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翻訳:オンライン教育の覇権がコンテンツからコホートに取って代わられる日(原題:In Online Ed, Content Is No Longer King—Cohorts Are)

「コホート型コース元年」とも言える幕開けを牽引し、圧倒的存在感を放っているMaven。日本人初のMaven講師として8月下旬に僕もその講師陣にジョインさせていただきました。これから、コホート型コースが世界の学びのあり方を大きく変えていくと、ひしひし感じています。最近、前編後編に分けてティアゴ・フォルテ氏のブログを翻訳しましたが、それに続き、Mavenの共同創業者で、コホート型コースのトレンドを牽引しているウェス・カオ氏がAndreesen Horowitz(同社投資家)を通じて今年6月に発信したブログ記事を、今回翻訳したいと思います。


原題投稿日:2021年6月15日
筆者:ウェス・カオ / Maven CEO
訳者:真田諒 / WeAdmit Technologies, Inc. CEO


今はポスト・コンテンツの時代です。一昔前までは、オリジナルの教育コンテンツは少なく、大学やアクセラレーターにとっては、そのようなコンテンツが大きなセールスポイントでした。

しかし今日では、教育コンテンツは、YouTube、ニュースレター、ブログ、ソーシャルメディア上で安価かつ豊富に提供されています。例えば、YouTubeの無料チャンネルで毎日500万回再生される「Crash Course」には、物理学から有機化学まで、あらゆる分野の博士号を持つ講師が出演しています。

さらに、学びたいと思っている社会人のために、アクセラレーターやインキュベーター、低コストまたは無料のオンラインコース、その他新興の教育プログラムが何十も登場しています。例えば、オンラインコースを提供するUdemyでは、学生は平均10〜20ドルを支払うだけで、JavaScriptのコーディング方法や効果的なプレゼンテーションの方法などのスキルを学ぶことができます。Udacityでは、既存の従業員のスキルアップを目指す企業向けに、「ナノディグリー」と呼ばれる学位を取得することができます。また、LinkedIn Learning(旧Lynda、オンライン学習プラットフォームの老舗)では、職業能力開発のための特定のスキルに焦点を当てています。

このように、無料のコンテンツや手頃な価格のオンライン学習チャネルが溢れている中で、自分の専門知識を生かしたコンテンツ作りによって人気を博したり、かつて可能と言われた「生計を立てること」は日に日に不可能になってきています。多くのクリエイターは、コンテンツ作りは負け戦であるという暗示に苛まれ、落胆しています。いま、従来のソーシャルプラットフォームでは、収益化とコミュニティ作りが分断されている状態と言えます。つまり、YouTubeやTwitterに自分の専門知識を投稿して一定のフォロワーを獲得できたとしても、そこからの収益は微々たるものにしか過ぎず、まともな収益源を確保するためには、ブランドとの提携や利益率の低い商品など、全く脈絡のない別の方法を追求しなければなりません。この不都合によって、クリエイターは本来価値あるコンテンツを無償でオンライン上でばらまき、それを読んだり試聴している学習者側は単にその努力を搾取して対価を払わず消費しているのです。

一見学習者側はこれによって得をしているように見えますが、実はほとんどの学習者は同時に、この安価で無駄に豊富なコンテンツの犠牲者にもなっています。時が経つにつれて、私たちはあることに気づいているはずです、コンテンツの量が学びの質に必ずしも比例するわけでないということを。かつて隆盛を極めたオンラインコースのプロバイダーの多くは、顧客が何でも学べると見せかけて、あらゆるコースを売り捌き、多額の富を手にしました。しかしそこには、大きな落とし穴がありました。コースを最後までやり遂げるには、学習者の強い意志とモチベーションが必須であり、それを単独で維持するのは極めて難しいという現実を、彼らは知りながら口をつぐんで売り続けたのです。これは、他の自己学習プログラムでもよく見られるパターンだ。ジム通いやダイエットの「プラン」には誰でもアクセスできますが、実際にそれを継続して結果を出す人はほとんどいません。同様に、MOOCs(2010年代に広まった大規模公開オンライン講座)では、無数のオンデマンド録画教材コンテンツが提供されており、多くの場合、そうした録画講義の再生順序や宿題なども体型立てて用意されています。しかし、その修了率は、広く報道されているように、わずか3~6%と、驚くべき低さとなっています。

