見出し画像

ミュージカル「クロスフレンズ」感想

篠田美沙子さんこと、だみさこさん出演で観劇へ。
知った名前の人もたくさんいて、と言っても実際にお話したことがあるのは、だみさこさんだけだけど。この人は、とにかく印象に残る役を任せられることが多いなあという印象。

物語は90年代の曲を使ったミュージカル。ほぼ知っている曲ばかり。
アメリカを舞台に、日本人役は一人もいない。
アメリカを舞台にしていて、使われる曲が日本の90年代の曲というのがまた面白い。
勝手な話だが、ほぼ洋画は観ない。海外ドラマもほぼ観ない。
外国人の名前が、イマイチ覚えられない。サッカー選手は覚えられるんだけど。
ということで、基本スペックが低い状態・不慣れな状態での観劇。

麻草さんの脚本、酒井さんの演出、だみさこさん出演ということで、情報解禁時から楽しみだった。ところが、そこに、yu-kiさんの振り付けとくるのだから、これは無敵じゃないかとワクワクが止まらなかった。
yu-kiさんは、今でも忘れられない舞台、「大変よく生きました!」の振り付けも担当されてて、あの作品、特にラジオ体操の曲の振り付けは今でもしっかり覚えている。
印象に残る、ダンス経験なんかないのに、真似したくなる振り付けをするというイメージがあった。

そして今回も、その通りだった。
他の人もそうだろうなあと思いつつ書くと、やっぱり「そばかす」の振り付け。こちらも踊りたくなるような振り付けで、この作品ならではという感じ。
「そばかす」がかかったシーンは恋の話。
女子四人(一人は魔女)、心が踊る心情を、身体で表現していた。振り付けってこういうものなんだと、素人にも優しく教えてくれる。

だみさこさんは、今回、麻薬捜査官。
特徴的な衣装が多い中、一人、普通の格好。それこそ、オフィスにいるような、デザイン事務所で働いていそうな感じ。しかし、それがいい。普通なのに、プライドは一番高い。
決して、登場シーンは多くない。それなのに、強烈な印象に残るのは、その強すぎるプライドから来る言動。
アメリカが舞台だけど、海外ドラマのような言い回しもリアクションも少なく感じていたんだけど、このローラだけは海外ドラマのような感じ。

そういえば、初めて、だみさこさんを観た作品では医師だった。それも妹に厳しい役。怖いなーと思わせるほど。正直、そのイメージが先行してたから、素も怖い人かと思ったくらい。でもだからこそ、しばらく経ってから名前を認識しても、「ああ、あの人か」とすんなり分かったくらい。
それから何度か見ているものの、可愛らしい役というより、少し怖かったり強かったりするイメージの役が多い。
舞台を下りただみさこさんは、優しい笑顔で迎えてくれて親切で、本当に好かれる人柄。
会社にいたら、男女問わず人気あるだろうって感じ。
それが、今回は麻薬捜査官でプライドが高い。仕事もできる感じ。
妥協を許さないような姿勢。
今回も見ている人たちの心に強烈な爪痕を残したと思う。知らない人に、気になる存在になったのではと思う。
最初の登場シーン「お嬢さん?」という第一声。イントネーションといい、セリフを音波にした時の流れが、アメリカのドラマを見ているようなテンポ。
その後に続く、普通なら説明台詞になってしまうものが、オーバーなアメリカドラマ風に入っているから、不自然に見えない。
そして力強いセリフが、ローラのキャラを印象付ける。
ほんの数分なのに、そのキャラを観ているものに認識させる。

言葉の一つ一つが、とにかくしっかりと発音されて、単語の間に、ほんの一瞬の間が断続的に続く。これが、ローラのセリフを聞きやすくして、ハキハキとした完璧なキャラに仕上げている。
思えば、ここでどれだけ完璧な存在にしておくかで、ラストの腰を痛めるシーン、失敗するシーンが活きてくる。ローラが途端に人間味が出て、距離が縮まる感じすら受ける。
ローラの登場シーンは決して多くないし、メインで歌って踊るシーンもない。
ファンとしては、だみさこさんが中央で歌って踊るシーンを観たかったけど、たとえミュージカルといえども、それをしたらローラの完璧なイメージが崩れてしまう。
最初の完璧さ、ミュージカルシーンがないこと、それらが最後に繋がるとすると、凄い仕掛けだと思う。
だみさんさん自身は、あんなに人間味の溢れる人なのに。それがエリートだったりプライドの高い人たちを演じるから、だみさんさんを知っていれば知っているほど面白い。


