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俳優・平方元基「自分を知りたくて受けた」ハリー・ポッター役と、ファンと作るビルボードライブへの思い

2011年にミュージカルデビューをして以降、大作に次々と出演し続けている俳優・平方元基。
 
4月にはビルボードライブにて「GENKI HIRAKATA Billboard Live 2024~YOKOHAMA~」の開催を、7月からは舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」にて新ハリー・ポッター役を演じることを控えている。
 
平方のこれまでのキャリアを振り返っても、2024年は節目の年となりそうな印象。2つの舞台を控える彼の現在地を探った。

■「何をやってるんだろう」と思うも歌う理由

――2024年4月15日(月)・16日(火)にビルボードライブ横浜にて、4月26日(金)にビルボードライブ大阪にてソロ公演を行う平方さん。ビルボードというステージでライブをやることについて教えてください。
 
平方 独特な場所ですよね。今まで見に行ったり、ゲストで行ったりしたことはあるんですけど、あそこまでお客様が近いことってあまりないので“親戚の集まり”のようだなって、当時は思いました(笑)。 
ミュージカルのコンサートって、大きなホールでやることが多いというのもあって、ディナーショーまでは振り切らないものの、おしゃれな空間でお客様がお酒をたしなみながら、僕の歌とかお話を聞いてくださるのは、すごく楽しみだなと思っています。
 
――物理的な距離感が近いというのは、演者として緊張感が違うものでしょうか?
 
平方 普段の主戦場が舞台なので、お客さんとの空気の作り方、場の共有の仕方に対しては「怖いな」と不安に思うことはないです。ただ役ではなくて、ありのままの自分で歌声を伝えることがどういう雰囲気になるのかというのは未知数だなと。未だにハンドマイクを持って歌を歌うことは不思議だなと思っています。
 
――ミュージカルの場合は、ハンドマイクじゃないですもんね。
 
平方 そう。「何やってるんだろう」って思いながら歌うときもあります(笑)。
 
――「何やってるんだろう」と思いながらも、役ではなく平方さんとしてステージに立つのはなぜでしょう?
 
平方 やっぱりファンの方が「お芝居も良かったし、歌声が良かった」って感想をくださるからかなと。自分では気づけなかったけど「僕、そういうところもあるんだ」って思わせていただけたので、歌声をメインにした表現を届けてみたいなと思うようになりました。
 
――現時点で想定している見どころは?
 
平方 ミュージカルの楽曲って、普段はオーケストレーションでお届けするのですが、今回はバンドなんですね。だから、バンド流のアレンジを考えているので「こんなふうにアレンジしたんだな」と楽しんでいただけたらうれしいです。

■「自分を知りたかった」ハリー・ポッターのオーディション

――7月からは舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」でのハリー・ポッター役が控えていますね。改めてオーディションを受けた経緯を教えてください。
 
平方 最初は「ヤダ、ヤダ」って言っていました(笑)。ただ、自分が体調を崩して休んでいた時に「自分は本当にお芝居が好きなのか」と考えていたこともあって、世界でお芝居を見てこられている方たちからの言葉を受け取ったときに「自分がどう思うのか」を知りたかったんです。合格しようがしまいが、オーディションを受けて感じることがあったり、「好き」と思えたりしたら続けられるかなと。
 
――そうだったんですね。
 
平方 “ワクワク”だけでやっていける世界ではないというのはわかっていたので、自分自身でも知りたかったんですよね。今後、40〜50代になっていく覚悟と、世界的に上演されている作品を獲りに行くタイミングが重なっていたというか。
 
――では実際に「ハリー・ポッター役に選ばれました」と言われたときは?
 
平方 「やべえ…」と思った(笑)。もちろんうれしい気持ちもありましたけどね。
ただ、これまでの経験から、経験したことのない苦労の後には、楽しいことがたくさんあったり、喜んでくれる人たちがいたりというのを知っていたので、そういうことがまた始まるんだなと。今はワクワクする気持ちのほうが大きくなってきています。

■「マネをするなら僕じゃなくてもいい」

――2016年にイギリスで上演された舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」も見に行ったそうですね。それはなぜ?
 
平方 本当にたまたまです(笑)。イギリスとフランスに旅行したタイミングでやっていたので「あ、見てみたい」と。
 
――当時の感想は?
 