このようなオンライン教育の大きな期待と成果のギャップから、コホート型コース(CBC)が登場しました。これは「コホート」と呼ばれるグループ単位で一緒にオンラインコースを受け、コホートの他の参加者と一緒のペースで学びを行なっていく、インタラクティブな学習スタイルのことを指します。コホート型コースと過去10年間のMOOCsとの最大の違いは、従来のMOOCsが孤独で受動的にコンテンツを消費する道しか与えなかったことに反して、コホート型コースは、リアルタイム性のある、のめり込むような体験を提供し、コミュニティ主導で能動的に学習する環境を実現した点にあります。コホート型のコースは、開始日と終了日が決まっているため、一度やると決めたら一定期間中に皆がコミットし、コンテンツには希少性が生まれ、世の中で起きている最新の出来事をリアルタイムで組み込んだレッスンを提供できます。静止画を見るのではなく、その分野の専門家が地理や学校のランクにとらわれずに教えてくれる、大学のディスカッションセミナーに参加するようなものです。そして、重要なのは、コホートが宣言効果を自動的に引き出してくれるところにあります。

消費者は、希少価値のあるものにお金を払います。そして、コンテンツが豊富な今日の世界において、オンライン教育の文脈で希少性のあるものは何かというと、私は「コミュニティ」であると考えます。

MOOCs vs コホート型: コンテンツからコミュニティへの移行

過去10年間、Udemy、Masterclass、LinkedIn Learningなどのプラットフォームで人気を博したオンデマンドコースは、クリエイターが録画済みのオンラインコースを教えてお金を稼ぐことを可能にしました。これらの講座では、世界中の専門家が提供する情報に、学習者はこれまでにないほど手頃な価格でアクセスすることができました(ただし、大学のMOOCでは必ずしもそうではありません)。MOOCの前提は、「コンテンツと知識にアクセスできれば、学習者は自発的に勉強し、取り組み、目の前のテーマをマスターするだろう」という楽観的なものでした。

しかし、これらのプラットフォームは、クリエイターと学習者の双方にアクセスを提供する一方で、学習者の変革を約束するものではありませんでした。振り返ってみると、その約束はいささか甘かったようです。その理由はいくつかあります。

・MOOCは非同期型で、各自のペースに依存する: 何十年にもわたって行われてきた気晴らし、集中力、モチベーションに関する研究から、タイムラインが設定されていないタスクは、より緊急性の高いタスクに負けることが多いということがわかっています。MOOCsでは、いつでも見たり学んだりできるので、緊急性はありません。これは長期的な修了率にも影響します。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が最近行った調査によると、オンラインコースでは5年間の平均で約96%の脱落率があるだけでなく、MOOC学習者の大部分は1年目以降に戻ってこないことがわかりました。(対照的に、2015年にマーケティングの専門家であるセス・ゴーディンと私が共同で設立したaltMBAは、2年間のMBAプログラムで伝統的に教えられてきた職場でのいわゆる「ソフトスキル」を4週間のクラスに凝縮したコホートベースのコースで、96%の修了率を記録しています)。

・MOOCsが低価格(または無料)であることによって、品質の認識もそれに追随している: 手頃な価格設定は紛れもない利点であり、利用のハードルを下げるためには重要ですが、MOOCsがそもそも低価格であり、品質管理が(マーケットプレイスであるがゆえに)欠如していることで、決定的な悪材料にもなります。ほとんどのMOOCsの価格は、衝動買いと思われるほどの低価格で、これがブランドの低下を招き、クリエイターの中には敬遠する人もいるようです。また「動物のテレパシーを学ぶのに18.99ドル(1,999円)!」というように、MOOCが飽和状態になっているという意見もあり、MOOCプラットフォームのアグレッシブなマーケティング活動に乗せられて、こうした独占性や希少性とは正反対のコースが拡散されているのが現状です。実際、クリエイターが「97ドル(1万円)のビデオコースを売るために、Facebook広告でみんなに迷惑をかけようとする人たちの仲間入りはしたくない」と言う人も少なくありません。

