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2022年10月の記事一覧
おばあちゃんへの手紙 14-3
”感謝して すべての人の幸せを祈り、
有木伸宏 78歳 四国霊場巡拝119回”
「感謝して…すべて…119回…」
何もかもが衝撃だった。
返す言葉もない。
ただただ自分がない。
自分がなければ不安や悩みも存在が許されず、
さぞ心穏やかで清々しい境地であろう。
そこにあるのはもはや尊い祈りだけなのだ。
「祈りと一つになっている…」
私は小さく呟いた。
隣で覗き込む愛も
一瞬で目頭を熱
おばあちゃんへの手紙14-5
「みんな当たり前じゃない。」
少ししわがれているが
胸に染み入る温かい声であった。
「ここを歩くお遍路さんには
懸命な決意と発意がそこにある。
そして、そうした気持ちの隣には
お大師様が必ず寄り添ってくれている。
”同行二人”。
そんな尊いものを目の当たりにすれば、
それに感応できる人は皆そこに仏を見ます。
拝みたくなります。
つまり我々は
自分の発願のために
回っているようでありな
おばあちゃんへの手紙14-6
毎日毎日、
日々の営みを淡々とひたむきに
生きている人たちも、
人生というお遍路道を歩いているのと
同じなのだと。
不平不満を言わずに
人々が黙々と日常を生きる姿に仏を見るのです。
拝みたくなるのです。
日常を生きる人々が、
白衣を着てお遍路をする人々に感じるように、
私も日常を懸命に生きる人々の無垢な姿から
勇気と生きる力をいただくのです。
灯として照らされるのです。
気づくと、