平方 時差ボケのまま見に行ったというのもあって、夢うつつ状態でしたね。フワッと「ものすごいものを見たな」っていうのだけは覚えています。それから、イギリスにおける「ハリー・ポッター」って大人が見ても十分に耐えうるものになっているなと感じました。単なる児童向け文学ではなく、深い作品なんだなって。実際に、今回演じることが決まったタイミングで台本を見て「あ、こんなに人間模様が多彩に絡まり合った作品なんだ」と再確認しました。
 
――今回、ハリー・ポッター役を演じることが決まってからブロードウェイでの公演も見に行ったそうですね。
 
平方 はい。ハリーポッター役を演じている俳優さんとお会いすることができたときに、イギリスっぽさ、アメリカっぽさみたいなのは意外とあるんだなって思いました。
 
――その時の経験を役に落とし込もうとは?
 
平方 正直、あまり思っていないです。というのは、それぞれの国でやっている意味や、自分たちが属してる国やカンパニーを大切にされているなと感じたので、僕も日本人として演じようと思えたんです。
ハリー・ポッターである以上、イギリス人の役ではあるんですけど、やはりイギリスと日本じゃ文化も、家族との過ごし方も違いますから。自分が日本人として演じる「ハリー・ポッター」を、日本の舞台でお客様と共有しあえることで生まれていくことがあるんじゃないかなと。自分なりのハリー・ポッターを丁寧に届けていけたらいいなって思っています。
 
――日本版もすでにロングラン公演となっている印象です。ハリー・ポッター役を継ぐことをプレッシャーに感じたりは?
 
平方 あまり感じないようにしています。錚々たる方たちが演じてきたのはわかるんですけど、そのプレッシャーを感じたところで、良い作品になるわけではないだろうなと思うので。
それにマネでは、楽しんでいただけないかなと。自分が演じる事で新たな感性をもたらす事が出来たら嬉しいです。それでも、僕を選んでくれた方たちがいるという事実を受け止めて、自分に少し自信をもってお届けしていけたらいいなと思っています。
 
――舞台「ハリー・ポッター」は、舞台ファン、ハリー・ポッターファン、小さなお子さん…と幅広い層から見られている印象です。そういう意味では演劇ファンの間口を広げる役割も担うのではないかと思っております。
 
平方 嬉しいですよね。東京・赤坂でしかやらないものではあるものの、やはり「ハリー・ポッター」という作品が持つ力強さによって、日本やアジアのお客様を引き寄せることができているのかなと感じています。
それから、この作品をきっかけに、エンターテイメント、日本のお芝居、演劇にまず触れてもらえるという意味では絶好のチャンスだなと。舞台に足を運ぶことって大変だと思うし、体験する楽しみを経験してもらえたら嬉しいです。

■これからの10年は「フラットにいたい」

――前回のインタビューでは、今のご活躍を「20代の頃からは想像していなかった未来」と話していました。今後10年は、どうなりたいですか?
 
平方 今の若い子たちを見ていると、社会を動かしているな、自分たちに責任を持ったり、やりたいこととかやりたくないことがしっかりしているなと感じます。そういう子たちを見ていると自分にも新しい目標があったりすると、今の過ごし方、変わってくるのかなって思うんですよね。

だから、昔はもうちょっと地に足をつけて行動していたし、石橋を叩きまくってはいたんですけど、もう少し「どうにかなるんじゃないかな」っていう精神で、自分も楽しく過ごしながら良いものを作ったり、「もっとこういうことをやったら楽しそうじゃないですか」みたいな話もできたりするようにしたいなと思っています。構えずにいたいというか、もうちょっとフラットにいたいなって。
 
――石橋を叩きまくっていたタイプだったんですね。
 
平方 そうですね。ただ、叩いてはいたけど、やらなきゃいけないことはたくさんあって、今考えてみたら、それはすごくありがたいことでした。あとは人からの評価というか、自分が自信をなくすようなことを知りたがっていたなと。「いてもいなくてもいいんじゃないの」とか「なんでこんな仕事してんの」と思っていました。
ただ、そういう自分がいるからこそ、すごく今、充実しているというか、ちゃんと見るべきものを見て、大切にするべきものを大切にして、そうじゃないものに心を揺さぶられないでいられてるんじゃないかなと思えますね。
20代、30代でかたくなであることには限界を感じたので頼れるときには人に頼れる自分でありたいなと思います。

【リーズンルッカ’s EYE】平方元基を深く知るためのQ&A

Q.旅行好きな平方さん。最近はどこに行きましたか?

