今日も空気が美味いうまい

昔、とある山奥に1人の お爺さんが住んでいました。
ふもとの村人は偏屈な爺さんと言ってました。

ある日、村のふもとの下の街に住んでいる少女は村人が噂している お爺さんを見てみたいと思い、
早朝にソーッと布団から出て お爺さんの居る山奥へ行きました。

女の子は街から村へ、
そして村から山の おじいさんのところへと。


まだ早朝の薄暗い道をそーっと、

まだ薄暗い山道 ヘトヘトでした。
その時!!
突然 何かが現れたかと思うやいなや

ズドーンッ!!!

大きな銃声が。
「やれやれ やっと仕留めたわい。」
「あ、ああ、あれ?」
「おや?こんな所にこんな おチビさんが」
「お、おチビさんじゃない!」
「では、なんと?」
「あたし、りっちゃん、山奥のお爺さんを見に来たの!」

「おやまぁ  何でさ?」
「村の人も街の人も言っている偏屈なお爺さんを……。」
「ほぉ、それはそれは、ところで飯は?」
「………食べてない」
「じゃあコイツ食ってみるか?」
「これ?この?」

「運ぶの手伝いな(笑)」

りっちゃんは頷き運ぶのを手伝いました。


今日も空気が美味いなぁー!!サイコーだ!!

「え⁈  空気に味があるの?」

お爺さんは言いました。
「あるよ、あるさ!晴れの日、雨の日、雪の日、
空気は一度も同じ味はしないんじゃよ、
同じ日が来ないようにな。」

お爺さんはクマを切り分けて
串に刺して焼き始めました。

そうして肉が焼ける間に
お爺さんは りっちゃん言いました。

「なぁ、りっちゃん、空気の味知りたいかい?」

りっちゃんは頷き言いました。
「私も 爺ちゃんのように空気を食べれるの?」
お爺さんは、
「なぁに、簡単なことじゃよ。
美味しい空気を食べたいなら美味しい想い
少し苦い空気の味を食べたいならイヤな事を
甘酸っぱい味の空気を食べたいなら好きな男の子を想う
ただそれだけじゃ。

りっちゃんは揶揄われていると思い言いました。
「爺ちゃん!ちゃんとして!!」
そう  りっちゃんが言うと、
お爺さんは、
「仙人でも何でもない、ワシが言っているのは
ごくごく普通の事なんだ。」

やってみな♫
というより思い吸ってみな?

りっちゃんは しぶしぶ思い想いの事を
そして、
スーハー、スーハー、スーハー、ハァー、
「あ⁈ いま味がした!!」
お爺さんは にんまり笑い
さ、メシにするぞ。と言いました。

うまー!!クマさんの肉ってこんなに美味いの⁈

はっはっはっ
空気の次は肉が美味いか!

お爺さんは言いました、
「りっちゃんは  美しい娘っ子になるな!」
何で⁉︎ という顔を りっちゃんがすると
お爺さんは笑って言いました。
「ウソかも  揶揄われているかもを取っ払って、
ちゃんとできる娘だからじゃよ。」

最初のクマの運ぶ手伝い、空気の味わい方、
初めて食べるクマの肉の味わい
素直な子は内面から美しくなるんじゃよ。
じゃあさ、じゃあさ、私  素直に生きる。
そうして  りっちゃんは一つだけ  お爺さんと約束をしました。
何があってもウソをつかないこと。

さっ、もう帰りなさい。
お父さんとお母さんが心配するよ。
りっちゃんは言いました。
「爺ちゃん、ウソは言わない。お父さんとお母さんは仕事で学校に行く前に  ご飯を作って私が起きる頃には家を出て行くの」

お爺さんは言いました。
「それはそれは  大変な家だなぁ」
「ワシの子供の頃に似ているなぁ。」
「だけど、一言だけ言っておきなさい。
何があると心配するでな。」

りっちゃんは一言。
「わかった」


そして あくる朝、お爺さんのところへ
顔を腫らした  りっちゃんが来ました。

どうした?どうした?
そげん顔を腫らして?

