4/5
4/5 13:19 学園駅前
「へぇ〜高専でもがんばってね!」
「千紗子はドイツでどうするの?」
結衣は少し心配そうにつぶやいた
「向こうで3年間本場のチェロ学ぶんだ。そこで交響楽団のメンバーになれるように練習するんだ」
「今向こうも大変でしょ?海外も警戒してるじゃない。もう少し待ってもらうという方法あるでしょ!時期が時期だし」
「う〜ん。 」
「半年や一年後じゃだめなの?」
「ウチらはね、あのとき、交換留学でドイツの子たちの演奏聴いたじゃない?あのときから絶対必ず向こうで弾きたいな、て決めたの。」
13:20
「それはそうだけど、それで万が一感染してもいいの?」
「うん。キリがないし」
「なんで?」
「今、弾きたいから。」
千紗子は即答した。
13:25
「ふ〜んサチらしい。…じゃあ向こうで彼氏できたら言ってねw」
「何言ってんのwうん、わかったまた連絡する。」
「じゃ〜ね!あ、最後にあれやろうよ練習したあれ」
「いいね!あとでトック載せといてね」
スマホを撮りはじめた。
「ん、待って後ろに誰か通るよ……」
「よっしゃ!!!ビートパクるかwクソツイクソツイスイカバーアタック!!!」スマホにイヤホンした男が通る
「あの人ニヤニヤしてぶつぶつして何言ってんだろ…。」
「変なの。スイカバーとか聞こえたけど、あ、も一回!左の振りから行くよ!せーのっ!」
春風の匂いがした、これからの時間と時間を忘れて、永遠を全て媒体に閉じ込めた。木漏れ日の葉が混じる緑桜色に対して不自然に人気のなさで笑い声だけが独り占めしている。わかもののすべて。そのままであるように。
4/5 13:35 到着時刻
おわり
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