・MOOCは「知識の伝達」を行うが、必ずしも高次のスキルを伝えるものではない: MOOCのコンテンツは事前に録画されているため、一方通行となり、リアルタイムで質問する機会がありません。そのため、フィードバックやディスカッション、実践的な練習が必要なものを教えることができません。したがって、MOOCsは、Excelでのデータの並べ替えなど、「知識の伝達」を主目的とした科目には適していますが、分析、評価、合成、判断、創造を必要とするような高次のスキルには向いていません。エクセルの例で言えば、データを戦略的にセグメント化してパターンを探し、レコメンデーションを行うというのが高次のスキルにあたります。

要約すると 多くのMOOCプラットフォームでは、受動的なコンテンツの消費が主な学習形態であり、相互作用や真のコミュニティはなく、時間的な制約もありません。このような状況では、実際に学習を継続する学習者の割合はごくわずかです。

コホート型コースの利点

では、コホート型コースはMOOCsと本当に違うのでしょうか?コホート型コースは、MOOCsの焼き直しにしか過ぎず、同じものを高額な費用をかけて再販したものだと批判する人もいます。しかし、コホート型コースの本質的な構造、形式、手法は大きく異なります。

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CBCは能動的で実践的な学習を重視
医学部の3年生と4年生は、通常、病院での実習を行います。皮膚の状態や病気の説明を読むのではなく、実際に患者さんを診察したり、症例を見て診断する練習をします。これと同じように、コホート型のコースでは、学生が能動的かつ実践的に学ぶことができます。

例えば、販売戦略の講義を受けるのではなく、実際に販売を行い、仲間に報告しなければなりません。グラフィックデザインの色彩理論のビデオを見るのではなく、学生がチラシをデザインして、お互いの作品を批評し合います。盆栽の成長についてのビデオを見るのではなく、実際に自分の盆栽を育ててみることが求められます。

例えば、2019年にハーバード大学で行われた研究では、物理学入門クラスの学生が、アクティブラーニングを行った後のテストで高いスコアを出したことが明らかになっています。学生はこの形式を通してより多くの努力をしなければならず、つまずき、間違いを犯したでしょう。そして、カリスマ性のある「ステージ上の賢者」の講義を単に聞くよりも難しいことに気づいたはずです。同じ研究では、「スーパースター講師」に教わった方が実際よりも知識を習得できたと錯覚した学生もいたことが確認されています。

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専門家の立場から見ると、コホート型のコースは、スタートアップ・アクセラレーターのネットワーク効果をより広い市場にもたらします。アクセラレータの価値は、コンテンツだけでなく、コミュニティにもあります。Y Combinatorの卒業生は、ネットワーク、新しいアイデアから得られるインスピレーション、コミュニティ、アクセスなどの要素を挙げています。Founder Gymは、コホートベースのスクールで、6週間のコースを実施し、一般的にはアクセスが困難な資本を調達する方法を一般の創業者に教えています。コホート型のアプローチにより、プロフェッショナルは、ピッチ、反復、インスピレーション、相互学習など、創業者と同じ戦略を利用することができ、そうすることで業界のマイクロコミュニティを構築し、プログラムやコースの枠を超えてサポートし、維持することができます。

リアルタイムでの双方向の学習によってもたらされる説明責任
開始日と終了日が固定されているため、強制的な希少性があり、緊迫感と集中力が高まります。また、コホート型コースでは、講師とのリアルタイム講義、会話への積極的な参加、応用学習の演習、分科会などが行われます。

臨床心理学者で心理学の教授でもあるスペンサー・ケイガン氏は、著書『Cooperative Learning』の中で、学習の理解度と定着を最大化する最も強力なアプローチは、"学生がパートナーやチームメイトと学習テーマについて共に深堀をする "ことであると主張しています。このアプローチが強力な理由のひとつは、教室での議論やディベートによって新しいアイデアや視点が生まれ、講義では得られないような方法で学生の注意を引くことができるからです。

