１章 スケールを理解するために

　1-1 スケールとは

スケールとは、音階（おんかい）のことをいう。
曲中で「スケールを使用する」ということは、雰囲気に合ったスケールを選んだり、様々なスケールを混ぜ合わせて演奏するということになります

多くの方は「スケールがわかればアドリブソロが弾ける」と思っています。

間違いではないのですが、これをお読みの方はスケールを覚えてアドリブソロが弾けるようになりましたでしょうか？

これは「スケールでソロを弾く」という概念があるんだと思いますが、
「ソロをスケールで弾く」の方が正しいですね！

ちなみにスケールと名のつくものはいくつぐらいあると思いますか？
実は何十種類とあります。

理論は後付けという言葉がありますが、少しこのことも頭の隅に入れて頂き解説をしていきたいと思います。

※本文を読み進めていく中で「スケール」と記載してある部分を「音階」や「音の並び」に置き換えて読んでみると少し観点が変わるかもしれません

　1-2 なぜアドリブが弾けないのか？

ではなぜスケールを覚えてもアドリブが弾けない場合があるのか？

まず下記の質問にチャレンジしていただきイメージしてみましょう...

　①　Cのメジャーペンタトニックスケールでスコットランド民謡を弾いてください！

　②　なんでも良いので沖縄風のソロを弾いてみてください！

さて、どうでしたか？

①の場合、多くの方が「え？」となったのではないでしょうか？
これはスケールを知っている、いないに関わらずだと思います。

②の場合は、どうでしょう？
なんとなく「アイヤ〜♪ハイッサイ、イヤサッサ〜♪ 」のようなメロディーやリズムが浮かんだのではないでしょうか？

不思議ですよね
①は、スケールを教えてもらっているのに頭に何も浮かんできません。
②は、スケールが分からないのに、なんとなくのイメージが湧きます。

要するに... 

①は、リズムやメロディーがイメージ出来ないので、スケールが分かってもどう弾いて良いか分からない
②は、リズムやメロディーがイメージ出来ているので、スケールがわかれば自分でチャレンジできる

ということなんです！

スケールが分かるのに演奏できないのは、
リズムやメロディーが分からずイメージが湧かないからです！

じゃあ単純にスコットランド民謡を知っている人はすぐに弾けるじゃん！ずるいじゃん！
となるかもしれませんが、まさにそういうことなのです。

スコットランド民謡の雰囲気をイメージ出来る場合は、スケールが分かればチャレンジできるんです！

多くの方は「スケールがわかればアドリブソロが弾ける」と思っています。
もちろんそうなのですが、料理で考えると「スケールは食材」だと思ってください。

色々な食材が目の前に沢山あっても何を作るか決まっていなければ、始まりませんし、
どんな高級食材であっても、
なんとなーく作りながら、あーどうしようかなぁ。良い味付けにならないなぁ。というか何を作ろうかなぁ......
って、これは料理が出来るのを待っている側も作っている側ですら不安ですよね？

ここでの「スコットランド民謡を知っている人」は「作る料理が分かっている人」ですね。これは食材があれば完成系はイメージできそうです！
後は、繊細な「味付け」や細かな「作り方」だけ。

沖縄風の方だと、作りたいものは分かっているから、食材が分かれば！ですね。

アドリブも「センス」はありますが、覚えたスケールをどう使うか？は、
曲を沢山聞いたり演奏して自分で「弾きたいイメージ」が湧けば、チャレンジできるんです。
例えば
　憧れのあの人みたいに、あの曲のあのフレーズみたいに...
　スパニッシュ風、アラビア風、クラシック風、沖縄風、etc...

ということですね！

最初は探り探りで間違えることばかりだと思いますが、音楽は失敗しても怪我をしないので、どんどんチャレンジしてください！

Point!!
　目の前の食材（スケール）で調理に取り掛かる前に、何を作るか。浮かばなければせめてどんな味にするか、を考えてから取り組もう！
勿論、色々やっていく中で見つけるものも多いですので、練習の時にはとりあえず何となくスケールを弾いていたらお気に入りのフレーズが出てくるカモしれませんね！

　1-3 指板で覚えるのは良いことか？

ギターは指板上で「このスケールはここを弾く」と覚えれば決まった音が出るし、移調や転調をしてもある程度同じように弾けます。
これはギターの強みですが、こちらのスケールを弾いてみてください。