燃え尽き症候群
どうしてそんなに頑張り続けられるんですか?
始めて会った人からそんなことを聞かれてハッとした。
えっと・・・
彼女の目を見ながら、脳内には「やる気スイッチ」の7文字。赤いボールドの文字が浮かんで離れない。
私!やる気スイッチ入れたらエンジンがかかったように走り続けれます!
いやそんなこと通じるはずがない。
頑張ってる間はあんまり頑張っている感覚がないですね、頑張り続けてるつもりがなかったです。
が正直な答えだった。
頑張り屋さんと言われることに昔から抵抗がある。頑張ってるね、と言われて全然頑張ってないよ、と頑なに答えてる自分が大っ嫌いだった。さっさと認めればいいのにって。ずっと思ってた。
まだまだ頑張りが足りないと思ってる自分と、頑張ってる姿を見せるのが恥ずかしい自分と、頑張っても頑張っても近くのあの人に勝てない自分の焦りが、そんな生々しい自分の感情の全てを認められない自分の「弱さ」となって牙をむく。ズブズブ侵食していくその牙の矛先は、いつもそんなんじゃ足りないと教えさせられた幼い頃の自分に向いていた。あの小さな世界の中で「できない人たち」に分類されていた10歳の柔な体と精神に突き刺さる。
彼女のトラウマが今の自分を突き動かす。
始めたら止められない。
やる気スイッチを入れてそのスイッチが勝手に切れるまで頑張り続ける。
快感だった。
2023年、ある時音もなく切れたスイッチが体内時計を狂わせ始めた。今が目を覚ました今で、明日が次に目を覚ました明日で過去は今。
だから「今」に立ち上がる理由がない。窓の外では、唯一システム化された「時間」がブロックとなって人のモビリティーを制御していた。
開けた窓から入ってくるそよ風に、むせ返るようだった。息苦しかった。
燃え尽き症候群。シリアスだった。これのことだ。気がついてた時には燃え切っていた。
時を共有し、弱さを吐き出し、頑張れない自分を抱きしめることができることが唯一の癒しだとわかった。燃え切った灰に、さようならと言える力を与えた。
やる気スイッチは自分で消せるものだと学んだ。できない時は、消してもらうのもいい。
ショートするまでほったらかしにしてはいけない。
煌々と光る電光を見つけたら、そっと近づいていって十分だよと調光するだけでいい。
輝くあなたのバックアップ。
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