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うしろめたさを感じる読書

文化人類学者の磯野真穂さんの新刊がでました。
世の中のことに新しい見方を提案してくれる磯野さんのファンです。

2020年3月、退職前の有給休暇を消費して外国へ旅行を計画していた私は1月末からの良くわからない感染症によって、予定の変更を余儀なくされました。
退職の一つの理由であった、両親と過ごす機会も交通機関の減便や自粛によって損なわれたのです。
6月に飛行機便の再開から、周囲には告げずに実家への往復を繰り返していましたが、医学会の延期、オンライン化とともに移動が少なりました。
でも1年目はまだ正常化されるはず、少しの辛抱という気持ちでした。
そして二年目2021年はワクチン接種への協力は少しでも自分が役に立つという気分にさせてくれたのです。
しかし、ワクチンを始めながらも落ち着かない感染状況(または対策)、かえってワクチンやワクチンを拒否するひとへの非難で社会が二極化されているように感じました。
2022年夏第○波と言われている中、親しい友人たちと祝った還暦の会に医師の友人は誘いにくかったし、あまり来てくれませんでした。実際に職場ので制限があった方もいたようです。
2024年の現在も医療機関では厳しい面会制限を設けているところが多いです。
そして不満を持ちながら病院の言うことを聞いている家族たち(私もその一人でした)
オンライン面会で母の病状が悪くなっているのを感じ取りながら何もできないで歯がゆく思っていた時期もありました。
それでいて、障害者と家族向けの講演会にワクチンをしていない方はオンラインに誘導していたのです。

今から考えると矛盾がありますよね。
その時の胸の苦しさがひと段落した今、著者の磯野さん自身が「コロナ」と表題に付いた本は売れないらしいと言いながらこの本が出版されたのです。

あの頃の発言をしていた感染対策の専門家たち、そして専門家にならざるを得なかった人たちがこの本を読むことがあれば私と一緒にコロナ禍を振り返って欲しいです。

私はそのころの行動、思考、感じ方を振り返らないでは、もう一度同じ状況になってしまうことを恐れてうしろめたさを感じながら、読んでいます。

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