また、コホート型コースが説明責任を果たすことができるもうひとつの理由は、一方通行ではなく双方向であることです。つまり、講師と生徒、生徒と生徒の間で知識の交換が行われるのです。つまり、講師と受講者、受講者と受講者の間で知識の交換が行われます。そこには、静的な講義ではなく、対話が存在するのです。MOOCsの中にはこのような機能を備えているものもありますが、コホート型のコースのように中核的な機能ではなく、副次的なものであることが多いようです。

更に、このようなやりとりによって、講師はより多くの責任を負うことになります。以前にも書いたように、隠れる場所がなければ、成果を出すために姿を現さざるを得ません。コホート型コースでは、講師は自分の教材を学生にとってより実用的なものにするよう動機づけられます。その結果、より質の高い教育を受けることができるのです。

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また、心理学者や神経科学者が「インターリーブ(同時並行)学習法」と呼んでいるものは、学習中に講師がさまざまなトピックやアイデア、活動を混ぜ合わせ、学生が1つのテーマに集中するのではなく、意図的に切り替えて学習することで、学生の学習成果を向上させることができるという研究結果があります。例えば、ブラジリアン柔術の選手は、チョーク、ロック、エスケープ、テイクダウンを交互に練習しています。コホート型のコースは、インターリーブ学習法を兼ね備えており、受講生は、講師・コーチ・他受講生と、ブレイクアウト、ロールプレイング、ディスカッション、ディベートなど、さまざまな方法で活動する機会を得ることができます。

コミュニティとソーシャル性がもたらす学習成果の向上
コホート型コースは、小規模から中規模のコミュニティが中心で、1つのコホートに100人前後の学生が参加するケースがよく見られます。このようなグループで経験を共有することで、学生は挑戦し、モチベーションを高め、コミュニティと学生の経験を全体的に重視することにつながります。一方、MOOCsでは、1つのコースに数千人の学生が一斉に登録されることが多く、学生同士の交流は限られているか、全くないかのどちらかです。

コラボレーションの効果は、研究によって証明されています。MIT Teaching & Learning Laboratoryの創設者であるローリー・ブレスロウ博士は、edXの学生が仲間の学生と協力して教材を完成させた場合、一人で作業した場合に比べて平均で3ポイント近く高い得点を得たことを明らかにしました。社会心理学の初期の実験の一つとされる論文を発表したノーマン・トリプレットは、自転車競技者が他の人と一緒にいるとパフォーマンスが向上することを発見し、「同時にレースに参加している他の競技者が身体的に存在するだけで、通常は利用できない潜在的なエネルギーが解放される」と結論づけました。(トリプレットが研究を完了したのは100年前ですが、今日、Pelotonのソーシャル・エクササイズ・モデルが人気を博しているのは、その証拠です。)スタンフォード大学でアルコール依存症の研究をしていたキース・ハンフリー教授は、治療よりもグループプログラムの方が断酒を維持するのに有効であることを発見しました。社会的交流は、学生が学習目標を達成するのにも役立ちます。

コホート型のコースを設計する際、私は集団の動機を理解するために、教育以外の機関(軍隊、ダンス大会、クロスフィット、さらにはカルト)についても深く研究しました。これらはすべて、(良くも悪くも)参加者にとって「粘着性」のあるものでした。従来の教育では学生に学習を強制していましたが、継続教育や成人向け学習では、お尻を叩くような方法ではなく、いかにぶら下げた人参が魅力的であるかを上手に伝える方法のほうが良いというのが、この研究から導き出された私の考えです。

しかし、それでもまだ疑問は残ります。MOOCは10ドル〜50ドル(千円〜5千円)で受講できるのに、なぜコホート型のコースに750ドル〜5,000ドル(7万8千円〜55万円)も払われるのでしょうか?