今回、色々と知っている名前の中でも、もう一人、注目していたのが、持田千妃来さん。
持田さんは以前、最初に見たころは割と大人のイメージで、カッコいいイメージだった。君サガとかヨルハだったので。ところが今年、菅井ゼミで拝見した時は、そのイメージを覆し、可愛いイメージに。カッコいいイメージがあったから、ゲキドルの声優も意外だったけど納得。けっこう小柄というのも、その時に知った。
そして今回。さらに子供になった。そして男の子。
イメージがガラッと変わり、その演技の多様さに驚いている。
そして6月に観に行く舞台にも出演されるらしいので、また違ったイメージになるか。
楽しみで仕方がない。

今回、応援札という企画があった。だみさこさんに白い札を贈った。
紅白で揃えようかとも思ったけど、悩んだ末に、白一色で。
なんと言っても、サインが入ってくるとのこと。

だみさこさんとは、面会でも何回かお会いしたことがあったけど、サインとか頼んでいいのかわからなくて、お願いしたことがなかった。
面会の時、ブロマイドとか売ってる舞台が写真とかダメだろうなあってのはなんとなく分かるけど、サインとかも頼めなくて。ダメな時に頼んで、役者さんに申し訳ない顔をさせるのも嫌だし。ということで、これまで、だみさこさんにはサインを貰ったことがなく。
お宝サインも手に入るという邪な気持ちもありました。

そして今日、額に入って届いた。中身だけかと思っていたので本当に驚いた。
サインとメッセージ。嬉しい!!! いつか、許されるなら、一緒に写真も撮りたいなあ。。

今回、コリッチで席をとったのだけれど、カーテンコール、だみさこさんの立ち位置の正面。ライトがあったけど。もしかして気が付いてくれるかなと、ずっと観ていたのだけれど、どこかで、これだけ人がいるし気が付くわけないよねと思ってたら、気が付いていてくれた。それも嬉しかった。もう少し自分に自信を持とう。そして、まさか、だみさこさんの立ち位置まで計算しての席の配置? そしたら本当になんて嬉しいのだろう。なんて気遣いのある団体さんだろう。
いや、でも、そんなわけないか・・・な?

本編の最後、驚いたのは最後の曲の選曲だった。まさかの「小さな頃から」。
確か、最初はアルバム曲だったはず。
90年代。CD全盛期。ミリオンヒット連発の時代。もっと有名な曲も一杯あったはず。それなのに、と言ったら失礼なのだけれど、ここでこの曲かあーと言葉がなかった。
大好きな曲だし、一気に走りぬけてきた青春とリアルの厳しさ、苦しさが入り混じった群像劇。その最後に、夕日を連想させるような曲に、ああ、終わりなんだなと実感させられた。
そして、この曲だからこそ思う、未来への希望。

こわくはないわ 一人じゃない

窓から差し込む光 もう行かなくなちゃ


この二つのフレーズが、まさにこの物語のラストを飾る象徴的な言葉に思えた。
上を向いて歩きたくなった。

・・・結果、六行会ホールから、品川駅方面へ歩き、そのまま歩き続けたら東京タワーが見えたのでドラクエウォークをやりながら東京タワーを経由して御成門駅まで徒歩約2時間。
予定がなかったとは言え、ここまで歩く活力をもらってしまった。
歩いた後も気持ちはスッキリだった。
心に大きな大きな何をもらった。そんな感じだった。
配信でも何度も観てる。
DVDも申し込みをした。だみさこさんの名前も書いた。

90年代の曲を使って、また別の物語も書いてほしい。全く違う毛色の作品もできるはず。それだけ名曲が揃ってる時代。

本当に、この作品に出逢えて良かった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?