山あるフォントを一つ一つ確認していく……というのでは大変です。「ゲーム制作 フリーフォント」などで検索し、有志の方がまとめてくださっている情報を参考にしながら探しましょう。
その記事が作成された時とは利用規約やライセンスが変わっている場合もありますので、ご自身での確認を忘れないでください。

プレイ時間

文章を読む速度は、人によって違います。黙読で読み進める方、じっくり読んで余韻を味わう方、実況配信をしていて、せりふを読み上げながらプレイする方など、プレイスタイルも様々です。ましてやこれは自由に遊べるゲームですから、演出にかかる時間や、ボイスの有無などによっても個人差が出てくるでしょう。そんなわけで、文字数から割り出されたプレイ時間が完璧というわけではありません。
とはいえ、ある程度の目安にはなります。例えば純粋なノベルゲームの場合、「5万字=1時間」です。……これは、ノベルゲーム開発会社、ウォーターフェニックスさんが公式サイトに書かれている情報です。

(こちらの「ノベルゲームの作り方」というサイトはかなり具体的で参考になるので、是非読んでみてください。なんと、ゲーム会社設立のやり方まで書いてくださっています。)

参考までに、筆者が作ったゲームはクリアまでに4,50分かかります。シナリオの文章は15000~20000字でした。
……ゲームであればそこまで文字数が要らないかと思いきや、実は結構な量を書かなければ1時間にも達しない、ということがお分かりいただけたでしょうか。

せっかくゲームを作るのだから、長編を作りたい!という方もいらっしゃるかもしれません。もちろんこれはあなたのゲームですから、方針を決めるのはすべてあなたの自由です。どんなキャラを出してもいいし、どんな尖った物語を作っても構いません。
しかしながら、ゲームの規模、必要になる素材の量は、ゲームが完成できる確率に直結しています。今回作るのは最初に作るゲームですから、なるべく小規模なものを目指した方が確実だと思います。実際にノベルゲームコレクションにあるゲームを遊ぶと実感できると思いますが、プレイ時間が5分、10分のものでも、プレイヤーは十分に楽しめます。
現代において、プレイ時間が短いことは強みだともいえるでしょう。youtubeやアニメ、漫画などの娯楽があふれる中で、「サクッと遊べる短編」は手に取るハードルが低いのです。比較的見てもらいやすく、作りやすいという意味で、最初につくるゲームとしては最適だと思います。

どうしても思いつかない時

「タロットって、あのカードのやつ?全然やったことないし持ってないし、知らないんだけど……」
広い机がなくても大丈夫、「タロットプロット」というサイトが強い味方になります。
ストーリーのテーマとなるカードを決める「主題設定」、全体の流れを決める「物語設計(主人公視点)」、キャラクターを掘り下げる「個別キャラのペルソナ分析」などもここで行える優れものです。

気を付けるべきところは、大まかにはこんな感じです。

必要素材の書き出し

シナリオを書き、具体的に内容を決めたことで、必要な素材が把握できたかと思います。どんな効果音を鳴らしたくて、どんな背景が必要で、このキャラはどのくらいの立ち絵差分が必要なのか。そうした必要な素材を、すべて書き出しましょう。
出来れば、Qovoや同人手帳といったタスク管理ツールに登録しながら行ってください。これらの制作管理ツールを使っていると、進捗が%で表示されるのでモチベーションの維持にとても役立ちます。

フリー素材という慈悲

シナリオができて、必要な素材も書きだした。ここまで来たら、なんとなくわかってきたのではないでしょうか。
メチャクチャな数の素材が必要だということに……!
会話中の背景、効果音、BGM、立ち絵に加え、メニューなどのUIも素材の一種です。あなたはこれらすべてを用意して実装する必要があります。

無理すぎる!

ということで、ここは偉大なフリー素材の力を借りましょう。

こちらはゲーム制作素材を一気に検索できるサイトです。こちらも利用規約をきちんと確認することは前提として、積極的にお力をお借りしていきましょう。
そして、素材を借りるときの注意点がもう一つ。

素材の配布元をメモしよう

素材の中には、「クレジット表記」が必須のものがあります。素材を借りると決めた時には、必ずその配布元、借りた素材、サイト名をメモするようにしましょう。後々、エンドロールに記載することになる情報です。

個人的おすすめフリー素材

ここでは、筆者が個人的におすすめしたいフリー素材配布サイトをご紹介します。

背景

「ぱくたそ」は、フリー写真素材を多数公開してくださっています。写真そのままでは立ち絵のイラストが浮いてしまうという場合は、写真を加工しての使用が可能です。

SE

「効果音ラボ」は、多種多様な効果音を取り扱うフリー効果音サイト。この中のどれかはyoutubeなどで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。フリーにもかかわらずクオリティが高く、ダウンロードのしやすさも魅力。

BGM

「イワシロ音楽素材」は、レトロでかわいいチップチューンのBGMを取り扱っているフリー素材サイトです。どの曲もクオリティが高く、様々なシチュエーションに対応しているのも素晴らしいです。

UI(メニューボタンなど)

「空想曲線」では、ノベルゲーム、アドベンチャーに特化した高クオリティなゲームUI素材を公開しておられます。(無料版はクレジット表記が必須)ティラノビルダーにはデフォルトで搭載されているものもあります。

最後に

ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回は「プログラム編」として、各ツールの学習の仕方、行き詰った時の調べ方などについて解説していきます。

お読みくださり、ありがとうございました。次回はこちらです。


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