A.韓国に行きました。あとは、北海道で、ずっと乗ってみたかった釧網本線(せんもうほんせん)に乗りましたね。1両編成の電車で釧路から網走まで3時間半ぐらいかかるんですけど、一面雪景色の中をひたすら走って、外をみたら狐が並走していたり、鹿がいるから電車が止まってしまったり素敵でした。

Q.ずばり旅の魅力は?

A.自分にとって、東京って仕事をしに来ている土地というか、特別な場所なんです。ただ地元・福岡だったり、地方に旅に行くと、自分の思った通りの体感速度で物事を考えることができる。誰に急かされることもなく、自分のことをただ考えたり誰かのことを思ったりできるところがすごく好きです。

Q.次に行きたい場所は?

A.モルディブかスリランカですかね。海もあり、山もあり、できるだけ何もないところに、日の光を浴びに行きたいなと思っています。

<編集後記>

終始笑顔で、丁寧に言葉を紡いでくださった平方さん。驕ることなく、過度に気負うことなく、目の前の仕事に対してポジティブな姿勢で取り組んでいる姿勢がとてもすてきだなとお伝えすると「発信する術があるだけで、別に俳優が特別なわけじゃない」「みんな辛いことも楽しいこともあるのは一緒だし、特別扱いし始めると訳わからなくなっちゃいますからね」と笑顔で返答。平方さんの仕事に対する“柔らかさ”を再確認させられました。

<マネージャー談>

周囲への細やかな気遣いが出来て素敵だなと思いますし、いつも色んな話をしてくださるので楽しいです。その優しさと明るさで平方の周りはいつもパッと明るくなります!

<撮影の様子はこちら!>


【プロフィール】
平方 元基(ひらかた げんき)
1985年12月1日生まれ、福岡県出身。日本テレビ系連続ドラマ『スクラップ・ティーチャー』などに出演後、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルデビュー。その後は数々のミュージカルに出演。主な出演作品に、『生きる』『エリザベート』『キューティ・ブロンド』『サンセット大通り』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』『ローマの休日』などがある。
Twitter

<公演情報>

平方元基
(横浜)GENKI HIRAKATA Billboard Live 2024〜YOKOHAMA〜
(大阪)GENKI HIRAKATA Billboard Live 2024〜OSAKA〜

 
【ビルボードライブ横浜】(1日2回公演)
2024/4/15(月)・16(火)
1stステージ 開場14:00 開演15:00 / 2ndステージ 開場17:00 開演18:00
 
【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2024/4/26(金)
1stステージ 開場14:00 開演15:00 / 2ndステージ 開場17:00 開演18:00
 
 メンバー
平方元基(Vocals)
帆足彩(Violin)
大野弘毅(Bass)
中村皓(Drums)
進藤克己(Piano)※バンドマスター
 
チケット情報
サービスエリア ¥9,000-
カジュアルエリア¥8,500-(1ドリンク付)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
※別途指定料が必要な席種がございます。
 
発売日 ※WEBのみ 
2024/3/11(月)正午12:00=Club BBL会員・法人会員先行(Billboard Live)
2024/3/18(月)正午12:00=一般予約受付開始(Billboard Live/e+/ぴあ)
 
*公演のご予約はビルボードライブWEBサイトおよびプレイガイド(e+・ぴあ)にて行います。ビルボードライブ予約センターでの電話受付はございませんので予めご了承ください。なお、ビルボードライブWEBサイトからのご予約は無料のゲスト登録が必要となります。
 
ビルボードライブWEBサイト:http://www.billboard-live.com/
 
▼公演に関するお問い合わせ
 
ビルボードライブ横浜:0570-05-6565
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5 丁目57 番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F
 
ビルボードライブ大阪: 06-6342-7722
〒530-0001大阪府大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2
 
取材・文/於ありさ
写真/溝口裕也
 
ヘアメイク/佐々木麻里子


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