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寺地はるな著「水を縫う」感想文


飛行機の中で読んでいたのに、目から水がでてきてしまう作品でした。
空から小さくなっていく町並み、川、そして山々を見ながら水の世界に引き込まれて行きました。

寺地さんの作品は「大人は泣かないと思っていた」も目から水が流れてしまう作品でした。
芯はしっかりしているけれど、それを表面に出さない好男子、好きなことはこちらではお菓子作りでした。

「水を縫う」では高校生、好きなことは手縫い、刺繍です。
通常の男らしさからは離れた好きなことにこだわり、そして周りの人への気遣いにこだわって生きにくくなっている。
言えよ、言っちゃえよ~と大人の私は読みながら焦れて応援しています。

もっとこじれている姉は、正しい人を好きになりました。
正しい選択と好きなことを選ぶが交差して、最後は明るい結末ですので安心して読んでね。

両親、おばあちゃんも含めて過去の経験が今の考え方の偏りを作っています.考えてみると私もそうです。過去の経験が今の判断や認識を決めています。

私は両親にとても愛されて、自分も十分に両親を愛することができて幸せだったと思っています。一方これが両親に愛されなかった、自分が両親を好きではなかったと思っていると例えば介護が必要になった時の判断は変わってくるかもしれません。
パートナーシップも相手を思う気持ち、相手からの対応をどう判断するかで今後自立できなくなった時にどこまで心をよせられるか決まってきます。

毎日のコミュニケーションが自分を作っていくのですね。
優しい気持ちになりたい人にオススメです。

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