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「今の私たちを見て!」Chilli Beans.、ファーストアルバムを“セルフタイトル”にしたわけとは

Chilli Beans.が、7月13日に待望の1stフルアルバム『Chilli Beans.』をリリースした。
 
昨年のデビュー以来、メンバーそれぞれが持つソングライティング力を存分に発揮しており、ミュージックビデオが250万回再生を超える人気曲「lemonade」や、メンバーと同じ音楽塾に通っていたVaundyとの共作曲「アンドロン」、そしてライブの定番曲「シェキララ」、ドラマ『モトカレ←リトライ』のオープニング主題歌「マイボーイ」などなど、色とりどりの14曲が収められている。
 
この「快作」と呼ぶにふさわしいアルバムの制作話とともに、わずか1年で大型フェスに次々出演という、加速度的に階段を駆け上がっている現状をどう思っているのか、聞いてきた。

■3年間制作してきたものを昇華させた

 ――アルバム、すごく良かったです。ロック、ポップスからファンク、ブラックミュージックまで、ジャンルはバラエティに富んでいて、かつメロディが際立っている。まるで「どれも口に合う幕の内弁当」を食べているような。
 
全員「え〜、ありがとうございます。嬉しい」
 
――今回セルフタイトルということもあり、“コンセプトありき”というよりは、「今の私たちを見てくれ!」っていう意味合いのほうが強いですか。
 
Maika(Ba&Vo)「ああ、そうですね。どういうテーマで作ろうかとは、特には決めてなかったです。結成してから3年間制作してきたものを、純粋にブラッシュアップして、結果名刺代わりのアルバムになったかなと」
 
――1曲目の「School」っていう曲が、その「名刺代わり」の答えじゃないかと思うんですけど、 最後「I can not be doll」と歌詞があって、“縛られたくない”“私たちのやりたいようにやる!”といったニュアンスなのかなと。実際みなさんそれぞれが曲を作るし、宣言のように聴こえて。
 
Maika「ただ、デモ自体は結成初期の方からあって、このアルバムの1曲目のために作ったわけじゃないんですよ。アルバムの曲が一通り決まった時に、みんなで話して1曲目は『School』でしょって。そういう意味では近いのかな」
 
――タイトルは、いつも完成してからつける感じですか?
 
Lily(Gt&Vo)「大体はデモの仮タイトルの段階から同じことが多いですね。『neck』とか『blue berry』は、直前に変えて作ったけど。アルバムのタイトルは、ほんと最後って感じですね」
 
――アルバム曲もセットリストに組まれたライブを先日拝見したんですが、曲ごとに3人で合わせる動きとか、パフォーマンスに強く「意思」を感じられたんですよね。またそれが曲の格好良さに拍車をかけていて。そのあたりはバンドで意識しているところですか?
 
Lily「結構それはありますね。しっかり、というわけではないけど、曲によってどういう雰囲気を出したいのか考えたり。好きなアーティストさんを見て、吸収しています」
 
Maika「結成したときにさ、『どこで足をあげようか』なんて気にしてたよね。スタジオで動画録って、毎回見返して『もうちょっと右足あげよう!』『ここで飛ぼう!』とか話しながら。いわゆる“ダンス動画”みたいになってましたね」
 
――BTSがやっているような?
 
Maika「そうです。まさにそれ見てやってました(笑)」

■「Motoは言葉に含まれる意味合いをちゃんと感じとってくれる」(Lily)

――そういった「動きで魅せる」のは、他のバンドにはあまりないチリビの強みだなと思いました。
 
Lily「ライブでお客さんとの一体感みたいなのとかも感じられますし、ステージから出す熱量みたいなのは、たしかに自信があるところかもしれない」
 
Maika「あとは全員曲を書くから、それも強みかな。いろんな曲が出来上がるし、それぞれの要素が加わったことによって、曲が強さを増していくというか。自分たちもできるまでが楽しみなんですよね」
 
――逆に「課題」みたいなものってありますか?あの、僕から言っていいですかね。ライブのMCがみんなで譲りすぎのような(笑)。
 
Maika「あはは(笑)。まあ、それもチリビっぽくていいんじゃないかな。個人的には、制作とかはもっと勉強したいこととかある」
 
Lily「それは目標みたいな感じだね」
 
Maika「うん。細かい直しはいっぱいあると思うんですよ。例えばライブ終わって、『あの曲のあのタイミング、もうちょっとこうできたな』とか。ただ、バンドとしての在り方みたいなものは、ちゃんと自分たちの思い通りに動けているかなって。これからもメンバーと逐一話していって、乗り越えていければ」
 
――話は変わって、これまでの活動で、ハイライトのような出来事ってありましたか?例えば、「この会場でライブができた!」とか。
 
Moto(Vo)「……フェスはもうちょっと盛り上がりたいなと思いました」
 
Maika「あ、課題のこと?」
 
Moto「すいません。さっきの質問の答えをいま思いつきました(笑)」
 
――いえ(笑)。メンバー同士の会話の時でも、二人が主に喋って、Motoさんがそれに対して意見したり加わっていく感じですか?
 