コホート型コースは、コンテンツの質や修了率の質を高めるためにプレミアムを支払うことをいとわない(またそれが可能な)学習者を自然と引き寄せます。多くの学習者は、ライブコースの時間的制約(明確な開始日と終了日)や仲間との学習から得られる説明責任と緊急性を必要としています。ハーバード大学が2014年にケースメソッドコースをオンライン化し、ピアコラボレーションを導入したことは有名ですが、当時、ほとんどのMOOCが修了率1桁台であったのに対し、修了率は85%にまで上昇しました。コホート型のコーディングブートキャンプ「Juno School」では、2020年前半に卒業した116人のデータによると、卒業後9カ月以内の就職率が74.1%に達しています。

コホートベースのコースは、オンライン教育の約束を果たすことができます。特に、コースを修了した後も学生がお互いにサポートし合い、コホートがインターネットネイティブの緊密な同窓会ネットワークを形成することができます。

クリエイターのマネタイズのための新しいモデル

現在、貴重な知識を持った専門家は何千人もいますが、彼らは従来の講師ではありません。例えば、a16z(シリコンバレーの著名VCの一つであるAndreesen Horowitz)でパッション・エコノミーについて執筆し、現在は単独でVCを運営しているリー・ジンのような特定の分野の専門家や運営者、元ウォール街のアナリストで生産性向上のための講座を教えて生計を立てているケ・ハイのような「知識」を持つインフルエンサー、Wealthfrontのユーザーリサーチ・ディレクターで副業としてUXファンダメンタルズの講座を運営しているノアム・シーガルのようなフルタイムの運営者など、さまざまな形があります。また、「Apps Without Code」というコホート型コースを教えているタラ・リードのような起業家もいますし、他にもたくさんいます。

しかし、多くのクリエイターにとって、自分の専門知識を収益化することは、特に既存のフォロワーやネットワークを持っていない場合には、とても難しいのが現実です。

まず、Instagram、TikTok、Twitterといった従来のソーシャルプラットフォームでは、収益化を目的とした活動とコミュニティ形成を目的とした活動が分断されています。クリエイターは価値のあるコンテンツを提供していますが、ほとんどの場合、広告だけで生計を立てるために必要なボリュームはありません。

実際、すべてをマネタイズするにはボリュームが必要です。真のファンが1,000人というのは、賞賛に値しますが、ほとんどのクリエイターはまだ達成していません。調査によると、月間視聴者数が100万人を超えるYouTuberでも、年収は1万7,000ドル(180万円)に満たないそうです。そのため、コンテンツ制作者は、ブランドとの提携や利益率の低い商品など、他の方法で収益を上げなければならないことが多く、コミュニティの構築に支障をきたすことが多いのです。

コホート型コースは、コンテンツ制作者の専門知識を直接、しかもボリュームを必要とせずにマネタイズできる魅力的な方法です。そのため、古典的な教育者だけでなく、より多くの「知識」を持つインフルエンサーがコホート型コースを運営するようになれば、クリエイターの収益化の次の段階となるかもしれません。コホート型学習は、クリエイターの収益化に新たな象限(下の図の右上)を切り拓くと言えるでしょう。

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講師は健全な収益を得ることが可能になる: 最初の数ヶ月で、4人の講師がそれぞれ10万ドル(1,100万円)以上のコース売上をMavenで上げました(開示しますが、私の会社です)。私の会社の他にも、コホート型コースによって、多くのクリエイターが最大の収益源を築いた例があります(以下はいずれもMavenではありません)。

・Write of Passageの作者であるデビッド・パレルは、正式なトレーニングを受けていない20代の若者であるにもかかわらず、年に2回、コホート型のライティングコースを教え、7桁(1億円以上)の収益を上げています。

・ジョー・ハドソンはエグゼクティブコーチで、コロナ禍の最中に対面式のコーチングビジネスが立ち行かなくなったため、最初のコホートを立ち上げました。彼は6週間でコースを構築し、最初のコホートで20万ドル(2200万円)を売り上げました。

・アリ・アブダールは、YouTuberになるためのコホート型コースを教えているインフルエンサーで、コースを立ち上げてから9ヶ月で150万ドル(1億6,500万円)の収益を上げました。

