見出し画像

日記:20240331 Sun | 昭和的ラーメン店

いつまでもあると思うな昭和の名店

近所のラーメン店。
見るからに年季の入った建物で、1Fが店舗、2Fが店主の住居と見られる。
昔からある地元のラーメン店。有名店ではないし、何か特徴的なメニューがあるとも聞いたことがない。地元民がサクッと空腹を満たすためのそれ以上でも以下でもない普通の中の普通のお店だ。

ある時たまたま開いたグーグルマップで、意外に評価が高いことを知る。
そして驚くべきはラーメンの値段。
醤油ラーメン450円。最近の物価高でやむなく400円から450円に値上げしたようだが、それでも450円て。

昔からずっとそこに存在していると、これからの未来も存続し続けるものと錯覚してしまう。
思えば吉祥寺もいくつかの名店が時代の変遷とともに惜しまれつつ消えていった。
葡萄屋、シャポールージュ(旧バンビ)、芙蓉亭、そして西荻のこけし屋。
このラーメン店も店主が高齢らしく、となると⚪︎年後にも存続している確約など何もない。
思い立ったら吉日、善は急げ、ということで行ってきた。

春のセンバツ中継が流れる昭和で時が止まった店内

テーブル席3つとカウンター席数席の小さな店内、壁に張り出された年季の入ったメニュー札には値段のところに上から紙が貼られて直近の値上げを物語っている。
有名人?の色紙が数枚、江口寿史だけは確認できた。
昔のコカコーラのノベルティと見られる古い鏡も味わい深い。
店内のテレビからは春のセンバツ決勝戦の実況が聞こえてくる。

ここは昭和か。
店内に置かれているすべての調度品が昭和から時を忘れたまま鎮座しているように見え、自分がいじっているスマホの方が完全に場違いに見える。
平成も今や遠くなりにけりだが、そんな平成もまだ知らない未来のままの、昭和から時が止まった店内だった。

一番古いラーメンの記憶

あの頃のラーメンを思い起こされる

程なくしてラーメン(450円)と半チャーハン(350円)が運ばれてきた。
小ぶりのどんぶりに色濃いめの醤油スープ。チャーシュー1枚に、ほうれん草、なると、ネギ、メンマのごくごくシンプルな醤油ラーメンだ。チャーハンは刻みなるとと青ネギ多めで見た目も彩り豊か。数粒入っているグリーンピースが嬉しい。

これは自分の一番古いラーメンの記憶を思い起こす。
幼稚園帰りに親に連れられて食べた久我山のラーメン店。昭和50年代の記憶。やはり有名店でも高級店でもない町のラーメン屋。そこで食べた醤油ラーメンもこんな感じだったっけな。

出汁の効いた醤油スープ、麺は細麺の中華麺でこの組み合わせは自分好みである。茹で加減もアルデンテで好感が持てる。渦巻きなるとの入ったラーメンなんていつ振りだろう。チャーハンは良い意味で普通のチャーハン。パラっパラに仕上げられているところが評価高い。
昔ならラーメン、チャーハン(半でない)、餃子をぺろっと完食していたが、最近は流石に半チャーハンでもきつい。が、美味しかったので残さず完食。ラーメンスープも全部飲んでしまった。
それ以上でもそれ以下でもない。けれどきっと何十年も継続して守ってきた味なのだろう。店主はもはや仙人の域に達しているのかもしれない。一つのことを永く継続して続けることの尊さにぐっと来る。グーグルでの評価の高さも納得。他のメニュー、スタミナ定食(看板メニュー)、カレー、焼きそばも試してみたいし、チャーシューがトロトロでかなり美味しかったので、次回はチャーシューメンでもいいかな、とすでに再訪を考えている。

引き継ぎ中?

グーグルマップによると、高齢の夫妻が経営していると書かれていたが、今日訪れた際には厨房内に店主と見られる男性の他に別の男性もいた。ホールの方は女将さん?がもう一人の女性に指示を出していた。
これはもしかして店主夫妻が後継者に引き継ぎをしている最中なのか?
直接聞いた訳ではないので、あくまで推測になるが。

これからも時を重ねて

個人的には既に再訪予定ではあるが、決して万人にお勧めはしない。
グルメ系という訳でもないし、おしゃれ感はおろか、ここでしか食べられない名物があるという訳でもない。また遠方からわざわざ訪れるべきとも言わない。
通りかかったら入ってみる、くらいが丁度いいのかもしれない。
しかしながら、この2024年にラーメン450円という価格もさることながら、仙人店主の作るなるとの入った昔ながらのラーメンは現代ではなかなか得難いものだ。また、レトロ系テーマパークのような人為的に再現したハリボテではない、実際に昭和から時を重ねた味わい深い店内の雰囲気はこれからも残って欲しいと思う。

これまでもずっとそこに存在していたし、これからも永く存続してほしいお店の一つだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?