Moto「伝えたいことはあるんですけど、どうまとめようかと頭で考えてたら機会を逃しちゃうんですよね。二人がうまく話してくれてるっていうのもあるんですが」
 
Lily「でもMotoは、言葉に含まれる意味合いをすごく感じとってくれるから。喋ってなくても理解し合えていると思っています。いつもすごく良い歌詞を書いてくるので驚かされています。」
 
Moto「なんか自分の考えが爆発しちゃって、二人にああだこうだ言いたいことを言って、『おい君たちはどうなんだ』っていうことをよくやってしまうんです。それで、結局なだめられて(笑)」
 
Maika「まあ、組んだ時から3人はこんな感じだったから、なんとなく勝手にポジショニングはできてるかもね」

■次は「テーマ」のあるアルバム作りを

――昨年インタビューした時に、Maikaさんが目標に掲げていた「サマソニ出演」。順調に行けば今年達成できそうですね。
 
Maika「やばいんですよ、やばいことが起こったんですよ。ずっとサマソニは見に行ってた側だったから、まだ理解が追いついてないです」
 
――プレッシャーをかけるみたいで申し訳ないんですが、ワンマンと違って、フェスは自分たちのファン以外も見に来るから、“試されている場所“でもあるかなと思うんですが。
 
Lily「確かに、もういくつか出演させてもらいましたけど、独特の雰囲気があるなって感じましたね。ご時世的に、反応がイマイチ見えないっていうのもちょっと不安になったし。飲み込まれないように、私たちの世界観みたいなのを固めて行かないと」
 
Maika「めっちゃ準備したいね。リハとかいっぱいやって、 どう自分たちをアピールできるか、どうかっこいいパフォーマンスができるか、みたいなのを詰めていきたい」
 
――今後、もっとバンドでできることが増えて来ると思うんです。どういった目標を立てていますか?
 
Maika「ひたすら、制作面でのステップアップかなって思います。次は、今回のアルバムにはないような楽曲を、たくさん作っていきたいなっていう話はしていて」
 
Moto「それしかないよね」
 
Lily「今度はテーマを設けて作りたいね」
 
Maika「やりたい!あとは、ミュージックビデオも“シリーズ化”というか、一貫性があるものを作ってみたい。もちろんライブも、というかフェスも、今年は出られなかった『ビバラ』とか『アラバキ』とか『フジロック』とか全部に名を連ねたい。この前『フジロック』を見に行ったんですけど、なんか音量制限が日本で唯一無いフェスって聞いていて、実際心臓が破裂するぐらいのとんでもない音で(笑)。あそこで早く演奏したいな」

【リーズンルッカ’s EYE】Chilli Beans.を深く知るためのQ&A

Q.最近個人的にハマっているモノ・コトは何ですか?

Lily「私は洋服のブリーチ。YouTubeでやり方を真似てみたら、めっちゃ綺麗にできたんです。そこから洋服のリメイクにも興味を持ち出して。いつかチリビのグッズでもやってみたいし、使わなくなったジーンズをリメイクして販売したい」
 
Maika「私は、相変わらずフィルムカメラにハマってて。よくメンバーの写真撮ったりしてます。あとは携帯ゲームかな。銃を持ってフィールドで生き抜くっていう内容なんですけど、いつか実際のサバゲーもやりたいなと思ってて」
 
Moto「私は、YouTubeでジブリの考察動画を見ること。もともとジブリが好きなんですが、最近よりもっと知りたくなって……一番穏やか(笑)」
 
Maika「確かに。そういえば前にLilyが深夜に空の写真を送ってくれるって言ったじゃないですか。最近はなくて。というのも、あの頃と違っていまはみんなと頻繁に会って、エブリデイ同じ空見てるから(笑)。寂しくなることが少なくなったんです」

<編集後記>

どこか、不思議な空気感のあるバンドだと思う。インタビューからもわかるように、仲が良いことには違いないのだが、もともとは同じ音楽塾で、各自がソロで授業を受けていたのがスタート。だからなのか、音楽の話ともなると、それぞれが自分の意見をピシッと主張する良き友人、良きビジネスパートナー、良き音楽人同士……彼女たちを表すのに、どんな表現でも当てはまるのだ。来年、さらにどんな高みを見ているのか、デビュー時、そして今年とインタビューをした身としては、ことさら気になるトピックスだ。

<マネージャー談>

担当になってからまだ日は浅いですが、常に楽しみながらも真摯に仕事に向き合う姿を見て、刺激をもらっています。普段は互いにふざけ合ったりと和やかですが、ステージに立つと一変、その爆発力にはいつも驚かされます。多面性を持ち合わせ、3人全員が歌い、曲を作る、そこがChilli Beans.最大の武器であり魅力だと思います。
だからこそ生まれた14曲それぞれ違う魅力が詰まった1st Full Album「Chilli Beans.」沢山の方に聞いていただけたら嬉しいです。今後のChilli Beans.にもご注目ください!

過去の記事


<プロフィール>
Chilli Beans.(チリビーンズ)
Moto(Vo)、Lily(Gt&Vo)、Maika(Ba&Vo)による3ピースバンド。音楽塾ヴォイスのシンガーソングライターコースにて出会い、2019 年に結成。2021年に1st Digital EP『d a n c i n g  a l o n e』をリリースした後、2nd EP含め3枚の音源を経て、バンド名を冠したフルアルバム『Chilli Beans.』をリリース。8月20日、21日には本人たちが待ち望んだ『サマソニ』出演、その後は初の全国ワンマンツアー「Hi,TOUR」が控えている。
Twitter https://twitter.com/chillibeans_mc?s=21
Instagram https://www.instagram.com/chillibeansmusic/
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Official HP:https://chillibeans.fanpla.jp/

取材・文/東田俊介
写真/Momo Angela



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