りっちゃんは言いました。
「私はウソを言わない、約束だから、
だから、
お父さんにも  お母さんにも爺ちゃんの所へ行った事を話したら ぶたれた。」

お爺さんは言いました。
「そうか、そうか。」
「それは、りっちゃんの事を大切に大事にしているからなんじゃよ。
りっちゃんも大人になったら理由が分かるわい。
だけど、それでも来るか!ワシの所へ」

りっちゃんは泣きながら一言。
「うん!」
「いつも お父さんと お母さんは仕事でテーブルの上に ひとりぼっちの目玉焼きが置いてあるだけだから。」
「爺ちゃんの お肉が食べたい!」

そして今日も お爺さんの料理を頬張り、
にんまぁ〜と笑い、
お爺さんは、美味いか?美味いか?と笑顔。
りっちゃんは、
先程までの涙はどこへやら、
素直に美味い!!と言いました。

それから  りっちゃんは
お父さんと お母さんが何を言おうと、
山の お爺さんのところへ行き
美味しい お肉と 美味しい空気の吸い方を
にんまり味わい  学校での事など色々話しました。

りっちゃんは何故。爺ちゃんに偏屈と呼ばれるか
知りたいと思い聞きました。
そうすると、お爺さんはこう言いました。

「ワシは世の中の理を解いてしまうからじゃ。
ワシにとっては、ごくごく当たり前の回答じゃが
世の中の人間には分からないか、難しいみたいじゃ。」

「ふーん、変なの」

「さ、肉が焼けたぞい」

りっちゃんは よく分からなかったが、
今日も肉を頬張り  にんまぁ〜と笑顔を咲かせてました。

そうして月日が経ち
ある朝、

りっちゃんが学校へ行く準備をしていると
役場の人が、
「山の爺さん、亡くなった!!」
と言って街と村の者達に話していました。

え⁉︎りっちゃんは  お爺さんが亡くなったのを
こればっかりは素直に受け止められませんでした。
最近、爺ちゃんの口数が減ってた……。
でも!でも!!


………そして わずかな村人で お葬式をあげました。

りっちゃんは、ここでは お爺さんの言うことを
素直に聞けずに だんまりして涙を堪えていました。

りっちゃんは、お爺さんと過ごし会話し お肉を食べた思い出がしとしと降る雨の水溜まりのように堪えれなくなり、喪式の最中りっちゃんは外に出て空気を 胸いっぱいに思いっきり吸いました。

そして、ついに涙がこぼれて、
「爺ちゃーん!!味が、空気の味が!!」
りっちゃんは心の中で、
何とも言えない 今までにない空気の
決して美味いとは言えない味に
忘れてはいけない思い出の一つ一つの味を
口いっぱいのポケットにしまいました。

りっちゃんは大きな声で、
「爺ちゃん、ありがとー!」
「素直に 爺ちゃんとの約束守るよ。」
「泣きたい時も誰もいない時に思いっきり泣く」
だって、私  爺ちゃんの言ってた美しい娘になるから、だけど今日だけは許してね。
スーッ、
「今日も空気が……、美味いうまい!」
うわーん。
りっちゃんの素直じゃない精一杯の見栄でした。

ズズ、グズ、
じゃあね、、、じゃなくて「またね」だね。

また何処かで、生きていれば会える。
お爺さんの言葉でした。


おしまい

<設定>
山奥にお爺さんが1人暮らし
ふもとに村がある
またその下に街がある。

まぁ、日本○ばなしのような感じです。


余談
なあなあ、爺ちゃん。
なんじゃ?
今日のお肉はなぁに?
今日は鶏肉。
何で?
トリあえず鶏肉だからだよ。
他にも お肉のお話ある?
ああ、あるとも、
兎の肉は、ウサツキで兎に肉、
熊の肉は、クマった時や、くまがわれた時、
鹿の肉は、叱られた時、シカたなく、
っという感じで肉を食う。
爺ちゃん流石だね。
爺ちゃん大好き。
今日の お肉も楽しみだぁ。
熊った、熊った 子だけど多少のメンドクサイは
暇つぶしになるし、生きる張り合いが出来る!
よし!メシにするか!!

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