一方、登録者1人あたり月額8ドル(880円)でしか収益化していない人たちは、コミュニティ作りの長期的リターンを言及することもなく、いつまでもボリュームを追い求めているのです。

クリエイターは、一度自分の専門領域のコホート型コースを完成させたあとは、繰り返し利用しレバレッジを効かせることができる: いつまでも満たされることのない受講生の「コンテンツ消費欲求」に答えようとすることは、危険な罠です。コホート型コースは、一旦コースを完成してしまえば、繰り返し利用可能です。この特徴から、クリエイターの時間と労力にレバレッジをかけることができます。アンソニー・ポンプリアノ氏とレニー・ラチットスキー氏は、コンテンツ制作には毎週継続的な努力が必要であることを明らかにしている2人のクリエーターです。ポンプリアノは、水曜日はポッドキャストの収録やニュースレターの執筆など、1日中コンテンツ制作のために時間を割いています。ラチットスキー氏はSubstackのニュースレターでフルタイムの生計を立てていますが、毎週書かないと出版スケジュールに支障をきたします。

二人とも、コホート型のコースを始めたのは、自分の時間をより有効に使うため、そして何年も使える資産を作るためだったと言います。クリエイターは、コホートを運営するたびにゼロからコースを開発する必要はありません。コホート型コースを作成するための労力は、初回こそ大変ではありますが、その後の労力は随分楽になります。具体的には、労力の8割が初回コースの構築に費やされ、2割が将来のコホートでのコースの運営や更新に費やされるイメージです。2021年1月下旬に最初のコホートを立ち上げて以来、ポンプリアノ氏は4カ月で3つのコホートを運営しましたが、それができたのは、彼が初期投資(初回コースの立ち上げ)にかけた時間を後のコース運営を通して取り返す感覚をもたらしたからであると思います。

消費者はより質の高い受講機会を得ることができ、クリエイターはよりスケーラブルな高収益源を獲得できる: コホート型コースは、クリエイターにとって、プレミアムな価格設定と、上限のないスケールアップの機会を提供します。例えば、YouTuberのアリ・アブダール氏は、熱心なコミュニティに参加し、第一人者としてのブランドを構築したにもかかわらず、4年間で3つのMOOCから約14万ドル(1500万円)しか稼げなかった一方で、コホート型コースではわずか9カ月で150万ドル(1.6億円)を稼いだそうです。また、生産性向上を目的としたスタートアップ「Forte Labs」の創業者であるティアゴ・フォルテ氏は、インターネットの規模からすれば小さなオーディエンスである3,500人の受講生から、5年間で500万ドル(5億5000万円)を稼いだとのことです。ほとんどのクリエイター向けチャンネルでは、YouTubeやInstagram、TikTokなどで数十万人、あるいは数百万人のボリュームがないと、このような収益を上げることはできません。また、これらの収益化の例では、コミュニティメンバーの生涯価値や長期的な「サブスクリプション」のメリットもカウントしていません。

コホート型コースは、まだ始まったばかりのカテゴリーです。トレンドの常ですが、大きな失敗例も数知れず出てくるはずです。しかし、提供されるコースの種類が進化すれば、コホート型コースの定義も進化していくでしょう。

録画レッスンがあり、Q&Aや月次イベントなどのコミュニティが継続的に行われている長期間のコースは、「コース」または「コミュニティ」のどちらと呼ぶべきなのでしょうか?同様に、複数回にわたるイベント、ウェビナー、あるいは単なる交流会とコースの境界線が曖昧になるかもしれません。しかし、基本的に重要なのは、どのように進化しようとも、受講生のエンゲージメントと学習成果であることは間違いありません。コホート型コースは、リアルタイムレッスン、コホート同期、コミュニティ、説明責任、実践的なアクティブラーニングなどを組み合わせたもので、従来のオンライン教育の常識を覆し、学習者やクリエイターに新たな機会を与え、オンライン学習の成功の形を再定義する可能性を大いに秘めているのです。



※本件翻訳は、あくまで個人による翻訳であり、実際の記事については、参照元の記事をご覧いただくよう、お願いします。