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展示「ルーヴル美術館の銅版画展」に行ってきました

先日、資格試験の受験のため遠出する予定がありました。
そのまま帰るのもなんだかもったいないなーと思い、せっかくなので美術館へ足を伸ばしてみることに。

ちょうど「ルーヴル美術館の銅版画展」という展示が開かれていました。
アートについて学び始めたばかりの僕はどんなものなのか全くわかりませんでしたが、これも勉強と思い興味の赴くままに。

先日、アートの楽しみ方として「アウトプット鑑賞」という方法を学んだ僕は、ここぞとばかりにトライしてみることにしました。

そんな感じで初心者なりに気に入った作品もあったので、今回の記事では感想についてまとめておきたいと思います。

ルーヴル美術館の銅版画とは?

まずは今回の展示の内容について整理しておきます。

ルーヴル美術館

言わずもがなかと思いますが、ルーヴル美術館はフランス・パリにある世界最大級の美術館です。
ヨーロッパの美術品を中心に、古代から19世紀初頭までの絵画、彫刻、工芸品などを含めた幅広い作品が展示されています。仮に全ての作品を鑑賞しようとすると、1ヶ月以上かかるくらいの規模感だとか。

銅版画(カルコグラフィー)

銅板を使った版画の伝統的な技法のことのようです。
細かい線を銅板に掘るといった繊細な技術だけでなく、刷る際にもしっかりとインクを馴染ませて綺麗に転写する技術が必要そうです。

ルーヴル美術館には、デッサンや版画などが展示される「グラフィック・アート部門」があり、その中に「カルコグラフィー工房」という銅版画コレクションが展示されています。
今回の展示では、この銅版画の元版を用いて刷られた作品が展示されていました。

つらつらと感想

今回の展示で、僕が個人的に特に気に入ったな、学びがあったなと感じたことを3つピックアップしてみました。

(1)緻密でリアルな描写

特にどの作品が、というわけではないのですが、展示されていた多くの作品がすごく緻密で、風景や人物描写が本物そっくりに描かれていました。「写実的」というのでしょうか?
あまり技法についてわからないですが、銅版画でこんなに細かい緻密な線を書いて濃淡を表現するのはすごい技術なんじゃないのかな、とか。
リアルに描こうとするのはアートの時代背景もあるのでしょうかね。人物の表情もとてもリアルだったりして、どんなことを考えているんだろう、とか想いを巡らせてみるのも面白かった。

なんだか惹きつけられたのが、ジャン=バティスト・グルーズの 《割れた水瓶》という作品の、少女の表情。真顔だけど、ちょっと笑みが混じっているようにも見えるし、空虚な目をしているようにも見える…。
どんなシーンだろうかと色々思考を巡らせていたんだけど、後から答え合わせをしてみたら、まあなんかやっぱり複雑な事情が…、という感じ。
この何とも言えない表情は何を訴えているんだろう?割れた水瓶は何故割れたんだろう?とか、リアルだからこそ色々と思考が膨らんだ。


(2)ピエール・アレシンスキーの楽しい画風

ピエール・アレシンスキーの《旅する筆》という展示を見て、初めてこの方を知りました。
写実的でリアルな展示の中にたまに抽象的な作品が出てきたりするのですが、そういった中で僕が個人的にとても気に入ったのがこの作品でした。
眺めているとなんだか冒険に出ているような感覚になるというか…。ずっと見ていても飽きないな、と感じました。

帰ってから調べてみると、日本の書道文化に造詣が深いようです。
もっと深く知りたいな、と思える芸術家に出会うことができました。


(3)植物を描くボタニカルアート

最後に美術館の第二展示場へ移動すると、そこに飾られていたのは「ボタニカルアート」。植物が描かれた展示が並んでいました。
なんだろうこれ?と思い、解説を読むと納得。もともと写真がない時代に、植物の生態を記録するのに版画は重要な手段だったようです。

ボタニカルアートの定義はあんまり理解できませんが、この時代に科学の発展にアートも携わっていたのかなと思うと、なんだか興味深いですね。

中でも個人的に面白いなと思った作品が、二コラ・ロベールの《ナルシスシュス・シュルウェストリス、ムルティプレクス(ヒガンバナ科スイセン属)》でした。(長い)

黄色い2つの花と、それぞれの足元に小さな蕾・蕾にすらまだなっていない2本の芽が出ている、なんの変哲もない植物を描いたものです。
ですがなんとなく、それらが訳ありげな大人の男女と惹かれ合う2人の子供のようで、なんだかストーリーを考えてしまうような、そんな作品に感じました。

おわりに

他にも気になる作品はいくつもありましたが、今回はこの3点だけ。
生まれて初めて、自分から能動的に美術館を楽しめたなーと思います。

気になる作品はじっくりと、近くで見たり遠くから離れて見てみたりしながら、感じたことを心の中で呟いてみる「アウトプット鑑賞法」を実践してみたおかげでした。
作品を眺めながら、「この髪の毛の質感が面白いな」とか「何種類の色が使われているのかな」とか、「この覗いているおじさんは何者なんだろう」とか「どういう時代背景なんだろうな」とか、わからないなりに色々と想いを巡らせることができました。

好きなアーティストにも出会えたので、楽しみが一つ増えたなと思います。もっとアートを学んで、好きなものを増やしていきたいですね。

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